驚いた!

mike-cat2006-07-13

風に舞いあがるビニールシート まほろ駅前多田便利軒
いや、本当に驚いた。
きょう発表された芥川賞直木賞のことだ。
芥川賞伊藤たかみは、別段興味もないので別にいい。


直木賞だ。
森絵都風に舞いあがるビニールシート」と、三浦しをんまほろ駅前多田便利軒」。
森絵都は僕自身上半期屈指の1冊だと思うし、
まあ予想通りの希望通り、という感じなので、
驚きというより純粋にうれしい感じなのだが、三浦しをんは驚いた。
大好きな作家だし、この作品も、もちろん大好きな作品なのだが、
まさかこれが獲るとは、という驚きも、正直否定できない。


候補作発表のときは〝もっとすごい大傑作が出るときまで〟と書いたが、
http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20060703#p2
あれだと、だいぶ言葉が足りない気もする。
いわゆる賞を獲るタイプの作品とはちょっと違うような気がしたのだ。
ヘンな言い方だが、直木賞、というには面白すぎる、みたいな感じだろうか。
とはいえ、その驚きはやはりうれしい驚きだ。
こういう独特の耽美主義に徹した作品が直木賞受賞、という感覚。
直木賞、捨てたもんじゃないな、とかいうと偉そうになってしまうが…


話は戻るが、森絵都も本当にうれしい。
本来なら「いつかパラソルの下で」でも獲っていておかしくない作家だけに、
その後は微妙な作品とかで候補にだけ挙がって…、みたいな展開もあり得たはず。
だが、森絵都は「いつか〜」とはまったく違う作風で、傑作を送り出してきた。
永遠の出口 (集英社文庫(日本))」からここ3作(エッセイは除く)、
その懐の広さを、凄みという形容詞を使えるぐらい、徹底的に見せつけられた感じだ。
つくづく、直木賞という通過点はさっさと卒業していい作家だけに、
いいタイミングでの受賞だな、と(これまた偉そうに)つくづく思う。


まあ何にせよ、大好きな作家の大好きな作品が2作とも受賞するのは、うれしいこと。
文学賞至上主義じゃないが、それはやはり作家にとって大きなプラスにもなるはずだし。
芥川賞すべてが文藝春秋ということも含め、ちょっとしたサプライズの今回のラインナップ。
豊崎由美大森望のコンビの対談も、いまから楽しみで仕方ない。


以下は文藝春秋のサイトから引用

三浦しをん
<受賞> 一九七六年九月二十三日東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。二〇〇〇年、長篇小説『格闘する者に○』(草思社刊)でデビュー。
〈作品〉『月魚』01・角川書店刊。『白蛇島』01・角川書店刊。『秘密の花園』02・マガジンハウス刊。『ロマンス小説の七日間』03・角川書店刊。『私が語りはじめた彼は』04・新潮社刊。『むかしのはなし』05・幻冬舎刊=第百三十三回直木賞候補。エッセイ集には『極め道』00・光文社刊、『妄想炸裂』01・新書館刊、『しをんのしおり』02・新潮社刊、『人生激場』03・新潮社刊、『夢のような幸福』03・大和書房刊、『乙女なげやり』04・太田出版刊、『桃色トワイライト』05・太田出版

森 絵都
<受賞> 一九六八年四月二日東京都生まれ。九〇年「リズム」で第三十一回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉『リズム』91・講談社刊=第二回椋鳩十児童文学賞受賞。『ゴールド・フィッシュ』91・講談社刊。『宇宙のみなしご』94・講談社刊=第四十二回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞、第三十三回野間児童文芸新人賞受賞。『アーモンド入りチョコレートのワルツ』96・講談社刊=第二十回路傍の石文学賞受賞。『つきのふね』98・講談社刊=第三十六回野間児童文芸賞受賞。『カラフル』98・理論社刊=第四十六回産経児童出版文化賞受賞、映画化。『ショート・トリップ』00・理論社刊。『DIVE!!』00・講談社刊=第五十二回小学館児童出版文化賞受賞。『あいうえおちゃん』01・理論社刊。『永遠の出口』03・集英社刊=04・本屋大賞第四位。『ぼくだけのこと』03・理論社刊。『いつかパラソルの下で』05・角川書店刊=第百三十三回直木賞候補。『屋久島ジュウソウ』06・集英社刊。「17レボリューション」06・4野性時代