千日前国際劇場にて「コンスタンティン」

mike-cat2005-04-19



ひとことで言うなら、「何じゃ、こりゃ…」だったりする。
あのかっこいい予告にシビれた人には、こう言いたい。
「予告以上のものは、ありまへん!!」
それどころか、あの予告のかっこいい音楽すら流れない。
期待した分、落胆は大きい。
完全にやられた、という感じだったりする。


主役は、天国と地獄がせめぎ合いをする、この世とあの世の狭間で、
エクソシスト稼業を営むコンスタンティン=リーヴス。
双子の妹、イザベラ=レイチェル・ワイズの自殺をめぐって調査に乗り出した、
刑事アンジェラ=ワイズ(2役)と、コンスタンティンの苦闘を描いた、
アクション・ホラー・ファンタジーというところだろうか。
原作コミック「ヘルブレイザー」は全然知らなかったが、
スタイリッシュなアクションシーンが満載の
予告を観ただけで、体がウズウズしてくるような設定だった。


ところが、なのだ。
ストーリーがあまりに平坦なのだ。
天国と地獄を巻き込んだ、ミステリー仕立ての事件も、中途半端。
壮大なファンタジーの世界観をきっちりと描写するでもない。
確かに見どころは、スタイリッシュなアクションシーンと、ガジェットの数々。
だけど、それをテキトーにつなぎ合わせただけでは、映画じゃない。
単なる、ビデオ・クリップでしかない。


なんて思って、よく知らない監督の経歴を調べたら、案の定、だった。
MTV系、それもあっちじゃけっこうブイブイ言わせていた方らしい。
このテの監督がすべてダメ、とはいわないけど、
たいてい、自分の撮りたいビジュアルを撮るだけで満足してしまうのだろう、
映画としては、無残な出来になるケースが、とても多い。
それにも関わらず、MTV系の監督が重宝される傾向が収まらないのは、
つくづくハリウッドの才能が枯渇してきた、ということなんだろうか…
もちろん、脚本自体にも問題はありそうだし、
編集もいいかげんにやっているのはありありと伝わってくる。
もすこし短くすれば、それなりにはなっていたかもしれない。


しかし、キアヌ・リーブスレイチェル・ワイズ(「ハムナプトラ」)、
そしてほかにもピーター・ストーメア(「アルマゲドン」「ファーゴ」)などなど
いい感じの俳優をたくさん使って、
たった120分をこれだけ退屈に過ごさせてくれる〝才能〟って、
それはそれですごいと思う。
それでも僕はここに挙げた俳優が好きだし、
なかでもレイチェル・ワイズはかなり好みだったりするんで、
それなりには耐えられたが、キアヌ・ファンですらこれはきついはずだ。


ここには詳しく書かないが、
最後のオチ、というやつはそんなに嫌いじゃない。
むしろ、天国と地獄を巻き込んでおいて「最後はそれかよ…」みたいな、
いい感じの脱力感は醸し出せたと思う。
だが、そんな感覚も、そこまで高いテンションが保たれてこそ。
だらだらとしたストーリーの後では、その〝粋〟は輝かない。


そういえば、キアヌの映画ってのはたいていこうだったな、と思い出す。
ハートブルー
(ひどい邦題だけど、サーフィン&スカイダイビングを使った刑事アクションの傑作)
でシビれさせてくれたと思ったら、
「ドラキュラ」「から騒ぎ」と外しまくり…
「スピード」で華麗に復活したと思えば、
「JM」「チェーン・リアクション」で、またも肩透かし。
マトリックス」でまたも華麗な復活を果たしても、
「ザ・ウォッチャー」とか「スウィート・ノベンバー」で失望させる。
まあ、こういう人なんだろな、とあきらめるしかないのか…


今回も、せめて「ディアボロス/悪魔の扉」(これも微妙だが…)
ぐらいの出来であってくれたら、よかったのに、と無念を残す。
ああ、キアヌの次の〝当たり〟はいつになるのか…
もう若くないし、大丈夫なのかな、と勝手に心配してみるのだった。