石持浅海「扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)」

mike-cat2008-03-10



2005年の「このミス」国内編2位の話題作が文庫化。
刑事コロンボ」よろしく、犯人や殺人方法が始めから提示される、
ホワイダニットおよび、どうミステリーが解決されるかを楽しむ本格ミステリ
大学時代のサークル仲間が、成城のお屋敷を改装したホテルに集う。
密室で殺された一人の男。なぜ、男は殺されたのか―


こうした本格ミステリの話題作を読む度に思うことだが、
どうやら自分は本格ミステリのいい読者ではないらしい。
謎解きに特化した会話や、謎解きに必要な説明を読むのが、
どうにも面倒くさく感じられ、ストーリーそのものに乗っていけない。
その上、ついに明かされる動機の、
何とも頭でっかちな感じが、非常に不愉快な余韻を残すのだ。
不愉快な余韻、はホラーやサスペンスでは褒め言葉ともなるが、
この場合の不愉快な余韻は、ただ単に「何だそれ」的な余韻である。


多くの支持を集めている理由はある程度理解できるのだ。
頭でっかちに感じた動機や会話も、
お好きな人にはグッとくるようなこってりしたコクもあるし、
こういう主人公たちが好きな人もいるのだろうと思う。
だから、あくまで個人的な趣味で、面白くないだけなのだとは思う。