2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

日向旦「世紀末大バザール 六月の雪」

第15回鮎川哲也賞の佳作。 〝あと一月生活するために選んだ職業は、探偵?! 依頼された家出人捜索中に、 なぜか奇妙な事件が二つも勃発!〟 時は1999年5月− ノストラダムスの大予言の、恐怖の大王降臨まであと一月。 28歳になったばかりの夢想的な…

朱川湊人「赤々煉恋」

〝切望と悲哀、そして妄執… 人間の欲望を赤裸々に描く〟 〝直木賞作家の新機軸 切ない余韻の残る五つの物語〟 ということで、朱川湊人の最新作、である。 直木賞受賞作の「花まんま」「わくらば日記」などとは、ひと味違う味わいの短編集に仕上がっている。 …

うなぎ雪辱戦@北浜「阿み彦」

不愉快そのものだった黒門「川ひろ」を忘れ、 土用の丑にはやや遅れ気味のうなぎ雪辱戦に臨む。 あんな店のせいで、鰻食べ損なうなんて、それこそ損失だ。 きょうの「阿み彦」は、勤務先のある北浜のお店。 堺筋と土佐堀通りの交差点、大阪証券会館の地下1…

千日前国際劇場で「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」

ジョニー・デップの怪演で大ヒットした前作を受け、 いつの間にかトリロジーとなっていたシリーズ第2作。 気付いてみれば、この夏いちばんのイベント映画になっていた。 平日の午後一番、拡大ロードショーもされているのに、 劇場はなかなかの混みようとあ…

切り替え決意!のiPodナノ

iPodナノの4GB(ブラック)を購入した。 現在、プレイリストを続々と作成中。 軽いし、液晶もカラーだし、ああうっとり… と、すでに浮かれまくっているのだが、 もちろん、ここに至るまでには紆余曲折があったのだ。 現在のパソコン環境について、まず説明…

角田光代「夜をゆく飛行機」

先日読んだばかりの「ドラママチ」で、 個人的に見直し気運高まる角田光代の最新刊。 直木賞受賞後、初の長編ということになるそうだ。 〝どうしようもなく、家族は家族〟 〝うとましいけど憎めない 古ぼけてるから懐かしい 変わらぬようで変わりゆく 谷島酒…

アレックス・バーザ「ウソの歴史博物館 (文春文庫)」

世界中のウソや大ボラ、ペテンに悪戯、 エイプリルフールのジョークなどを集めた 〝The Museum of Hoax〟をまとめた本。 (ウェブサイトは http://www.museumofhoaxes.com/) 表紙は、とあるビルの屋上での記念撮影写真。 後方には、航空旅客機らしきものが…

チャールズ・ストロス「シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)」

〝英国SF界に新星登場!〟 〝究極のAIエシャトンの出現により 地球総人口の9割が銀河各地に強制移民させられた シンギュラリティ後の宇宙を 奔放な想像力と最新の科学知識で描く超話題作!〟 テクノロジーの発展から目を背けた新共和国の辺境ロヒャルツ…

シネリーブル梅田で「ゆれる」

「蛇イチゴ」の西川美和最新作。 家族の崩壊劇を乾いた笑いで綴った前作に続き、 描くのは、ひとりの女、そして殺人事件をめぐる兄弟の愛憎劇。 奔放な弟・猛(たける)には「メゾン・ド・ヒミコ」のオダギリジョー、 (ライフカードのCMの方がある意味印…

テアトル梅田で「親密すぎる打ち明け話」

2003年の「歓楽通り」以来、 3年ぶりの日本公開となる、パトリス・ルコント最新作。 僕自身、観るのは「フェリックスとローラ」以来となる。 税理士をセラピストと勘違いした女性と、 セラピストの微妙な関係を描いたこの作品、 主演はルコントの「仕立…

川上弘美「ざらざら」

〝あいたいよ。あいたいよ。 二回、言ってみる。 それからもう一回。あいたいよ。 愛しい風が吹き抜ける珠玉の短編小説集。〟 4月刊の「夜の公園」に続く、川上弘美待望の新刊は、 マガジンハウスの雑誌「クウネル」などの連載をまとめた恋愛短編集。 「ざ…

大崎梢「配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)」

id:juice78さんのところで見かけ、手に取った1冊。 〝書店の謎は書店人が解かなきゃ!〟 というわけで、書店を舞台にした日常ミステリ連作集だ。 〝胸が締めつけられるような恋愛ドラマもあります。〟 〝元書店員が描く本格書店ミステリ!〟 威風堂書店は、…

勝手に恨みシュラン@黒門「川ひろ」

もうすぐ土用の丑の日、ということで、 以前から行ってみたいと思っていた、黒門「川ひろ」へ。 雑誌などで見かけることもあったし、 大阪に古くから住む知人からも薦められいた。 しかし、月〜木の11時〜16時という営業時間、 それも記事などによっては…

「本・漫画」バトン

お世話になっている時間旅行のユキノさんから 「本・漫画バトン」をいただいた。 メインのお題は5問。 ●最近思う「本・漫画」 ●直観的「本・漫画」 ●好きな「本・漫画」 ●こんな「本・漫画」は嫌だ! ●この世に「本・漫画」がなかったら・・・ ●次に廻す人…

コンチキチン、と祇園祭の山鉾巡行だ。

祝日の大混雑を避けるため、早めに京都へ向かう。 しかし、この日はあいにくの大雨。 ややまばらな人出の中、御池通沿いの観覧席へ向かう。 荷物をビニール袋に入れ、体には朝コンビニで買ったビニール合羽。 観覧席では傘も差せないらしいので、時間を見計…

京都の夏の風物詩、祇園祭は宵山へ。

そう、コンチキチン♪ なアレである。 梅雨明けを錯覚させる夕立もやみ、思ったより涼しい京都の街。 錦市場などを散策後、四条通を烏丸方面へ向かう。 18時の歩行者天国開始を前に、四条通は人まみれ。 大丸を右手に、人混みにまぎれつつ進むと、 翌日の山…

ジョン・ル・カレ「ナイロビの蜂 上 (集英社文庫)」「ナイロビの蜂 下 (集英社文庫)」

先週末の出雲出張で、ちょっと夏バテになったらしく、 なかなか読み進まなかった同名映画の原作。 「テイラー・オブ・パナマ」や「ロシアハウス」など、 ル・カレ原作の映画は何本か観ているのだが、 スパイ小説、というのにはこれまでどうも縁がなく、 ル・…

驚いた!

いや、本当に驚いた。 きょう発表された芥川賞、直木賞のことだ。 芥川賞の伊藤たかみは、別段興味もないので別にいい。 直木賞だ。 森絵都「風に舞いあがるビニールシート」と、三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」。 森絵都は僕自身上半期屈指の1冊だと思…

アメリカ村はシネマート心斎橋で「サイレントヒル」

全米震撼! 2006年夏! 最大の衝撃作! コナミの人気ホラーゲームを、 「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ監督が映画化。 娘を救うべく闇に立ち向かう母、ローズには、 「メリンダとメリンダ」「ネバーランド」のラダ・ミッチェル、 闇にとらわ…

梅田ガーデンシネマで「ローズ・イン・タイドランド」

「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」のテリー・ギリアム最新作。 とここまで書いて、「ブラザーズ・グリム」とまるで同じ書き出しと気付く。 しかし、いかに自分に進歩がないか…、 と書き出してもまったく意味をなさないので、閑話休題。 テリー・ギリア…

伊坂幸太郎「重力ピエロ (新潮文庫)」

ハードカバー刊行時のオビが気にいらず、 これまで敬遠していた話題作が、ついに文庫化。 〝ルールは変えられる 世界だって変えられる〟 何だ、このオビだったら、その時読んでいたのに… そして〝読書界を圧倒した記念碑的名作 文庫化にあたり改稿〟 遺伝子…

ジョシュア・デイビス「負け組ジョシュアのガチンコ5番勝負! (ハヤカワ文庫NF)」

〝爆笑と感動の嵐! 僕だってヒーローになれる!〟 〝一風変わった競技に自分の活躍の場を 探し求めた男の悶絶チャレンジ生活。〟 ハヤカワのノンフィクション・ブログで、 「ことし一番おもしろい」と紹介されたノンフィクション。 http://hayakawanonficti…

古処誠二「遮断」

13日に発表される直木賞の候補作。 〝昭和20年5月。逃亡兵となった19歳の青年は、 置き去りにされた赤ん坊を捜すため、 戦火の沖縄を故郷に向かって北上する−。〟 あらすじとしては、オビの通りとなる。 補足するなら、故郷はすでに撤退を続ける前線…

浅田次郎「あやしうらめしあなかなし」

〝愛する心に宿る妖かし− 七つの優霊物語<ジェントル・ゴースト・ストーリー>〟 〝日本特有の神秘的で幻妖な世界で、 生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。 此岸と悲願を彷徨うものたちの悲しみと幸いを描く極上の奇譚集。〟 〝名手が紡ぐ…

森下裕美「大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)」

〝読むと心があったかくなる 森下流人生劇場“喜怒哀楽”てんこ盛り!〟 「少年アシベ」「ここだけのふたり!!」の作者による、 笑いと涙の人情ドラマを詰め込んだ1冊。 〝あったかくなる〟とはいうものの、いい話すぎないのが特長だ。 毒にも薬にもならない、…

乙一「失はれる物語 (角川文庫)」

角川スニーカー文庫の「さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)」などから、 表題作「失はれる物語」再録したハードカバーに、 文庫書き下ろしの「ウソカノ」などを加えた短編集。 独特のホラーテイストに彩られた、どの作品にも、 乙一らしい、切なさと寂し…

光原百合「時計を忘れて森へいこう (創元推理文庫)」

〝語り手と一緒に、物語<ミステリ>の森をさまよってみませんか〟 〝ミステリ作家光原百合のデビューを飾ったどこまでもピュアな物語〟 「十八の夏 (双葉文庫)」「銀の犬」の作家によるデビュー作、 8年の歳月を経て、ロングセラーがようやく文庫化された…

直木賞には森絵都をよろしく♪

芥川賞、直木賞の候補作が発表された。 選考会は13日とのこと。 候補作はこんな感じだ。 【芥川賞】 ・伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」(文学界六月号) ・鹿島田真希「ナンバーワン・コンストラクション」(新潮一月号) ・島本理生 「大きな熊が来る前…

敷島シネポップで「カーズ」

お待ちかね、「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」の ピクサーアニメーションスタジオ最新作。 今回ジョン・ラセターの創り出すのは、自動車が主役の夢の世界。 モータリゼーション文化、そしてアメリカのスモール・タウンへの、 深い愛情がひしひ…

角田光代「ドラママチ」

〝女が求めているのはドラマなのだ!〟 〝中央線沿線の「マチ」を舞台に、 小さな変化を「待つ」ヒロインたちの8つの物語〟 かなりひさしぶりの角田光代となる。 世の中の高い評価にも関わらず、これまでどうも相性がよくない。 そうこうしてるうちに直木賞…