小説−日本

奥田英朗「家日和」

〝いい人は家にいる〟 奥田英朗の最新作は、家を舞台にした短編集。 〝ずっと外にいた夫の王国か。 ずっと家にいた妻の城か。 ビター&スウィートな<在宅>小説。〟 題材はもちろん、いま、その在り方を問われる家、そして家庭。 〝2007年奥田英朗のオ…

伊坂幸太郎「ラッシュライフ (新潮文庫)」

〝巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる〟 そういえば未読だった、伊坂幸太郎の2002年度作品。 ジョン・コルトレーンの〝Lush Life(豊潤な人生)〟をモチーフに、 〝lash(むち打つ)〟に〝lush(豊富な、華麗な)〟、 〝rash(無分別な、軽…

浅田次郎「月島慕情」

〝あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ 〟 「姫椿 (文春文庫)」「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」の浅田次郎、最新短編集。 〝月島に行ったら、幸せになれる― やっと自由を手に入れた吉原の太夫は、 愛する男の住む“夢の島”へ思いを馳せる…

森見登美彦「新釈 走れメロス 他四篇」

〝あの名作が、京の都に甦る!? 暴走する恋と友情―― 若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!〟 表題作の太宰治「走れメロス」に、中島敦「山月記」、芥川竜之介「藪の中」、 坂口安吾「桜の森の満開の下」、森鷗外「百物語」を現代流&森見登美彦流に…

森見登美彦「四畳半神話大系」

〝無意味で楽しい毎日じゃないですか。何が不満なんです?〟 「夜は短し歩けよ乙女」の森見登美彦による既刊本。 〝「太陽の塔 (新潮文庫)」から1年―――。 再びトンチキな大学生の妄想が京都の街を駆け巡る!〟 「夜は短し〜」の天狗こと樋口さんや羽貫さん…

森奈津子「踊るギムナジウム」

「西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)」の森奈津子最新作。 〝性愛の夢想人が贈る、笑撃のゲイ・コメディ集〟 百合コメディ「姫百合たちの放課後 (Book of dreams)」の姉妹編にも当たる、薔薇コメディ。 〝ぼくは恥じてない! ただ、美しく清らかな人を…

桜庭一樹「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

〝憤怒と純情の美少女、川村七竈、十七歳。〟 「赤朽葉家の伝説」でようやく桜庭一樹の真価を知る。 で、以前何となくパスした、この1冊をいまさら読む。 〝美しさに呪われた少女七竈の、 せつない冒険を鮮烈に描く、大人の“少女”小説〟 少女の名は、七竈。…

樋口有介「刺青(タトゥー)白書 (創元推理文庫)」

〝ひとりの少女の死が人生の歯車を狂わせる。 バラのタトゥーに隠された哀しい絆が、柚木を不安にさせる〟 「」の柚木草平シリーズの番外編的作品。 〝女子大生・鈴女の青春に、柚木の優しさが絡み合う。 青春私立探偵シリーズ第四弾、初文庫化!〟 美女に惑…

松尾由美「九月の恋と出会うまで」

〝男はみんな奇跡を起こしたいと思ってる。 好きになった女の人のために〟 松尾由美による書き下ろしファンタジー・ラブストーリー。 〝「雨恋」の作者が放つありえない恋の物語・第二弾〟 今回、奇跡の舞台となるのは〝エアコンの穴〟 〝魔法に導かれた彼女…

佐藤正午「5」

〝出会った頃の情熱は今どこにありますか 本当の愛を探し求める孤独な魂たちへ。新感覚の恋愛小説〟 佐藤正午、7年ぶりの新作長編。 そして〝著者会心の最高傑作〟だそうだ。 これまで読んだことがあるのは「ジャンプ (光文社文庫)」だけ。 あとは時任三郎…

有川浩「海の底」

〝春、寧日。 天気晴朗なれど、波の下には不穏があった。〟 「図書館戦争」シリーズの有川浩による2005年度作品。 これまで気になりつつも何となく読んでなかったのだが、 スピンオフ2編が収録された「クジラの彼」で、 あらためて読んでみなければ、と…

有川浩「図書館危機」

〝図書館は誰がために――〟 メディア良化法の検閲と戦う、 図書隊の活躍を描く「図書館戦争」シリーズ最新刊!! 〝終始喧嘩腰でシリーズ第3弾、またまた推参!〟 〝王子様、ついに発覚! 山猿ヒロイン大混乱! 玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・…

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

〝ひよこ豆のように小さな乙女の冒険 とびきりキュートな恋愛小説!!〟 本屋大賞ノミネートをはじめ、各方面で大評判の1冊。 オビでは大森望&豊崎由美が大絶賛。 〝大傑作。文句なしにことしの恋愛小説ナンバーワン〟 〝大変愛らしゅうございますの。〟 …

有川浩「クジラの彼」

〝男前でかわいい彼女たちの最強恋愛小説!〟 「海の底」「空の中」のスピンオフを中心に、 自衛隊を舞台にした、6編のベタ甘なラブストーリー。 〝恋は始まるまでがいちばんいい −北上次郎〟 ロマンティックでキュンとなる恋愛がギュッと詰まった1冊だ。 …

芦原すなお「わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)」

「ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)」「嫁洗い池 (創元推理文庫)」 に続く、久々&待望のシリーズ第3弾! 〝讃岐の味に彩られた、台所探偵の名推理〟 「青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)」の直木賞作家による、 ほのぼの系安楽椅子探偵…

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

〝「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」 売れないロックバンドが 最後のレコーディングで叫んだ声が、 時空を越えて奇蹟を起こす。〟 〝a story〟のサブイタイトルがついた、 伊坂幸太郎の最新作は、4編による短編集だ。 デビュー第一編の「動…

平山夢明「メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)」

〝ホラー小説の歴史を変える傑作〟 「独白するユニバーサル横メルカトル」の、 平山夢明による最高傑作の誉れも高い1冊。 〝人の不幸をコレクションする男の依頼を受けた「俺」は、 自分の子供の首を切断した女の調査に赴く−〟 果てしない暗黒に包まれた、…

戸梶圭太「ドクター・ハンナ―死と踊る美人女医 (徳間文庫)」

〝切り裂き美人女医、悪魔の囁き!〟 いかにもトカジだなぁ、という下世話なオビ。 〝長編官能サスペンス〟らしい。 そんなこと書かれたら、買いにくいんですが… そう思いつつ、手に取ってみた1冊だ。 南青山小森病院の外科医・石月畔奈。 美貌の彼女が繰り…

道尾秀介「シャドウ (ミステリ・フロンティア)」

このミス国内編第3位、週刊文春国内編10位。 〝「向日葵の咲かない夏」の俊英が放つ巧緻な本格ミステリ!〟 話題の1冊をようやく読んでみることにする。 我茂洋一郎と水城徹、その妻、我茂咲枝と水城恵、我茂鳳介と水城亜紀。 いずれも同級生同士という…

真保裕一「最愛」

〝愛の内側。愛の外側。〟 真保裕一の最新作は、生き別れとなっていた姉の、 しらなかった過去をめぐるサスペンス調〝恋愛小説〟。 〝18年ぶりに再会した姉が選んだ夫は、 かつて人を殺めた男だった−〟 主人公は、私立病院の小児科医に勤務する〝僕〟押村…

桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

〝「少女には向かない職業」の俊英、ついに本領発揮!〟 桜庭一樹の最新作は、戦後から現代まで、 時代のうねりの中で駆け抜いた3人の女を通じた年代記。 〝祖母。母。わたし。 だんだんの世界の女たち〟 赤朽葉万葉、毛毬、そして語り手の〝わたし〟瞳子。…

瀬戸良枝「幻をなぐる」

〝理想の男との“奇跡のセックス”の後、 待っていたのは……。 奴を忘れるために、 中川は肉体を鍛えはじめた。〟 第30回すばる文学賞受賞作、である。 〝きれいごとばかりの恋愛小説に 飽きた人へおくる妄執まみれの失恋克服記〟 主人公は、子供の頃から不器…

蒼井上鷹「ハンプティ・ダンプティは塀の中 (ミステリ・フロンティア)」

東京創元社《ミステリ・フロンティア》の最新刊。 〝「九杯目には早すぎる」の新鋭が贈るおかしな謎解き合戦〟 〝本書の舞台である、逮捕された被疑者を拘禁するために 警察署の中に設置された施設とは、次のうちどれでしょう? ①留置場②拘置所③土壇場④刑務…

佐々木譲「警察庁から来た男」

〝キャリアのプライドか、ノンキャリの意地か〟 〝北海道警察に警察庁から監査が入った。 やってきたのはキャリアの監察官。〟 〝このミス〟国内編2位「制服捜査」の佐々木譲最新作。 「制服捜査」と緩やかに連なる「うたう警官」の続編となる。 「うたう警…

絲山秋子「エスケイプ/アブセント」

「沖で待つ」「海の仙人 (新潮文庫)」の絲山秋子、待望の最新作。 〝闘争と潜伏の20年から目覚めた「おれ」。 人生は、まだたっぷりと残っている−。 気鋭の見事な到達点、響きあう二編の傑作小説。〟 時代に取り残された〝おれ〟の奇妙な京都の旅。 〝悪い…

平山夢明「独白するユニバーサル横メルカトル」

2007年度版〝このミス〟国内編第1位。 2006年度日本推理作家協会賞受賞作。 〝業界騒然。掛け値なし、本年最大の問題作。 平山夢明。この男、驚くほど高く跳ぶ。〟 〝このミス〟による紹介文は、 〝嗜虐、スカトロ、人肉色…読者を選ぶ鬼畜系の魅力…

東野圭吾「使命と魂のリミット」

〝閉鎖空間・タイムリミット・隣り合わせの死〟 〝心の限界に挑む医学サスペンス〟 東野圭吾の最新作は、メディカル・エンタテインメント。 〝あの日、手術室で何があったのか? 今日、手術室で何が起きるのか?〟 読み始めたら、最後まで一気読みは必至の1…

加納朋子「モノレールねこ」

〝時を越えて届くあの頃からの贈りもの〟 〝儚いけど、揺るぎない− 「家族」という絆〟 「ささらさや (幻冬舎文庫)」「てるてるあした」の加納朋子最新作。 「いい話系ファンタジー」に「ご近所ミステリー」風味を加えた、 (といっても、ミステリーではない…

海堂尊「螺鈿迷宮」

〝『チーム・バチスタの栄光』の新鋭が贈る 最新メディカル・エンターテインメント!〟 というわけで「チーム・バチスタの栄光」 「ナイチンゲールの沈黙」のスピンオフが早くも登場。 〝バチスタ・スキャンダルから1年半− ロジカル・モンスターの最強の部…

町田康「パンク侍、斬られて候 (角川文庫)」

というわけで、約1年ぶりの町田康だが、 ハードカバーでは、読みそびれた1冊が文庫化。 「表紙の写真がちょっと…」という気持ちを、 町田康の猿まね風に書いてみようかと思うのだが、 何で買わなかったかというと、 町田康自身が侍の衣装に扮しているのを…