2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

マヌエル・ムヒカ=ライネス「七悪魔の旅」

「地獄の大魔王に叱責され 七つの大罪を担う悪魔たちは 獲物を探して 時空を超える旅に出た」 オビがとても端的に、そして正確にストーリーを語っている。 地獄でだらだらと過ごしている悪魔の盟主たちに、大魔王がハッパをかける。 地獄に魂が足りないので…

梅田ガーデンシネマで、「メゾン・ド・ヒミコ」

監督・犬童一心、脚本・渡辺あやの「ジョゼと虎と魚たち」コンビによる新作。 あの、優しく繊細なタッチはそのままに、 ゲイの老人ホームを舞台にした、ちょっとファンタジックなドラマが、展開される。 主演はオダギリジョーに柴咲コウ、伝説のゲイバーのマ…

梅田OS劇場で「がんばれ! ベアーズ ニュー・シーズン」

ウォルター・マッソー×テータム・オニールによる、 言わずと知れた1976年製作の傑作がリメイクされた。 「恋人までの距離−ディスタンス−」「ビフォア・サンセット」の、 リチャード・リンクレーターによる〝現代版へのアップデート〟作品ということらし…

梅田OS劇場C・A・Pで「ふたりの5つの分かれ路」

フランソワ・オゾンのサイトではえらく前から紹介されてた作品。 原題は「5×2」。邦題、なかなかいい訳かも知れない。 楽しみにしていたことも忘れるくらい経って、ようやくの日本公開だ。 シャーロット・ランプリングが出演で話題を呼んだ、 「まぼろし」…

グレッグ・ルッカ「耽溺者 (講談社文庫)」

本の雑誌の「翻訳小説が売れない」特集で、 訳者の古沢嘉通が「こんなに面白いのに売れない」と嘆いていた一冊。 訳者の言葉をそのまんま鵜呑みにするのもどうかと思うし、 オビの惹句が、最近そこら中で絶賛しすぎてスティーヴン・キング化してる北上次郎、…

ロバート・J.ソウヤー「フラッシュフォワード (ハヤカワ文庫SF)」

2009年、ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)で行われる世紀の大実験は、 最後のカウントダウンを残すのみの段階になっていた。 カナダ出身のロイド・シムコーと、ギリシャ出身のテオ・プロコビデスが中心となって、 準備を進めてきた実験が成功すれば、…

浅田次郎「憑神」

かなりご無沙汰の浅田次郎。 そういえば、時代物も最近読んでいなかったので、一挙両得で読んでみる。 しかし、「憑神」ってのも穏やかじゃないな、なんて思いながらも、オビに 〝涙と笑いの浅田節〟とあれば、そら読まなきゃならないだろ、ということで。 …

茶屋町はテアトル梅田で「コーチ・カーター」

ジュールス「パルプ・フィクション」&メイス・ウィンドゥ(「スター・ウォーズ」)の サミュエル・L・ジャクソンが高校のバスケットボールチームに扮した感動作。 〝グレート・アンガー〟の名せりふは聞けないが、熱い熱い語りに胸を打たれる。 大学進学率…

町田康「屈辱ポンチ (文春文庫)」

いよいよ文学の秋、だからね、町田康でも読もうと思ったのだが、 わざわざ買いに行くのも面倒臭いし、 第一いつもいつも行っているジュンク堂書店のお姉さんに、 「いつもいつもこいつは昼間っからヒマそうねこういうやつをニートというのかしら、 そう考え…

なんば千日前は敷島シネポップで「ファンタスティック・フォー」

予告を観る限り、けっこうキャッチーで楽しそうな映画だったのに、 公開前の話題といえば、レイザーラモンHG(ハードゲイ)が、 関西宣伝部長を務めたぐらい。 つながりは、いえば「フォーッ!」しかないという強引さには笑うが、 何だか寂しい感じは否め…

心斎橋・パラダイスシネマで「おまけつき新婚生活」

東京公開はたしか7月。大阪ではいつになったら公開するのやら…、 と思っていたら唐突にレイトショー公開となったベン・スティラー〝最新作〟。 アメリカでは2003年公開映画が、どうしてこれだけ塩漬けにされるんだね? と、ひとしきりブツブツ文句を垂…

エルヴェ・ヴォドワほか「星の王子さまの眠る海」。

「本の雑誌」の巻頭で紹介されていた、 版権切れで新訳相次ぐ「星の王子さま」関連本。 1944年、自ら操縦する偵察機で飛び立ったまま、二度と戻らなかった、 「星の王子さま」の作者、サン=テグジュペリの謎を追った、 日刊紙《ラ・プロヴァンス》の記…

アラン・エミンズ「死体まわりのビジネス-実録●犯罪現場清掃会社」

〝浴室一面に広がる血糊、壁に張りついた脳みそ、飛び散った頭蓋骨、 ソファに染みこんだ腐った体液、ハエの大群と蠢くうじ虫、 道路に点在するピューレ状の肉体、腐敗臭を放つゴミ屋敷……。〟 こんなオビを見て、その本を買うなんて、どうかしてる。 そう指…

クリントン・マッキンジー「コロラドの血戦 (新潮文庫)」

続編「絶壁の死角 (新潮文庫)」のオビにある、北上次郎の惹句が気にかかり、 まずは最初の作品から、と思い、読み始めた。 表紙もイケてないし、〝血戦〟の邦題もやや微妙なため、 「絶壁の死角」のオビを見なければ、読むことはなかっただろうな、という一…

〝欲望百貨店〟にて…

午後イチの帰阪を前に、〝欲望百貨店〟伊勢丹をのぞく。 そういえば、東京が3カ月ぶりなのだから、伊勢丹も3カ月ぶり。 新宿の街を歩いて気づく。 きのうの渋谷でも感じたことだが、3カ月経つとだいぶ感じが変わる。 やはり、東京のペースってつくづくす…

梅田ガーデンシネマで「ハッカビーズ」

ことし「クローサー」「アルフィー」とハズしてくれたジュード・ロウの本命。 大阪ではようやくの公開とあって、期待で胸を膨らませ、遠路スカイビルに向かう。 しかし、指定席のはずのガーデンシネマが自由席。どうも、入りが悪いらしい。 まあ、もともと大…

出張で3カ月ぶりの東京。

しかし、たった一泊、それも明日は午後イチで帰阪なので、 相も変わらず、いつも通りの場所を巡回するぐらいしか思い浮かばない。 せめて仕事が夜にかからなければ…、と無念の思いで渋谷に向かう。 向かうといっても、店を何軒か眺めて、ブラッセリー「VI…

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)」

河出文庫の新訳版。映画の興奮も醒めやらぬ中、さっそく読んでみる。 前回読んだのは新潮文庫版が出た当時だから、ほぼふた昔前。 はっきりいって、ほとんど覚えていない。 だが、当時は微妙に難解だった覚えもあったりする。 今回は映画を観たばっかりだし…

歌野晶午「女王様と私」

いまどきまだ、歌野晶午を読んだことがなかったのだが、気になって手に取る。 まあ、「葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)」の時点で気にしておけよ、というとこだが… 何となく思わせぶりな表紙に、オビは 〝「葉桜」の歌野晶午が放…

梅田ピカデリーで「チャーリーとチョコレート工場」

「ビッグ・フィッシュ」では、微妙に期待をハズしてくれたティム・バートン最新作。 MJ(バスケット系でなく、小児性愛系のほう)を思わせる、 白塗りのジョニー・デップが、チョコレート工場経営の変人を演じる、ファンタジーだ。 ジョニー・デップ史上ナ…

梅田はナビオTOHOプレックスで「銀河ヒッチハイクガイド」。

劇場で予告をろくに観た記憶がない。 けっこう唐突な公開の印象があるんだが、何かコケた関係だろうか。 しかし、早いに越したことはないのだが、こんなにひっそりと公開でいいのか? 原作は、英国を中心に、熱烈なファンを多く抱えることで知られる、SFコ…

ジェフリー・ディーヴァー「獣たちの庭園 (文春文庫)」

〝ディーヴァー初の歴史サスペンス 舞台はヒトラー時代のベルリン 主人公はニューヨークの殺し屋〟 このオビでわかる通り、おなじみ「リンカーン・ライム・シリーズ」ではない。 とはいえ、ディーヴァーらしい趣向は凝らされているので、 ファンなら間違いな…

心斎橋はパラダイススクエアで「愛についてのキンゼイ・リポート」

1万8000人へのインタビューで、 アメリカ人の「セックス」の実態をリサーチした、 インディアナ大学のキンゼイ博士の生涯を描いた伝記映画だ。 過剰なまでにピューリタニズムに毒された父に育てられた、 昆虫学者のキンゼイ博士は、新婦クララとの初夜…

ノエル・F・ブッシュ「正午二分前 (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)」

1923年9月1日午前11時58分、それは起こった。 文字通り大地を揺るがし、大火災を巻き起こし、14万人もの命を奪った。 そう、関東大震災だ。 1967年、外国人記者によって、世界で初めてまとめられたドキュメンタリー。 当時の記憶を持つ人も…

梅田・三番街シネマで「Be Cool/ビー・クール」

マイアミの取り立て屋、チリ・パーマー=ジョン・トラヴォルタが、 ふとしたきっかけで憧れの映画界に足を踏み入れ、 ハリウッドの〝プレイヤー〟にのし上がっていく様を、 スタイリッシュな演出にブラックなジョークを散りばめて描いた、 傑作「ゲット・シ…

スティーヴン・キング「回想のビュイック8〈上〉 (新潮文庫)」「回想のビュイック8〈下〉 (新潮文庫)」。

ペンシルバニア州の田舎町に住むネッドは、 警官だった父カートを悲惨な交通事故で失った。 父の面影を求め、ネッドは父の愛したD分署に日々赴く。 そしてある日、分署裏手のガレージに、一風変わったビュイックを見つける。 どこか変わった趣のビュイック・…

藤堂志津子「情夫」

40代、50代女性のこころの揺らめきをとらえた連作集。 40を超えても〝現役〟を続けるおんなたちが、とても艶っぽい。 40代というと近年、黒木瞳がそこら中でブイブイいわせてるのが目立つ。 その様子たるや、まさしくブイブイ、という擬音がふさわし…

ロバート・J・ソウヤー「ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)」

生物医学工学の権威ピーター・ホブソンは、 これまでにない高精度の脳スキャナーの開発中、思わぬ発見に至る。 人間が死ぬ瞬間、〝魂〟と思われる電気の波が、 脳の中から離れていくさまだった。 〝魂の存在〟の発見に騒然とする世界。宗教的、哲学的な議論…