スコット・スミス「ルインズ −廃虚の奥へ」

mike-cat2008-03-15

ルインズ〈上〉―廃墟の奥へ (扶桑社ミステリー)」「ルインズ〈下〉―廃墟の奥へ (扶桑社ミステリー)


シンプル・プラン (扶桑社ミステリー)」のスコット・スミスが、
13年ぶりの沈黙を破る最新作は、戦慄のホラー・サスペンス。
メキシコ・カンクンを卒業バカンスに訪れた大学生グループが、
現地で知り合った若者と、古代マヤ文明の廃虚への探検に出かける。
そこで彼らが出会ったのは、想像を絶する恐怖だった―


リック・モラニス主演で映画化もされたブロードウェイ・ミュージカル、「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」を思わせるような、恐ろしい?それ?が登場するホラーだが、
そこは「シンプル・プラン」でいや〜な恐怖と閉塞感を描いたスコット・スミス
この作品でも、?それ?の恐怖以上に、
人間のこころに巣くうネガティヴな感情を、ねちっこく描写していく。


元イーグル・スカウトのリーダー、ジェフに、不満がちなエイミー、
どこか軽薄な印象が漂うエリック、天然系で軽いステーシー…
とんでもない状況に追い込まれた中で、
まだ未熟さの目立つ大学生たちの不毛な会話。
?それ?自体より、対峙する主人公たちの置かれた状況が怖い。


映画化にもかなり適しているはずだ。
?それ?がリアルに動く姿と、軽薄そうな大学生たちという絵柄が、
目に浮かぶよう、というか、多少容易に想像できすぎるくらい。
考えてみれば、そのダークな感じも含め、どこか映画で見た記憶すらある。
もちろん、どれだけ心理的な恐怖を描くか次第で、
怖くなるかどうかの成否は決まるのだが、スタッフ・キャストにも注目したい。