2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ロバート・J・ソウヤー「ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)」

ネアンデルタール・パララックス3部作の完結編。 「ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)」「ヒューマン -人類- (ハヤカワ文庫 SF (1520))」で張りめぐらされた、 さまざまな伏線が一気に収束され、物語が大きく動きだす。 まさに完結編にふさわしい、ダイナミ…

ロバート・J・ソウヤー「ヒューマン -人類- (ハヤカワ文庫 SF (1520))」

クロマニヨン人ではなく、ネアンデルタール人が進化した、 パラレルワールドの地球との遭遇を描いた、 〝ネアンデルタール・パララックス〟シリーズの第2弾。 並行宇宙からやってきたネアンデルタール人のポンターが、 今度はネアンデルタール人の特使とし…

ロバート・J・ソウヤー「ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)」

いよいよ3部作完結編「ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)」が刊行された、 ネアンデルタール・パララックスの第1作にして、ヒューゴー賞受賞作。 完結編までウズウズしながら待つのがイヤで、 これまで我慢を重ねてきたのだが、ついに解禁となった。 ソ…

伊坂幸太郎「魔王」

表紙にドーンと大きく書かれた「魔王」が印象的な最新作。 〝未来にあるのは、青空なのか、荒野なのか 世の中の流れに立ち向かおうとした、兄弟の物語〟 〝ひたひたと忍び寄る不穏と、 青空を見上げる清々しさが共存する、圧倒的エンターテイメント〟 これだ…

心斎橋はパラダイスシネマで「ティム・バートンのコープスブライド」

「チャーリーとチョコレート工場」と同時進行で製作されたバートン最新作。 ジョニー・デップの主演(こちらは声の出演だが)まで、同じだったりする。 加えて「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(製作)以来の、 ストップモーション・アニメということ…

桜庭一樹「ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)」

〝次世代型作家のリアル・フィクション あたしは死んだ。この空の下で 少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語〟 つい先日読んだ「少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)」の気になる作家、 桜庭一樹による何ともいえない味わいの、SFファンタジ…

ジム・ドワイヤー、ケヴィン・フリン「9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言」

2001年9月11日の米同時多発テロで、全世界を衝撃に陥れた 世界貿易センター(WTC)への旅客機突入、崩落事件を再現したノンフィクション。 あの衝撃の映像は、いまでも脳裏に焼きついているし、 テロの裏にあった巨大な陰謀は、もうマイケル・ムー…

戸梶圭太「自殺自由法」

〝ついにできました待望の法律 君は死ねないから、生きているのか? 1億2千万人の生と死の風景〟 発想が面白いというか、シャレにならないというか、 いかにも戸梶圭太らしい、かっ飛んだ設定でグイグイ迫ってくる問題作だ。 しかし、考えてみると、そもそ…

桐野夏生「アンボス・ムンドス」

いかにも桐野夏生らしい、悪意に満ちた(ほめ言葉)作品集。 主人公はいずれも、ひとクセもふたクセもある連中だ。 自分に自信のない肥満女、誰にも好かれないホームレス、 惰性の不倫にしがみつく女、ある秘密を抱える中年女、 複雑な家族関係に絡められた…

T・ジェファーソン・パーカー「カリフォルニア・ガール (ハヤカワ・ノヴェルズ)」

あの傑作「サイレント・ジョー (ハヤカワ・ノヴェルズ)」に続く、 2度目のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)受賞作品。 舞台は1960年代のカリフォルニア州オレンジ・カウンティ、 若い女性の惨殺事件を軸に、ある家族のドラマと移ろいゆくアメリ…

平安寿子「Bランクの恋人」

マイ・フェイバリットのひとり、平安寿子の最新作。 「月刊J−novel」掲載作などをまとめた短編集だ。 オビは〝愛にもいろいろありまして…〟 どこかズレた関係に悩む、オトコとオンナの7つの物語だ。 表題作の「Bランクの恋人」は、モテ男を自認する…

戸梶圭太「CHEAP TRIBE-ベイビー、日本の戦後は安かった」

〝トカジがほじくり出す、できればなかったことにしたい昭和史 でも、そうはいかない。あなたもそこにいたでしょう!〟 昭和の底辺を生きた男、永吉の激安人生を通して、昭和史を描く。 あなたもそこにいたでしょう? と言われても困るのよ。 主人公の永吉は…

トルーマン・カポーティ「冷血」

〝魂の暗部を抉りつくすノンフィクションノベルの金字塔〟 金字塔、の前には「言わずと知れた」のひと言を添えてもいいだろう。 とか、言う割に実は読んだことがなかったのだ。 言い訳になるのだが、いわゆる〝古い翻訳〟がどうにも苦手。 たとえ、名訳と言…

桜庭一樹「少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)」

そこら中の書店の平積みでやたら目に焼きつく、青い空と白い雲。 何か気になる、東京創元社のミステリ・フロンティアの新刊だ。 オビは 〝あたし、大西葵13歳は、中学2年生の1年間で、人をふたり殺した〟 なかなか、穏やかじゃない。 しかし、どこか漂う…

なんば千日前・敷島シネポップで「ステルス」

時は近未来、米海軍は対テロ対策チームを設立した。 集められたのはトップガン中のトップガン3人組。 ベン=ジョシュ・ルーカス(「メラニーは行く!」) カーラ=ジェシカ・ビール(「テキサス・チェーンソー」) ヘンリー=ジェイミー・フォックス(「R…

いよいよ秋到来、ということで、

季節の風物詩に奈良公園・鹿の角きりを観に行く。 http://naradeer.com/event01.htm もちろん、観るのは初めて。 昼ごろ開始、ということなので、春日大社近くの鹿苑に向かう。 道すがら出会った鹿たちに、ちょいちょいと鹿せんべいを差し上げる。 横を見る…

レイ・ブラッドベリ「さよなら、コンスタンス」

実はブラッドベリ初挑戦だったりする。 「火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)」も「華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)」も読んだことない。 思わずそそるオビの惹句に、そのまんま食いついた。 〝ファンタジーの抒情詩人、ブラッドベリの最新長編〟 〝死者の名…

グレッグ・ルッカ「奪回者 (講談社文庫)」

「守護者 (講談社文庫)」に続く、ボディガード・アティカスのシリーズ第2弾。 どうも微妙、といいつつ、文句もたれつつ、 ここ最近で3冊目になるのだが、いまだ〝微妙〟感がつきまとう。 今回の物語は「守護者」のそのまんま続き。 前回の事件で親友ルービ…

道頓堀は松竹角座で「シン・シティ」

あまた映画化されるアメコミの中でも、独特の存在感を示す、 フランク・ミラー原作のモノトーン+パートカラーのアクション・ノワールだ。 その男くささもかなりのものだが、いわゆるカッコよさでは群を抜く。 冒頭のシーンだけで、もうガツンとやられる。 …

茶屋町・テアトル梅田で「ルパン」

幼いころ、マリー・アントワネットの首飾りをめぐって、父を殺されたアルセーヌ。 15年の時を経て、腕利きの怪盗に成長したルパンは、ある日 淡い恋心を抱いていたいとこのクラリスと再会する。 一方でルパンは、魔女とも称されるカリオストロ公爵夫人に惹…

やってみました、エンタ検定

id:juice78さんのところで見かけたエンタ検定。 日経に検定されるのも、何だか微妙だけど、とりあえずやってみた。 +++ 第1回 エンタ!検定 成績発表 +++ あなたの総合得点は76点 全国平均 60点 全国順位(10月5日 18時現在) 1174位(18582人中) −−…

戸梶圭太「未確認家族 (新潮文庫)」

駒江知弘は、東京の郊外に暮らす会社員。 数年に一度、ブチギレの発作を起こす、いわゆるアブナイ男。 妻も子もありながら、痴漢に女遊びに、日々余念がない。 その妻、駒江美穂は、元ヤンキー。いまは普通の主婦然としているが、 過去には援助交際などなど…

モーガン・スパーロック「食べるな危険!!ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する」

マクドナルドの食事だけで一カ月暮らしたらどうなるか? で話題を呼んだ「スーパーサイズ・ミー」のスパーロックによる詳細版&後日談。スーパーサイズ・ミー [DVD]出版社/メーカー: TCエンタテインメント発売日: 2005/07/08メディア: DVD購入: 1人 クリック…

グレッグ・ルッカ「守護者 (講談社文庫)」

スピンアウトの「耽溺者 (講談社文庫)」から読み始めた、 〝ボディガード、アティカス・コディアックのシリーズ第1作。 命を賭けて守るべきものとは? アンドリュー・ヴァックス絶賛!〟 はて、ヴァックス? ヴァクスじゃないのかに? と思い、 調べてみる…

奥田英朗「ララピポ」

〝最新爆笑小説、誕生! いや〜ん、お下劣。 ※紳士淑女のみなさまにはお勧めできません。(作者)〟 奥田英朗の爆笑小説、といえば、Dr.伊良部の 「イン・ザ・プール」、そして直木賞受賞作となった「空中ブランコ」。 そのテイストを存分に生かし、現代…