ノンフィクション

エリック・ラーソン「悪魔と博覧会」

舞台は19世紀末、万博を控えたシカゴ。 工場の煙と汽車の喧噪のさなかに二人の男が住んでいた。 ひとりは建築家、ひとりはシリアルキラー(連続大量殺人犯)。 二人とも、激しい勢いで二十世紀になだれこもうとしていた アメリカならではのダイナミズムを…

ジョエル・ベイカン「ザ・コーポレーション」

ちょいと前に観たばかりの映画「ザ・コーポレーション」原作本。 http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20060414 搾取だけにとどまらず、環境破壊にメディア操作、健康阻害… 悪の限りを尽くし、わたしたちの社会を支配する、 「企業」の手口を暴き出し、分析を加…

イモジェン・エドワード・ジョーンズ&匿名「誰も知らない五つ星ホテルの24時間―匿名ホテルマンの爆笑告白記」

英BBCでTVドラマ化(それも大人気!)されたという、 ベテランホテルマンによる匿名の裏側暴露、である。 文春文庫で出てたジェフリー・ロビンソンの 「扉の向こうに隠された世界 ザ・ホテル (文春文庫)」というのもあったが、 あちらはあくまで、ノン…

フィリップ・ゴーレイヴィッチ「ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実」「ジェノサイドの丘〈下〉―ルワンダ虐殺の隠された真実」

わが家の本棚で長らく?積ん読?になってた1冊(上下巻で2冊だが)。 ようやく「ホテル・ルワンダ」を観ることができたので、ついに本を開く。 スティーヴン・キングの作品を思わせるおどろおどろしい表紙からは、 ホラーの佇まいを見せているが、れっきとし…

エドワード・ドルニック「ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日」

原題は?THE RESCUE ARTIST? 夢中で読み終えたと思ったら、19日付の日経書評で取り上げられてた。 ?ダ・ヴィンチ、ゴッホ、ムンク− 名画はなぜ盗まれるのか? 巨財な犯罪市場を形成する美術品盗難の世界を、 ロンドン警視庁の囮警察官の視点から暴いたノンフ…

町山智浩「〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション)」

「映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)」に続く第二弾。 「映画秘宝」の好評連載「Yesterday Oncemore」 を大幅に加筆修正した、文字通り〝映画の見方が分かる本〟である。 名だたる傑作、名作…

スラヴォミール・ラウイッツ「脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち」

「このミステリーがすごい!」「本の雑誌」など、ベスト10が出そろい始めた。 で、読みたい本はもともと山ほどたくさんあるのに、 それが倍増、3倍増とさらに苦しくなってくるのがこの季節なワケだが、 何号か前の「本の雑誌」で見て以来、気になっていた…

戸井昌造「戦争案内 (平凡社ライブラリー)」

これまた旅行前から気になっていた一冊。 〝わたしは自分の歳を言うとき、戸籍上の年齢から三つ引くことにしている。 三年間はロスだったからだ。しかも二十歳から二十三歳までの、華の三年間だ。〟 こう語る、著者がその3年間何をしていたか、というと、 …

エドウィン・H.コルバート「恐竜の発見 ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース」

原題は〝Men and Dinosaurs〟直訳すれば、男たちと恐竜。 〝6400万年前に絶滅した恐竜たちの姿を甦らせた男たちの物語〟だ。 1822年、イギリスのマンテル夫妻が見つけた、先史時代の歯の化石。 トカゲのような爬虫類と思われるその化石こそ、 世界で…

ジム・ドワイヤー、ケヴィン・フリン「9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言」

2001年9月11日の米同時多発テロで、全世界を衝撃に陥れた 世界貿易センター(WTC)への旅客機突入、崩落事件を再現したノンフィクション。 あの衝撃の映像は、いまでも脳裏に焼きついているし、 テロの裏にあった巨大な陰謀は、もうマイケル・ムー…

トルーマン・カポーティ「冷血」

〝魂の暗部を抉りつくすノンフィクションノベルの金字塔〟 金字塔、の前には「言わずと知れた」のひと言を添えてもいいだろう。 とか、言う割に実は読んだことがなかったのだ。 言い訳になるのだが、いわゆる〝古い翻訳〟がどうにも苦手。 たとえ、名訳と言…

モーガン・スパーロック「食べるな危険!!ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する」

マクドナルドの食事だけで一カ月暮らしたらどうなるか? で話題を呼んだ「スーパーサイズ・ミー」のスパーロックによる詳細版&後日談。スーパーサイズ・ミー [DVD]出版社/メーカー: TCエンタテインメント発売日: 2005/07/08メディア: DVD購入: 1人 クリック…

エルヴェ・ヴォドワほか「星の王子さまの眠る海」。

「本の雑誌」の巻頭で紹介されていた、 版権切れで新訳相次ぐ「星の王子さま」関連本。 1944年、自ら操縦する偵察機で飛び立ったまま、二度と戻らなかった、 「星の王子さま」の作者、サン=テグジュペリの謎を追った、 日刊紙《ラ・プロヴァンス》の記…

アラン・エミンズ「死体まわりのビジネス-実録●犯罪現場清掃会社」

〝浴室一面に広がる血糊、壁に張りついた脳みそ、飛び散った頭蓋骨、 ソファに染みこんだ腐った体液、ハエの大群と蠢くうじ虫、 道路に点在するピューレ状の肉体、腐敗臭を放つゴミ屋敷……。〟 こんなオビを見て、その本を買うなんて、どうかしてる。 そう指…

ノエル・F・ブッシュ「正午二分前 (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)」

1923年9月1日午前11時58分、それは起こった。 文字通り大地を揺るがし、大火災を巻き起こし、14万人もの命を奪った。 そう、関東大震災だ。 1967年、外国人記者によって、世界で初めてまとめられたドキュメンタリー。 当時の記憶を持つ人も…

アスネ・セイエルスタッド「カブールの本屋―アフガニスタンのある家族の物語」

ノルウェーはオスロ在住の戦場ジャーナリストが、 アフガニスタンで書店を営む、ある家庭の物語を、 タリバンによる圧制の時代から、 米国による〝解放〟後まで詳細に再現した、ノンフィクションだ。 主人公は、家父長として君臨する書店主のスルタンと、そ…

スティーヴン・ウォーカー「カウントダウン・ヒロシマ」

広島への原爆投下のカウントダウンを、多角的に再現したノンフィクション。 ニューメキシコ州での実験から、運命の日、1945年8月6日までを、 J・ロバート・オッペンハイマーら、ロスアラモス研究所の科学者たち、 ポール・ウォーフィールド・ティビッ…

デイヴィッド・プロッツ「ジーニアス・ファクトリー」。

サブタイトルは〝ノーベル賞受賞者精子バンクの「奇妙な物語」〟 トンでもないストーリーだと思いきや、のノンフィクション。 内容の面白さに加え、読みやすさもなかなかだ。 ノンフィクション独特の重たさもないし、自信を持ってお勧めできる一冊だ。 19…

ロバート・カーソン「シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち」

平たくいうと、本のタイトル通りそのまんま。 ニュージャージー沖の海底で発見された、二時大戦中のUボートの残骸。 戦史をひもといても、なぜか記録にないこのUボートは、 どこから来たのか、そしてなぜこの海底に沈んだのか。その謎に挑んだ、 ディープ…

こちらも怖い「危ない食卓」

フェリシティ・ローレンス「危ない食卓 スーパーマーケットはお好き?」。 こちらも、なまじっかのホラー小説よりずっと怖いノンフィクションだ。 食の現場にはびこる欺瞞、そして犯罪的な行為の数々… グローバリズムの弊害で、危険な兆候を示す〝食の現状〟…

川島蓉子 「伊勢丹な人々」

きょうから沖縄。 蒸し暑い。モノレール便利。とりあえず、以上。 で、本は全然関係なく、 言わずと知れた〝欲望百貨店〟(by三浦しをん)伊勢丹のお話。 いわゆるビジネス書って嫌いだけど、 伊勢丹と聞いてだまってはいられない。 母親は3姉妹そろって…

アンドリュー・トッドハンター「タイユバンの優雅な食卓 (文春文庫)」

フランス、パリの3つ星レストラン「タイユバン」に アメリカのフードライター(エディターかも…)が、 見習いコック&ディナーとして飛び込んだ体験記だ。 シェフのフィリップ・ルジャンドル、そしてパティシエ (本ではペストリー・シェフ、とある)のジル…

海野弘「ホモセクシャルの世界史」

「スパイの世界史」「陰謀の世界史―コンスピラシー・エイジを読む」 の姉妹編、という扱いになるらしい。 オビがなかなかそそる。 「その時、禁じられた絆が歴史を動かした ギリシャ・ローマ時代から現代まで− 世界史の闇に隠されたホモセクシャル・コネクシ…

サラ・ゲイ・フォーデン「ザ・ハウス・オブ・グッチ」

ようやく読み終えた。 言わずと知れた、あのファッションブランド、 GUCCIの誕生から、家族の内紛、そして復興、 そして投資ビジネスの世界での苦闘を描いたノンフィクションだ。 2004年9月発行、けっこうすぐに買っていたのだが、何だかとっつき…

アラン・ムーアヘッド「恐るべき空白 (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)」

僕の頭の中じゃないよ。そりゃ空白だけど、恐るるには値しない。 19世紀半ば、初のオーストラリア大陸縦断を果たした、 ロバート・オハラ・バークと、その若き相棒、ウィリアム・ジョン・ウィルズたち。 その過酷を極めた探検の様子をまとめたノンフィクシ…

アントニー・ビーヴァー「ベルリン陥落 1945」

で、本日のご本はアントニー・ビーヴァーの「ベルリン陥落 1945」 二次大戦下のドイツが敗れた際の、ソ連赤軍連中のベルリン進攻の様子を中心に、 当時を振り返ったドキュメントものだ。 これが重い、ひたすら重い。本自体の目方もだけど、内容はもっと重い…