石垣ちょっと紀行その2


石垣島滞在3日目にして最終日。
午前中いっぱいは使えるので、昨日断念したドライブに挑む。
懸念していた天気は、晴れ時々曇り。
風が強く、確かに雲も多いが、けっこう強めの日差しという、まずまずの好条件だ。
格安で借りた軽自動車(3時間1650円!!)で、さっそうとスタートする。
のつもりだったが、前日分で書き忘れた晩ご飯をまずはさらりと振り返る。


変わったものを食べるのが好きなのである。
だから、以前沖縄本当に行ったときは、
イルカ炒め(愛護団体の人、怒らないで…)とか、ヤギのにぎりとか、食べまくった。
だから、今回も変わったものが食べたいな、といろいろな店の軒先を眺め、
ああでもない、こうでもない、と悩みまくる。


で、結局入ったのは市役所近くの「菜海」(だったと思う)という店。
居酒屋と小料理屋とスナックを足して3で割ったようなたたずまいだ。
頼んだのは3品。
石垣牛のにぎり」
「島野菜の天ぷら」
「パパイヤと豚バラの煮付け」
思ったより普通のメニューになってしまったが、気を取り直して挑むことにする。
まずは石垣牛のにぎり。
比較的赤身にニュアンスがある。
とろりとサシの部分がとける感じより、生肉のうまみが強い印象。
かなり好感の持てる牛刺しだったと思う。

島野菜の天ぷらは数種類。
ゴーヤになすび(沖縄産)、フーチバ(ヨモギ)、島らっきょうなどなど。
印象的なのは「おおたにわたり」というシダ科(!)の青野菜。
意外とクセはないのだが、食感がいかにもシダの若芽を食べてますという感じ。
(いや、実際にシダを食べたことはないのだけれど…)
意外とあのシャクシャク感はクセになりそうだ。
あとは、タコノキ、とも言われるアダンの新芽。
こちらの食感は、クセのないミョウガというか、若タケノコというか…
味はとってもおとなしめで、優しい感じ。また食べてみたいな、という感じだった。

豚バラとパパイヤ、は、パパイヤの甘い香りにちょっと戸惑うが、
実際に食べてみると、パパイヤ独特の甘さと、豚バラの脂肪の甘みが、
予想をはるかに超えるレベルでマッチしている感じだ。
まあ考えてみれば、肉とフルーツの組み合わせは海外では当たり前。
熟したパパイヤを醤油味で煮込む、という概念上の響きに違和感があるだけで、
よくよく考えてみれば、何も戸惑う要素はなかったわけだ。


という感じで、とりあえず夕食回想終了。ドライブに戻る。
まずは有名な川平湾へ向かうのだが、道中、まずは気になったこと。
沖縄本島ほど盛んではないのだが、
それでもけっこう頻繁にダンプが行き交い、そこかしこで工事が行われている模様だ。
単に観光で訪れた人間がどうこう言うのも憚られるのだが、
そんなに中途半端に開発を進めてしまっていいんだろうかね…
リゾート開発って、実際は地元にあんまりカネが落ちない割に、
自然破壊のツケだけは着実に地元にはね返ってくるのだけど、なんて他人事ながら心配になる。


気を取り直して、川平湾だ。
連日の雨の影響もあって、水の透明度はやや低め。
ビーチにはグラスボートが何艘も待機しているが、とりあえずはパスしておく。
でも、けっこう観光ツアーは多いらしい。そこそこ人出は多い。
季節が季節なんでしかたないが、ちょっと期待外れ感を覚えつつ、再び車に乗り込む。


そのまま79号線を東へ向かう。
次に訪れたのは、吹通川のヒルギ林。マングローブが群生するエリアだ。
群生林の中にはいっていけるわけではないが、南国っぽさを味わうには抜群のスポット。
これでヤシガニあたりが歩いていたりしてくれると最高だが、それはさすがになし。

気を取り直して、再び79号線を北東に向かう。
ボウリングのピンのようにくびれた伊原間を通り、206号線を北に走る。
次の目的地は最北端の平久保埼灯台
安良山などの景色を右に眺めながら、快適なドライブが続く。
しばらく走ると、曲がりくねった細道へ。これを抜けると岬となる。
駐車場で車を降りてみると、ものすごい風が吹いている。
日差しは強いのだが、はっきりいってすごく寒い。
沖縄本島の最北端、辺戸岬を思いだす。あそこも風が強くて寒かったっけ…
とはいえ、眺めは絶景そのものだ。

あまり人の手を加えられていないおかげで、
何かで気分を削がれることなく純粋に景色を楽しむことができる。
ザトウクジラの潮吹きとか見られたらいいのだろうが、当然そんなものはなし。
あんまりにも寒いので、10分足らずで岬におさらばする。


元来た道を戻り、再び伊原間を通って、こんどは390号線に入る。
島の〝くびれ〟を一望できる、玉取崎展望台へ。
小高い丘を登り、駐車場から、ハイビスカスが咲く小道を歩く。

クロアゲハが飛び交う光景は、何だかもう春を跳び越え、夏の風情だ。

やや時間がタイトになってきたので、駆け足で眺望を楽しみ、再び390号線を南下。
海岸沿いの一本道をひた走る。
昼が近づき、日差しも強くなってくる中、水面に反射する光もまぶしい。


最後は空港近くの書店に寄ってから(またかよ!)、レンタカーを返却する。
これでしめて3時間。
ちょっとした合間に楽しむには、なかなか上質な時間を過ごせたような満足感。
石垣空港でピーチパインやグァバなどなどを買い込み、那覇乗り継ぎで帰途に就いたのだった。