いよいよ秋到来、ということで、

mike-cat2005-10-10

季節の風物詩に奈良公園・鹿の角きりを観に行く。
http://naradeer.com/event01.htm


もちろん、観るのは初めて。
昼ごろ開始、ということなので、春日大社近くの鹿苑に向かう。
道すがら出会った鹿たちに、ちょいちょいと鹿せんべいを差し上げる。
横を見ると、奈良公園は子どものころ以来、という奥さんが、鹿に襲われている。
例のオーバーアクションな〝おじぎ〟を繰り返しながら、
「よぉこぉせぇよぉ〜」と突進してくる鹿たちに、圧倒されまくり…
バンビちゃんにあげたかったらしいのだが、
大鹿に足を踏まれ、無理矢理に近い格好でせんべいを取り上げられている。
ううむ、うちのネコたちより、ガラが悪いかも。


とはいえ、鹿せんべいの切れ時が別れ時。
せんべいがなくなると、鹿はあっという間にどこかへ去っていく。
嵐のような体験に涙を浮かべる奥さんとともに、鹿苑到着。
しかし、いきなり一時間待ちと言われ、出直しを誓う。いや、誓ってはいないが…


じゃあ、とりあえず、ということで大仏殿をのぞきに行く。
途中、芝生に転がる黒い粒を発見する。
「ああ、これはアレね」と思いつつも、よけきれずに踏みまくり。
芝生のは固いからいいけど、たまに石の上にあるのは危険だね…


大仏殿、いつ以来だろうか、全然覚えていないが、
とりあえず大仏さまを拝むと、奈良に来たんだな、と実感が沸き立つ。
沸き立つが、それ以上の感慨がないのは、自分がつまらない人間になった証拠か。
無感動に「ああ、大仏だな」と確認し、ぐるりと大仏殿内を回る。
例の柱の穴にはこどもの大行列。
並んでなかったら、この肥りつつある身体を差し込み、
ぎりぎりの勝負をかけようかとも思ったのだが、並んでまではいいや、とパス。
お次は、大仏殿内の〝売店〟をのぞく。
奈良限定キティとか売ってる…
せめて、大仏さまの真横で売るのはやめた方がよろしいのでは?
「世の中、銭や…」といつも通りのセリフを口にしながら、大仏殿を後にする。


じゃ、次に腹ごしらえ、と東大寺西大門跡の吉野葛料理「天極堂」へ。
http://www.kudzu.co.jp/nara-new.htm
ちなみにこちらも30分待ちとなったのだが、たまには、ね。
平日休みの我慢レス生活が長いもので、どうにも大変ではあるのだが…。
何だか山猿みたいなネエちゃんたちの後ろで、じっと待つ。


ようやく席が空いたので、二階の窓際へ。
そこそこ趣もあるし、お店もきれい、窓からの景色も悪くない。
観光地のご飯どころとしては、かなりいい方じゃないかと思う。
で、こちらの名物はもちろん吉野葛を使った料理なのだが、
時間もないし、おりからの雨ですっかり身体も冷えたので、うどんをいただく。
吉野葛を使ったうどんを、吉野葛のあんかけでいただく「吉野うどん」と、
吉野葛を使った手延べうどんを使った「釜揚げ葛うどん」。
しかし、こう書いてみると、吉野うどんのは手延べじゃないことがわかる。
別に手延べじゃなくちゃイヤ! ってこともないのだが…


釜揚げのほうが、やはりツルツル感は強いかもしれない。
でも、吉野うどんのトロリ餡と、シコシコうどんのコントラストもなかなかいい。
最高においしい、ということもないが、
少なくとも観光地でこれ以上を望むのは贅沢、というぐらいには美味しい。
平麺打ちの葛切りもこれまたツルツルと、心地のよいのど越しで、これまた満足。
奈良にお越しの際には、立ち寄ってみてもいいのでは、という感じ。
そのうち、本葛づくし、というのも食べてみたい。
って、次はいつ奈良に来るのかもわからんのだが…


気づくと午後2時過ぎになっていたりして、
角きりが、午後3時までのイベントだったことを思い出し、鹿苑へ戻る。
待ち時間ゼロで入場。〝最終回〟開始に余裕で間に合う。
勢子さんたちが前回の疲れを取る間は、愛護協会のおっちゃんによる講談。
これが中途半端に手慣れていて、ベラベラしゃべっているのだが、全然おもしろくない。
しまいにはマイクが不調になって、ナニを言ってるのかすら分からない状態に。
それでもおっちゃん、構わずしゃべる。
じっと待つ観衆たち。ううむ、ユルいイベントだ…。


ようやく準備完了。4頭のオス鹿が連れ込まれ、追い立てられる。
鹿、かなり余裕を失ってる。というか、怯えまくり…
いろいろ説明を聞いていなかったら、虐待にも思ってしまうくらい。
まあ、鹿同士のケンカとか、人間相手の危険とかもあるので、しかたないのだろう。
ただ、間違いなく勢子さんたちも楽しそうだし、〝プチ闘牛〟的感覚は強い。
縄を張った十字が角にかかると、観客席からも歓声が上がる。
おお、まさしく闘鹿だ。
数人がかりで取り押さえられ、ゴザに寝かされると、もう口から泡を吹いてる始末。
神官がのこぎりで角を切り取り、一件落着となる。

しかし、ネコのお風呂でも思うのだが、最後に残ってるコって、つくづく不運だ。
散々ほかのコの恐怖を肌で感じ取り、怯えきったところでついに〝地獄〟に送り込まれる。
恐怖の度合でいけば、最初のコの数倍じゃないかな、と。
こちらの鹿さんも、最後の一頭はもう、怯えまくりで逃げ惑う。
最初に捕まったトロいコが結局一番得をしてるのかも…


大イベントを終え、あとは興福寺をちょろっとのぞいて帰路に着くのみ。
と思っていたのだが、とりあえずまた鹿せんべいを差し上げる。
しかし、バンビちゃんは人を怖がるので、なかなか近寄れない。
むむむ、なんて思いながら歩いていると、前方でメスの背中に乗るオスの姿。
僕は目が悪いので見なくて済んだのだが、
奥さまはコトを終えたばかりの鹿の××××を目撃してしまったらしい…、お気の毒。


再び、鹿の黒い落とし物を踏み締め、近鉄奈良駅に向かう。
帰りの電車の中、眠い頭の中をリフレインするのは
「奈良の春日野、青芝にィ♪ 腰を下ろせば、鹿のフン〜♪
 フン、フン、フン、黒豆よ♪ フン、フン、フン、黒豆よ♪ 〜」
ああ、ひょうきん族ね、懐かしいなあ、と、
どうでもいいことを思いつつ、しばしの眠りにつくのだった。