東風平町の「世名」で山羊三昧


東風平と書いて、“こちんだ”と読む、沖縄南部の小さな町。
「山羊づくし 世名」
は、その町の小さな道沿いにある。
前回来たのは5年前。
沖縄ではヒージャーとも呼ばれる山羊を、
何と“握り”で食べさせてくれることでも有名なお店だ。


とはいえ、沖縄で山羊の刺し身は、“珍味”には当たらないようだ。
第一、別に格別クセがあるわけではない。
まずはその握りを食す。

ここは若い山羊を使っているとかで、お味は比較的あっさりめ。
以前食べた時も思ったことだが、食べやすさでいえば、馬や牛の刺し身より上である。
むしろ、もっとクサくってパンチがあったほうが、というくらい。
話のタネにも、一度食べてみてもいい、“山羊料理入門編”である。


それと比べ、山羊汁はなかなかにパンチのある逸品。

山羊のだしで取った汁に、骨付き肉とモツがゴロゴロ。
これによもぎを乗せ、豪快にいただく。
ボリュームもさることながら、独特の風味がたまらない。
羊肉が好きな人なら、間違いなくクセになるお味である。
よもぎの苦みも絶妙のアクセントで、こちらも欠かせない。
香草たっぷりの東南アジア料理が好きな人にお勧めである。


血イリチャーは、見た目がなかなかどぎつい。

読んで字のごとく、肉とモツに山羊の血を振りかけて炒める。
もちろん、火が通るので血なまぐささはない。
コクと風味が引き立つ、いかにも山羊、な感じの逸品だ。
もちろん、クセはあるのだが、それこそが旨味でもある。


ほかにも山羊メニューはいくつかあり、“アパッチ汁”というのもあるらしい。
馬や牛のメニューに加え、魚やチキンカツなどふつうの定食もあるので、
山羊食いたい、という人だけでないグループにも安心。
以前来た時と比べ、握りが小さくなった気はするが、それはそれ。
上のリンク先にある営業時間は20時だが、現在は18時までとのこと。
南部へお越しの際は、ぜひに寄って欲しい一軒なのだ。