2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

乃南アサ「未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)」

直木賞受賞作「凍える牙 (新潮文庫)」から続く、 〝女刑事・音道貴子〟シリーズの短編集。 今回は、これまで大きなテーマだった、男社会とのあつれきに悩む部分以上に、 世の中のやるせなさに思い悩む音道の姿が描かれる。 特に、子供がいても不思議ではない…

カズオ・イシグロ「日の名残り (ハヤカワepi文庫)」

懐かしいな、という感じ。ジェームズ・アイヴォリー監督、 アンソニー・ホプキンス主演の映画の公開は、もう10年以上前だ。 しかし、10年前といまの僕の感性の違いもあるのだろうか、映画の記憶は 〝ストイックなまでに感情を抑制し、品格を追求する執事…

天童荒太「永遠の仔」

「永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)」「永遠の仔〈2〉秘密 (幻冬舎文庫)」「永遠の仔〈3〉告白 (幻冬舎文庫)」 「永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫)」「永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)」 「このミステリーがすごい」では1999年度版の国内ベスト1。 ちなみ…

スーザン・シャピロ「私をふった5人の男―元カレをめぐる旅」

ニューヨーク・タイムズやヴォーグに担当ページを持つ女性ライター、スーザン。 40歳を目前にした彼女の悩みは結婚5年で子供ができないこと、 そして小説が売れないこと。 ある日、かつての腐れ縁の恋人ブラッド(作家)から、 書評の依頼を受けたスーザ…

「のだめカンタービレ(11) (KC KISS)」最新11巻を買いに行ったら、

「映画秘宝」の3月号を発見♪ そうそう、発売日だったね、と表紙を見ると2004年のベスト&ワースト。 ついでに、2005年この映画を見ろ! だったりする。 および、町山智浩氏のサイトに確か、ヴァーホーヴェンの特集ありと書いてあった。 さっそく、…

宮部みゆき「日暮らし 上」「日暮らし 下」

そう、あの「ぼんくら」の続編だ。 ぼんくら同心・井筒平四郎と、その甥にして未来の養子・弓之助が、 本所深川の事件に挑む、人情時代劇ミステリーってとこですか。 こういうベストセラーは、説明がかえって難しいかも。 まあ、基本的には切れ者だが、面倒…

敷島シネポップで「エイリアンVSプレデター」

そんな不満を覚えた「ふたりにクギづけ」以上に、 不満が残ったのが「エイリアンVSプレデター」だ。 こういう東映マンガ祭りみたいな映画に、過剰な期待をする方も悪いんだが、 正直「何じゃ、こりゃ」の一歩手前。 悪評は散々聞いていたが、なるほどな、…

十三・第七藝術劇場「ふたりにクギづけ」

十三の劇場は初めて行ったけど、なかなかすごい。 風俗街までいかないけど、風俗店含有率かなり高い、雑多な場所にある。 東京だと、池袋のロサ会館とか、あそこらへんのイメージかな。 劇場自体は古いけど清潔。しかし、やっぱり二の足を踏む劇場かも。 ま…

アンジェラ・カーター「ブラック・ヴィーナス (Modern&Classic)」

これだけ読みにくい本は、ひさしぶりだ。 ちょうど、読む側の読解力が落ちているときだったこともあるけど、 とにかく何だか難しい。 読み進める度に「えっ、これ何の話だっけ?」という感覚に襲われる。 何ページか前に戻ってみて、分かるときもあれば、そ…

江國香織「赤い長靴」

ぶらっと本屋に入ったら、江國香織の新作を発見。 さっそく読んでみることにした。 ちなみに、ブログ執筆は二日遅れだったりするが… 前作「間宮兄弟」とはちょいと違う、というか、 いかにも江國香織な感じの小説。 ストーリーそのものは、そこまで印象に残…

大道珠貴「素敵」

オビはなかなかいい感じ。 「愛しているのか。愛していないのか。 それでも、ずっとこのまま続いていく。」 いかにも大道珠貴らしい、投げやりっぽさがにじむ。 不仲の姉妹、母娘、夫婦のそれぞれの〝愛〟の形を描いた5編。 「これ、愛じゃねぇよ…」みたい…

久坂部羊 「破裂」

怖い本だった。それも、薄ら寒い怖さだ。 ロビン・クックの小説を思わせる、医療スリラー、というところか。 刺激的なオビに、反感と、かすかな納得を覚え、思わず手を取る。 「医者は三人殺して、初めて一人前になる」。 何で〝納得〟かというと、 最初、こ…

梅田ブルク7で「ターミナル」

もう終映間近かと思っていたら、けっこう混んでる。 何だか納得いかなかったりもするが、ま、3連休ということで。 東欧の小国クラコウジアからアメリカを訪れたビクター・ナボルスキー。 しかし、フライト中に起こった政変のおかげで、入国は拒否される。 …

三崎亜記「となり町戦争」

小説すばる新人賞。 のどかな街の風景写真を使ったカバーが印象的だ。 オビの説明には 「ある日届いた〝となり町〟との戦争の知らせ。 僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。だが音も光も気配も感じられず、 戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実…

雫井脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」

「犯人に告ぐ」で週刊文春のミステリーベスト10、1位に輝き、まさに旬。 昨年秋くらいから長らく眠っていた文庫にようやく手を出した。 プロットがなかなかそそる。 冤罪事件の〝被害者〟武内が、無罪判決を下した元裁判官、梶間の隣家に越してくる。 ど…

町山智浩「USAカニバケツ」

まだ風邪が治りきらない。 で、お出かけできなければ、当然読書に燃えるべき。 「夜のピクニック」が新年初キュン本なら、 初笑い本には、コレを指定するのがスジというものだろう。って勝手に決めた。 カニバケツといえば、中学生のころ、 そんな名前のエロ…

恩田陸の「夜のピクニック」

体調が改善に向かってきたので、ようやくことし最初の本を手に取る。 本の雑誌が昨年ベスト1に選んだこの作品。 なるほど、だ。ダテに〝本読み中の本読みたち〟が選んだベスト1じゃない。 抜群に面白いし、こころに響く。切なくって、熱くなる、極上の青春…

大風邪…

新年早々、風邪を引いて、持病の気管支喘息を併発させてしまった。 あまりに苦しいので、病院に行くと「喘息ですね」。 通常、3、4種類くらいもらう喘息の薬がなぜか1種類だけ。 ふうん、と思いつつ家に帰り、飲むが効かない。 電話して「効かない」と告…