2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

桐野夏生「魂萌え !」

何だかシブい表紙だな、と思っていたら、読んでみてすぐに納得。 59歳未亡人の〝自分探し〟といったらいいのだろうか。 夫の死でいきなり世の中の荒波に放り出された敏子が、 〝痛い〟経験を積み重ねがら、次第に強く生きる術をつかんでいく。 シニア世代…

東野圭吾「黒笑小説」

黒い笑い。文字通り、ブラックユーモア短編集だ。 しかし、つくづく幅広いジャンルの小説を書く作家だな、と感心する。 僕的には「秘密 (文春文庫)」「白夜行 (集英社文庫)」みたいな読み応えのある長編エンタテイメントが、 一番のストライクゾーンに当たる…

瀬尾まいこ「優しい音楽」

サイン本買ってしまった。 いや、たまたま書店に並んでたのがサイン本だったので。 こういう、自分に向けてサインしてもらったのではない、サイン本って、 実際のところ、どういう意味があるのかな? と疑問も覚える。 まあ、作者の書いた字が見られるのは、…

J・M・クッツェー「エリザベス・コステロ」

アーティストではない。あれはエルビス・コステロ。 ノーベル文学賞作家の最新作だ。 難解だ。それも、〝かなり〟のレベル。 読んでいるうちに、いつの間にか字面を追っているだけになる。 で、読み返す。少し頭の中に入ってくるが、また文字の迷宮に迷い込…

山本一力「蒼龍 (文春文庫)」

オール讀物新人賞を獲得した表題作を含む、短編集だ。 長編を読み慣れているせいか、ちょいともの足りない感はあるけど、 なるほど、その後の山本一力の活躍が納得できる。 いかにも山本一力らしい短編が、「のぼりうなぎ」だ。 老舗の呉服店・近江屋に奉公…

出久根達郎「かわうその祭り」

各書評で引っ張りだこになってた本だ。 表紙がかわいい♪ マッチラベルに模したイラスト。 かわうその上に、おっちゃんが乗ってる。 なんで、かわうその祭りか、というと、 正岡子規が、寝床の回りが本だらけの自分の部屋を 〝獺祭書屋〟と呼んだのに由来する…

藤野千夜「ベジタブルハイツ物語」

2003年10月の「彼女の部屋」以来の新作。 お待ち申しておりました、と思いながら、書店レジに向かう。 緑の表紙に、白い犬が描かれた黄色いオビ。 「自分にもなにか 取り柄があったらいいのに、なにかあったら−。 芥川賞作家が描く、「目立たない」ひ…

梅田ナビオTOHOプレックスで「海を飛ぶ夢」

「オープン・ユア・アイズ」「アザーズ」のアレハンドロ・アメナバール最新作。 デビュー作「次はわたしが殺される(テシス)」以来、 文芸ホラーというか、超自然サスペンスという感じの監督だったが、 こちらは実録モノの、文芸作品。 何だか劇場混んでる…

荻原浩「誘拐ラプソディー (双葉文庫)」

何をやってもうまくいかない落ちこぼれ配管工、伊達秀吉。 すべてに行き詰まり、自殺をするつもりが、 ひょんなきっかけ(おお、古くさい表現)から、 暴力団組長の息子・伝助を誘拐してしまう。 暴力団に警察、そして中国マフィアも巻き込んでの逃避行の中…

千日前国際劇場にて「コンスタンティン」

ひとことで言うなら、「何じゃ、こりゃ…」だったりする。 あのかっこいい予告にシビれた人には、こう言いたい。 「予告以上のものは、ありまへん!!」 それどころか、あの予告のかっこいい音楽すら流れない。 期待した分、落胆は大きい。 完全にやられた、…

千日前国際シネマで「MASK2」

原題は〝SON OF THE MASK〟=マスクの息子。 いや、前日テレビでジム・キャリーの「マスク」やってたんだよな… 監督は「キャッツ&ドッグス」が、 実はけっこう面白かったローレンス・グーダーマン。 主演は「スクリーム」シリーズのホラーオタク、ジェイミ…

リチャード・モーガン「オルタード・カーボン」

〝フィリップ・K・ディック賞受賞! 「マトリックス」「ダイ・ハード」のプロデューサー、 ジョエル・シルバー&ワーナー・ブラザーズ映画化〟らしい。 このテの惹句は、けっこうありがち。 意外に映画化されなかったりすることも多いんだが、 この設定なら…

ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)」

古典ホラーの名作「ねじの回転」の新訳版だ。 何となくとっつきにくいストーリー展開に、 多忙な帰京も重なって、読むのにえらく時間がかかってしまった… 背表紙のスティーヴン・キングの賛辞が気にかかる。 〝この百年間に世に出た怪奇小説で傑作といえるの…

で、この日はさっそく天満橋の大阪造幣局、桜の通り抜けに出向く。

http://www.mint.go.jp/sakura/index.html かなりひさしぶり。 一方通行の通り抜け終了後に通る、 醜悪なまでに屋台まみれの公園のイメージばかりが残っていたが、 あらためてちゃんと観に行くと、それが間違いであることが分かる。 通り抜け自体は飲食・喫…

帰京三日目。

寒くてつらい。泊まっている東京の実家が、 一軒家のご多分に漏れず、すき間風バリバリなもんで、よけいに堪える… で、午前中の用事は築地。 正確にいうと、警視庁築地署、だったりする。 思い起こせば1年半前。 広尾でしこたま呑んで、汐留の会社に戻った…

帰京2日目。

本日のご用事は恵比寿と銀座。 昼食は恵比寿のイタリアンで軽くすませ、銀座に向かう。 それにしても、寒い。寒すぎる。雨も降ってるし、けっこうげんなり。 用事を終わらせた後、軽く暖を取るべく、 ショコラティエ「ピエール・マルコリーニ」へ。 http://w…

私用のため、4日間の帰京。

新幹線車窓から見える桜に誘われ、 荷物を置いてさっそく千鳥ケ淵に桜見物に出かける。 好天もあって、すごい人出。 九段下の駅から、異様なムードが漂ってる。 この時期、近くに行ったついでに寄ってみる程度だったので、 日曜の桜見物とか、ベタなタイミン…

栗田有起「オテルモル」

「お縫い子テルミー」「ハミザベス」が印象的だった作者の最新作。 これまでもいい感じの小説を出してきてたけど、 この「オテル モル」はちょっと突き抜けた感じだ。 独特の感覚が、より研ぎ澄まされて、より洗練されてきた印象を受けた。 現在のところの、…

ジョン・スコット・シェパード「ヘンリーの悪行リスト (新潮文庫)」

このタイトル、どうよ…、と思っていたら、 原題〝HENRY'S LIST OF WRONG〟の直訳だった。 カバー写真も何となく、ノワール感醸し出してたんで、 すっかり、「アメリカン・サイコ」みたいな、 エリート・ビジネスマンの非情の所業の数々、を描いた小説だと思…

黒川博行「左手首 (新潮文庫)」

前日の「さくら」からの口直しを期待、である。 人工甘味料と化学調味料で作った料理を食べた後、 みたいなもんだから、クセの強い料理が必要だった。 「疫病神」「国境」に連なるような、ノワール短編集だ。 「文福茶釜」でも見られた、さまざまな〝手口〟…

西加奈子「さくら」

ちなみに、今回は批判三昧だから、 この本のファンの人は、読まないか、覚悟して読むか、のどちらかで。 いや、全然読む気なかった。 だって、書店のPOPが「セカチュー、イマアイの次はこれ!!」 どう見ても、〝本を読まない人〟向けの本にしか思えない…

ダン・ブラウン「デセプション・ポイント 上」「デセプション・ポイント 下」

オビにある通り 「ダ・ヴィンチ・コードのダン・ブラウン 日本最新刊!」。 でも、「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」の間に書かれた、 ノンシリーズ作品でラングドン・シリーズとは無関係だったりする。 うれしい半面、「ううむ、売れっ子作家にあり…

川上弘美「古道具 中野商店」

待望の新作。 〝古道具屋〟の中野商店を舞台にしたお話だ。 主人公の〝わたし〟ヒトミは、そこの店員さん。 で、この中野商店、 店主の中野さんいわく「骨董じゃないよ、古道具なの、うちは」。 アンティーク・ショップでも骨董屋でもない、 もちろんリサイ…

松尾由美「スパイク (光文社文庫)」

「雨恋」の感動さめやらぬ中、読んでみる。 なにしろ、犬が主人公。たまらん。 ネコ飼いのくせに、とは思うのだが、犬は犬ですごく好きだ。 ネコにはない、ストレートな愛ってのにもけっこう憧れる。 以前観た「マイ・ドッグ・スキップ [DVD]」なんて、映画…