2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

作・久住昌之、画・谷口ジロー「散歩もの」

あの名作「孤独のグルメ」のコンビによる、通販生活連載作品。 一時期漫画アクションを読んでいた頃、久住昌之の「ダンドリ君」とか好きだったし、 老齢の犬の死にざまを克明に記した谷口ジローの「犬を飼う (Big comics special)」も忘れられない傑作。 谷…

山本幸久「男は敵、女はもっと敵」

最近お気に入りの山本幸久最新作。 「はなうた日和」を思わせる、主人公が入れ替わる連作だ。 連作の軸となるのはフリーの映画宣伝マン(ウーマン?)高坂藍子。 その妹、梨本麻衣子や、元旦那の湯川卓、その恋人の池上真紀、 麻衣子の旦那の梨本護、藍子の…

絲山秋子「沖で待つ」

芥川賞受賞作の「沖で待つ」は、文學界のバックナンバーで既読。 http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20060126 今回あらためて、違うレイアウトで読んでみると、何となく気分が違う。 独特の静謐な雰囲気、というか、行間の佇まいが胸に詰まる。 やっぱり、きち…

ヴァージンシネマズ六本木ヒルズで「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」

約1カ月ぶりの帰京。 せっかくなので、先行よりさらに1日早い限定レイトショーに臨む。 24時の上映開始とあって、さすがの六本木でも人はまばら… スクリーンはたぶん国内でも最大クラスの7番スクリーン。 壮大なファンタジー世界を楽しむのには、最高の…

E.アニー・プルー「ブロークバック・マウンテン (集英社文庫(海外))」

近日公開!「ブロークバック・マウンテン」原作だ。 アカデミー賞では作品賞、監督賞(アン・リー)に 主演男優賞(ヒース・レジャー)、 助演男優賞(ジェイク・ギレンホール)、 助演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)など、 今回最多の8部門のノミネート…

梅田OS劇場で「アサルト13 要塞警察」

「アサルト13」、適当っぽいけど、意外にいいタイトルかも知れない。 原題は〝ASSAULT ON PRECINCT 13〟 つまり13分署襲撃、なのだが、あんまり率直に訳しても面白くない。 アサルト13では全然意味が通らないけど、聞こえがいい気はしないでもない。 …

フィリップ・ゴーレイヴィッチ「ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実」「ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実」

わが家の本棚で長らく?積ん読?になってた1冊(上下巻で2冊だが)。 ようやく「ホテル・ルワンダ」を観ることができたので、ついに本を開く。 スティーヴン・キングの作品を思わせるおどろおどろしい表紙からは、 ホラーの佇まいを見せているが、れっきとし…

筒井康隆「銀齢の果て」

筒井康隆。ものすごい久しぶりに読む気がする。 最後に読んだのはたぶん中学生の時だと思う。 中でも好きだったのは、奇人変人フリークス大集合の「俗物図鑑 (新潮文庫)」。 いまだとヘタしたら出版できないくらい悪趣味全開の一冊だった。 で、いまその悪趣…

心斎橋・パラダイスシネマで「ウォーク・ザ・ライン/きみにつづく道」

ゴールデングローブ賞で作品賞(コメディ/ミュージカル部門)、 主演男優、主演女優の3部門に輝いた、ジョニー・キャッシュの生涯を描いた伝記映画。 アカデミー賞(3月5日発表)でも主演男優、主演女優を含む5部門でノミネート。 ジョニー・キャッシュ…

エドワード・ドルニック「ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日」

原題は?THE RESCUE ARTIST? 夢中で読み終えたと思ったら、19日付の日経書評で取り上げられてた。 ?ダ・ヴィンチ、ゴッホ、ムンク− 名画はなぜ盗まれるのか? 巨財な犯罪市場を形成する美術品盗難の世界を、 ロンドン警視庁の囮警察官の視点から暴いたノンフ…

九条はシネ・ヌーヴォで「ホテル・ルワンダ」

長い道のりだった。 昨年のアカデミー賞、主演男優賞でドン・チードル、 ほかにも脚本賞、助演女優賞の計3部門でノミネートされ、 「おっ! ドン・チードル主演作か」と、気になってから一年以上… 町山智浩氏のコラムで、その衝撃的な内容を知り… さらにど…

ひさびさの大阪グルメ♪

法善寺横丁の串揚げ「Wasabi」に行ってみる。 法善寺横丁の中ほどの、しっとりとした佇まいのお店。 のれんをくぐると、女性店主から丁寧なごあいさつをいただく。 大阪のお店というと押し出しが強すぎたり、ヘンに手慣れすぎていたり、 と、ちょっともアク…

スティーヴ・エリクソン「黒い時計の旅 (白水uブックス)」

スティーヴ・エリクソンが幻視する、もうひとつの20世紀。 われわれが知る現実世界と、 第二次世界大戦で、ヒトラーが勝利をおさめた世界。 虚構と現実が、ねじれた空間、そして時間枠とともに入り乱れる。 姪にして最愛の恋人でもあったゲリを自らの手に…

梅田ナビオTOHOプレックスで「タブロイド」

「大いなる遺産」「天国の口、終わりの楽園」 そして「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を監督した アルフォンソ・キュアロンが製作にあたり、 主演は近年すっかり怪優としての地位を築きつつある、 ジョン・レグイザモ(「ロミオ&ジュリエット」「ム…

東野圭吾「ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)」

きょうで宮崎出張最終日。 空港でレンタカー返却する前に、ちょびっと青島へ足を伸ばす。 しかし、とりあえず車窓から眺めるだけで終了。 だって、駐車場もろくにないし、青島まで歩いていくのもめんどくさいし… というわけで(どこが、というわけなのか知ら…

宮崎シネサロンで「イントゥ・ザ・ブルー」

どうも、ヨーロッパ旅行に出ている間に見逃していた一本。 3カ月遅れで、まさか宮崎で観ることになるとは思わなかった。 たぶん近々、タワレコの店頭とかでDVD(それも1980円…) を見かけることになるとは思うけど、いいのだ。 劇場で、スクリーンで…

シネプレックス熊本で「ジャーヘッド」

ジャーヘッド。それは、刈り上げ頭を意味する、米海兵隊の俗称。 魔法瓶のように空っぽの、〝空っぽ頭〟のことでもある。 スウォードはサクラメント出身の18歳。 兵士だった祖父、父と同じように海兵隊へ入隊する。 しかし、待っていたのは、軍隊における…

真保裕一「誘拐の果実 (上) (集英社文庫)」「誘拐の果実 (下) (集英社文庫)」

2002年11月、東野圭吾の「ゲームの名は誘拐」とともに、 まるで競作のように刊行された真保裕一による誘拐ものだ。 当時話題になっていたころは、まだ真保裕一作品を読んだことがなかった。 なぜって、映画版「ホワイトアウト」の織田裕二が嫌いだった…

ヒラリー・ウォー「ながい眠り (創元推理文庫)」

きょうから宮崎&熊本たらい回し出張… 南国といっても、いまはさほど温かくないし、 あまり気が進まないのだが、まあ仕事なので文句はいえない。 でも、どうせヒマさえあればやってることは同じ、 読書だったりするので、まあ気にしないことにする。 で、気…

朱川湊人「わくらば日記」

〝懐かしくてやるせない、五つの物語〟 毎度お馴染み、朱川湊人による、ノスタルジックな〝すこし不思議〟話だ。 手慣れた設定、手慣れた手法ではあるが、そこはさすがの朱川湊人。 何だか読んだような気はさせても、決して退屈はさせない。 そして、ノスタ…

千日前・敷島シネポップで「オリバー・ツイスト」

「戦場のピアニスト」で復活したロマン・ポランスキーが、 チャールズ・ディケンズの名作を完全映像化! というやつ。 そのディケンズの原作は読んでいないけど(古い翻訳ものは苦手で…)、 予告を観る限り、文芸ものとしても、なかなか魅力のある素材っぽい…

道頓堀松竹角座で「ミュンヘン」

テロリズムと、その報復で世界が揺れた9/11以後− スピルバーグが満を持して送る、平和の叫びである。 ユダヤ系でありながら、イスラエルの反テロ政策にも批判の目を向けた、 冒険的な作品であり、イスラエルから猛反発を受けたとという。 そして、「プラ…

西原理恵子+母さんズ「ああ息子」

毎日新聞の好評連載「毎日かあさん」から飛び出た企画。 ちなみに「毎日かあさん」、ご存じない方はこちら↓ http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/etc/riezo/ 虫を、鼻くそを、カーテンを食ってた…、家中にサラダ油をばらまいて滑ってた… どぶに、洗…

井上夢人「オルファクトグラム(上) (講談社文庫)」「オルファクトグラム(下) (講談社文庫)」

「the TEAM」の勢いを駆って、すかさず読んでみる。 2001年版の「このミス」4位。なるほど、という感じだ。 読み始めて、あっという間にその世界に引きずり込まれた。 犬なみの嗅覚、という設定がここまで広がるとは、という感じ。 ちょっとしたSF的…

村上春樹「海辺のカフカ (上) (新潮文庫)」「海辺のカフカ (下) (新潮文庫)」

夢中で読んでしまった。 ページをめくるのがもどかしいほど、先を読み進めたくなり、 終盤にさしかかると、読み終えるのが名残惜しくて、ページをめくる手が重くなる。 正直。もっと文学寄りの作品かと思っていたのだが、 純然たるエンタテイメントとしても…

梅田ナビオTOHOプレックスで「悪魔の棲む家」

1979年の「悪魔の棲む家」〝THE AMITYVILLE HORROR〟のリメイクだ。 子どもの頃、予告を観てかなり怖い想いをした覚えがある。 本編もたぶん、テレビで観たはずなのだが、記憶なし。 ずいぶん前にネットで見たリメイク版の予告は、抜群の出来だった。 マ…

石垣ちょっと紀行その2

石垣島滞在3日目にして最終日。 午前中いっぱいは使えるので、昨日断念したドライブに挑む。 懸念していた天気は、晴れ時々曇り。 風が強く、確かに雲も多いが、けっこう強めの日差しという、まずまずの好条件だ。 格安で借りた軽自動車(3時間1650円…

フィリップ・シーモア・ホフマンに清き一票を!

http://www.oscars.com/nominees/list.html 毎度おなじみアカデミー賞、ことしもノミネーションが発表された。 ことしの発表は現地時間の3月5日。 1年に数回の〝WOWOWやめなきゃよかった…〟の日だが、 何とかNHKの衛星とかでライブやってもらえな…

黒川博行「封印 (文春文庫)」

黒川博行といえば、「キャッツアイころがった (創元推理文庫)」などの警察小説とともに、 「国境」「暗礁」などの「疫病神」シリーズの大阪ヤクザものが定番だが、 この「封印」は大阪ヤクザ系のノンシリーズとなる。 単行本の初版は1992年。もう早くも…