2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

平安寿子「くうねるところすむところ」

主役は2人の女だ。 梨央は30歳、独身。求人広告誌の副編集長。 仕事は、ひとつの壁にぶち当たり、不倫関係にある編集長との関係も、もはや倦怠期。 ドタキャンのおかげで、ひとり過ごした30歳の誕生日、 酔った勢いで工事現場の足場に登り、足がすくん…

道頓堀東映パラスで「デンジャラス・ビューティー2」

場末感たっぷりの、老朽化劇場で観てしまった。 だって近いし、格安チケットがあったんだもの… しかし、1800円出して、ここでは観ないな。 ま、銀座シネパトスのように、独占公開されたら、手も足も出ないんだが。 まあ、そんなことはともかく、 あのサ…

ミネット・ウォルターズ「昏(くら)い部屋 (創元推理文庫)」

ウォルターズといえば、 「女彫刻家 (創元推理文庫)」などでもおなじみの〝油断ならない〟作家だ。 何が油断ならないって、もちろん意表を突くラスト、もしくはどんでん返しが一番だ。 なんだが、文章をそのまんま素直に読んでいてはいけない、 という油断な…

道頓堀は松竹角座で「クローサー」

ジュード・ロウ、ジュリア・ロバーツに、 クライヴ・オーウェン、ナタリー・ポートマンという豪華キャストの恋愛ドラマ。 ロウ演じる、売れない作家が、 ロバーツ演じるカメラマンと、ポートマン演じるストリッパーの間をふらふら… これにオーウェン演じる医…

辻原登「枯葉の中の青い炎」

表題作「枯葉の中の青い炎」が、ことしの川端康成文学賞受賞。 川端康成文学賞、といえば、 絲山秋子「袋小路の男」、 堀江敏幸「スタンス・ドット」(「 雪沼とその周辺」収録)、 車谷長吉「武蔵丸 (新潮文庫)」と、 ここ数年、僕のストライクゾーンをドー…

シネリーブル梅田で「さよなら、さよならハリウッド」

帰ってきました、大阪へ。 東京では2本観てきたけど、積み残し映画は、まだまだたくさん。 「クローサー」「炎のメモリアル」「デンジャラス・ビューティー2」… ああ、どうしようと迷った挙げ句、この作品。 梅田の駅から、長い長い長い長い道のりを経て、…

古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」

牙を剥き出しにした、黒い犬の表紙カバー、オビには 〝二十世紀をまるごと描いた、古川日出男による超・世界クロニクル 四頭のイヌから始まる「戦争の世紀」〟とある。 これだけでは、まるで何だかわからない小説。 実際、読んでみても、どう説明しようか、…

ユナイテッドシネマズとしまえんで「ザ・インタープリター」

「ザ・ファーム/法律事務所」のシドニー・ポラック監督、 主演は「ミスティック・リバー」のショーン・ペンに、 「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマン。 そして、製作総指揮には 「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ。 監督賞…

恵比寿ガーデンシネマで「ライフ・アクアティック」

出張のため、前日から東京。 昨夜は千駄ケ谷のモロッコ料理「カハワ」で、 羊肉ソーセージのシチュー仕立てwithクスクスと、 レンズ豆のサラダをいただく。 http://www.qahwa.jp/ http://www.elle.co.jp/atable/data/rguide/show.php?id=341 相変わらず…

ネルソン・デミル「ニューヨーク大聖堂(上) (講談社文庫)」「ニューヨーク大聖堂(下) (講談社文庫)」

上下巻合わせて約1100ページ…、ようやく読み終えた。 24年前に書かれた、ネルソン・デミル初期の作品だ。 よって、舞台は80年代のニューヨーク。 まだ、アルカイダによるWTC崩落テロは起こっていない時代の作品だ。 だが、その後の事件を彷彿とさ…

茶屋町、テアトル梅田で「バッド・エデュケーション」

ペドロ・アルモドバル監督、ガエル・ガルシア・ベルナル主演。 これ以外は、予備知識まったくのゼロで臨む。 しかし、ポスターに散りばめられた紅い薔薇。 もしや…と思ったら案の定だった。めくるめく暖色、じゃなくて男色の世界。 ゲイの否定をする気はまっ…

道頓堀は松竹角座で「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」

ひとくくりにすれば、いま流行りのファンタジー童話。 「ハリー・ポッター」シリーズのおかげで、書店の翻訳書スペースが、 ファンタジー・コーナーに浸食されているのを苦々しく思っている身としては、 むしろ〝敵性映画〟のカテゴリーに入るはずの作品だろ…

梅田ナビオTOHOプレックスで「ドッジボール」

原題は〝Dodgeball: A True Underdog Story〟 〝念願の〟1本だった。ベン・スティラーの映画は、 監督作品の「リアリティ・バイツ」「僕たちのアナ・バナナ」などから、 「ミート・ザ・ペアレンツ」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」などのコメディ、 そし…

敷島シネポップで「ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ」

最初にネットでポスター観た時は、かなり期待したものだった。 紅い文字で〝COME OUT COME OUT WHATEVER YOU ARE〟 出演もロバート・デ・ニーロ、ダコタ・ファニング、 エリザベス・シューにファムケ・ヤンセンと、「おお、すごい!」な布陣。 早く公開しな…

椰月美智子「未来の息子」

昨日、出先で予想外に早く本を読み終え、急きょ購入。 初めて〝認識した〟名前だ。何で認識か、というと、 「未成年」をキーワードに編まれたアンソロジー「Teen Age」に入ってた。 http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20041127 ちなみにこちらには、角田光代・…

サラ・ゲイ・フォーデン「ザ・ハウス・オブ・グッチ」

ようやく読み終えた。 言わずと知れた、あのファッションブランド、 GUCCIの誕生から、家族の内紛、そして復興、 そして投資ビジネスの世界での苦闘を描いたノンフィクションだ。 2004年9月発行、けっこうすぐに買っていたのだが、何だかとっつき…

二ノ宮知子「のだめカンタービレ(12) (KC KISS)」

午前中、黒門市場へ晩のおかずのお買い物。 といっても、魚も野菜もふつうのものを買いに行っただけなんだが。 いつも思うのは、ここでお魚だとか、変わったお野菜ばっかり買っていたら、 とてもじゃないが、エンゲル係数高くなりすぎる。 高級スーパーとか…

真保裕一「奇跡の人 (新潮文庫)」

感涙の名作、と聞きながら、長らく積ん読だった一冊。 何でだろう、と考えると、 〝奇跡の人〟というあまりにも普遍的なフレーズが、そそらなかったから。 どことなく、不安なんだよな、という思いがあったのだった。 で、読んでみると、予想やや的中。 意外…

西麻布のフレンチ、ラ・レゼルヴ。

私用のため帰京。 ちなみに写真は、サイトから引用させていただいた、あくまでメニュー例。 僕がいただいたのメニューは、まったく別のやつ。 写真はあくまで、イメージなので、あしからず。 2月の帰京以来だから、けっこう久しぶりになる。 〝食いだおれ〟…

アラン・ムーアヘッド「恐るべき空白 (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)」

僕の頭の中じゃないよ。そりゃ空白だけど、恐るるには値しない。 19世紀半ば、初のオーストラリア大陸縦断を果たした、 ロバート・オハラ・バークと、その若き相棒、ウィリアム・ジョン・ウィルズたち。 その過酷を極めた探検の様子をまとめたノンフィクシ…

舞城王太郎「阿修羅ガール (新潮文庫)」

ハードカバーの時には、気になりつつ買わなかった一冊だ。 表紙はハードカバーのままでよかったのに…、と思いつつ購入。 舞城王太郎は一冊しか読んでいないが、「好き好き大好き超愛してる。」は面白かった。 面白かったけど、思考の垂れ流しのような独特の…

G.M.フォード「白骨 (新潮文庫)」

「憤怒 (新潮文庫)」「黒い河 (新潮文庫)」に続く、フランク・コーソ・シリーズ第3弾だ。 1作目の「憤怒 (新潮文庫)」は、とにかく面白かった。 6日後に死刑執行の日を迎える連続レイプ犯の冤罪を証明すべく、 記事ねつ造で地位を追われた元ニューヨーク…

森絵都「いつかパラソルの下で」

やられた…。傑作、大傑作だ。 現時点で、ことしのナンバーワン候補を宣言したい。 何しろ「永遠の出口」(これも傑作)の森絵都だから、 かなり期待値は高かったんだが、もう完璧すぎるほどに応えてくれた。 オビには「裏切られた気がした。でも、本当は私が…