なんば千日前は敷島シネポップで「ファンタスティック・フォー」

mike-cat2005-09-21



予告を観る限り、けっこうキャッチーで楽しそうな映画だったのに、
公開前の話題といえば、レイザーラモンHGハードゲイ)が、
関西宣伝部長を務めたぐらい。
つながりは、いえば「フォーッ!」しかないという強引さには笑うが、
何だか寂しい感じは否めない。第一、関西限定企画というのが、あまりに痛い…


よくもこれだけネタが尽きないな、と感心するばかりのアメコミ原作ものだ。
最近だけでも「ヘルボーイ」「リーグ・オブ・レジェンド
コンスタンティン」などなど。
バットマン」「スパイダーマン」という超大物クラスが、
かなりのクオリティで製作されている現在、
〝誰でも知ってる〟級じゃない作品を作る、
ヒットさせることの難しさってのは並大抵じゃないはずだ。
それでも作るということは、DVDや関連グッズを含め、
まずまず安定したマーケットが存在するのだろうけど、
やっぱり「何でわざわざ」の感は否めない。
まあ、それでも余さず観てしまう層が自分を含めて存在するわけで、
ほとんど網羅しておきながら、偉そうに何かを語るのもどうかと思うので、このへんで。


チキチキマシン猛レース」なんかで有名なハンナ・バーベラ・プロでアニメ化され、
日本では「宇宙忍者ゴームズ」なんて名前でテレビ放映されていたらしい。
「外国製TV番組大不完全科」によると、主題歌はこんな感じだったとか。
http://www.daneel.org/TVzenka1.htm
「のびろ!ゴームズ!
 消えろ!スージー
 燃えろ!ファイヤー・ボーイ!
 くだけ!ガンロック!」
ゴム=ゴームズ、ね。何だかいかにも昭和40年代っぽい雑なネーミングで…


「X−メン」「スパイダーマン」「ハルク」など、ハズレの少ないマーベルから、だ。
「ハルク」はあまり評判よくなかったかも…
僕はジェニファー・コネリー好きなんで、けっこう好きなのだが。
デアデビル」だって、ジェニファー・ガーナーエレクトラはよかったし、
とか書いていると、
おネエちゃんで作品に対する評価を決めているように思われてしまうのだが、
実はややそのケあり。
よって、今回の「ファンタスティック・フォー」なんかも、
ジェシカ・アルバに期待するところは大きいのだ。
アルバ出演のアメコミ待機作「シン・シティ」でもいえるのだけれど、
その、記号的な魅力はこういう〝様式美〟的なアメコミ世界にピタッとはまる。
ある意味、いるだけでその作品の世界観が、
うまいこと表現されてくるような、オーラすら感じられる。
サービスショットももちろん期待が大きいトコなんだが、そこはまあ控えめ、
露出そのものは、実際にパーティなんかで着ているドレスより全然少ない。


で、実際のストーリーはこんな案配。
人類の進化と宇宙嵐の関係を研究しているリチャードは、
地球に最接近する宇宙嵐に備え、同窓の大富豪ビクターに研究資金提供を依頼する。
リチャードと僚友ベン、元恋人のスー、その弟ジョニーとビクターを乗せた宇宙船は、
計算をはるかに上回るスピードで襲来した宇宙嵐の襲来を受ける。
DNAに変異をきたした乗組員は、それぞれが〝超能力〟を手にしてしまったのだった。


キャストは、正直言ってそう豪華とはいえない。
インビジブル・ウーマンを演じるジェシカ・アルバも、ギャラや格的にはこれからだし、
身体が自由に伸び縮みするMr.ファンタスティックには、
キング・アーサー」でランスロットを演じたヨアン・グリフィズと、ちょい地味め。
炎を操るファイアー・トーチのジョニー役には
セルラー」のカルい演技が印象的だったクリス・エヴァンス
今回もまことにカルい兄ちゃんそのものの演技で臨んでいる。
それとも、それは〝地〟なの?
全身岩石のザ・シングにはマイケル・チクリスというテレビ系の俳優。
というわけで、4人の出演料が安い分は、CGに使われたのか、HGに使われたのか…


しかし、ここまで散々なことを書いてきたのだが、
この作品、なかなかどうして楽しい一本に仕上がっていたりするのだ。
まず全体のトーンが「Xーメン」や「スパイダーマン」とは、大きく違う。
軽いのだ。それも、とても、の形容詞付。
深刻そうな顔つきをしているときもあるけど、あまり多くない。
いわゆる、〝力〟を持つ人間の悩み、みたいなものも、あるキャラで描かれるが、
それとても、いかにも簡単に解決される。ちなみに、彼女ができるだけ、でだ。
作品を通して描かれるのは、特殊能力を用いたジョークみたいなものばかり。
シャワーをのぞかれる透明人間だとか、トイレから手が伸びてトイレットペーパーを、
とか、もうへなへな一歩手前のお笑いシーンが続々と登場する。
この作品世界にほれ込んでいて、
ファンタスティック・フォーのシリアスな活躍が観たいヒトにはともかく、
「おっ、おもしろそう」ノリで観に行く観客にとっては、終始退屈しない作りなのだ。


特撮そのものは、意外とちゃちだったりもする。
アクションシーンの緊迫感、というのもまあそんなに手に汗握りはしない。
しかしそれはそれで、全体のトーンが安定しているせいで、
さほどマイナス要因にはならない。
むしろ、最後まで軽い感じで観ることができる、
という意味では、まとまりのいい作品ともいえる。
あんまり期待しすぎて観に行けば、そりゃがっかりはするだろうが、
カネを使ったB級娯楽映画と、いい意味で割り切って観れば、
楽しい2時間弱が過ごせるはずだ。
そう、こういう映画に目くじら立てても、という感じで。