千日前国際シネマで「MASK2」

よこしまな犬と赤ちゃん…



原題は〝SON OF THE MASK〟=マスクの息子。
いや、前日テレビでジム・キャリーの「マスク」やってたんだよな…
監督は「キャッツ&ドッグス」が、
実はけっこう面白かったローレンス・グーダーマン。
主演は「スクリーム」シリーズのホラーオタク、ジェイミー・ケネディ
悪役には「スパイキッズ」のアラン・カミングとくれば、
まあ見逃すのも何となく居心地が悪い。


というわけで観てきたんだが、まあ出来はいかにも続編。
特別凝ったストーリーがあるわけじゃないし、
約10年の歳月を経て作った割には、
特別パワーアップしたという印象はない。
何しろ、特殊効果なしで、顔を自由自在に変えることができる、
ジム・キャリーがいないというだけで、もう別の映画ではあるのだ。
たとえ、ビデオスルーで終わってしまってもしかたのない作品ではある。


けれど、だ。
あんまり期待しないで観に行ったこともあるんだが、意外に面白いのだ。
話の大筋は、
冴えないアニメ作家(ケネディ)が、マスクをかぶって大変身。
マスクつけてるときに子供を作っちゃったんで、
スーパーベイビーが生まれ、
赤ちゃんに焼きもちを焼いた犬が、マスクをつけて子供に対抗。
一方、マスクを作った災いの神、ロキ(カミング)は、
父である神オーディンに言いつけられ、マスク回収に遁走する。
という感じ。
だが、この赤ちゃんと犬のつばぜり合いが、
なかなかどうして、面白かったりする。


こどもは天使、動物は純真、という幻想をあっさり捨てて、
イドの欲求に付き従う、よこしまな争いを見せる両者が、笑えるのだ。
ちなみにイドとは
フロイト精神分析の用語。
 リビドーと呼ばれる無意識的な心的エネルギーの源泉。
 快を求め不快を避ける快楽原則に従う。エス。〟だったりする。
赤ちゃんと犬が、かわいい姿でえげつなく争う。
スラップスティックなハンナ・バーベラ・アニメを観ている感覚だ。
むろん、ひとつひとつのギャグはかなりユルいんだが、
そのユルさ感が何ともいえず、はまっていて、何となく脱力して笑っちゃう。
そう、いい感じにトホホ系の笑いを提供してくれるのだ。


突っ込み所はたくさんあるけど、それをいちいち指摘するのも大人げない。
肩の力を抜いて、100分弱をリラックスして観る感覚。
いかにも、映画を見に行くことの敷居が低い、
アメリカっぽいポップコーン・ムービーだったりする。
それでいて、犬とか赤ちゃんの素直な腹黒さとか、
意外と笑えたりするんだから、悪くない映画じゃないか、と。
もちろん、観終わってこころに残るモノは、皆無だったりする。
だが、だからこそいい、というのも一理あるんじゃないか、と。


こういう映画ばっかりでは困るけど、たまにはこういうのもどうぞ♪
そういって、人にお勧めしたい映画ではあった。
もちろん、この言葉も付け加える。
「ビデオでも十分かもしれないけどね…」