2007年マイベスト本!

mike-cat2008-01-02



さて、きょうは2007年のベスト本。
まずは上半期のベスト5を振り返ると、こんな感じである。
1.ダフネ・デュモーリア「レベッカ」新訳版
2.堀江敏幸「めぐらし屋」
3.桜庭一樹赤朽葉家の伝説
4.クリストファー・プリースト「双生児」
5.最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人」


しかし、あれから半年―
特に10月を過ぎてからはろくに読み進んでいない。
文春&このミス&本の雑誌などのベストも出そろい、
巷で話題のあんな作品こんな作品を積ん読にしたっきり、お引っ越し。
そうこうしているうちに、頭がどうも活字を読めない状況に…
いまだ読書脳が復活していないまま、新年を迎え、やや不安が募るのである。


それはともかく、まずは惜しくも圏外の作品。
小池昌代「タタド」
こちらは、川端康成文学賞受賞の、独特の浮遊感に満ちた作品。
マーク・ジェンキンズ編「大冒険時代」
冒険が冒険らしかった時代の「ナショナル・ジオグラフィック」のダイジェスト。
シビれるような50の冒険にワクワクし通しである。
朝倉かすみ「そんなはずない」
こちらはグッと伝わってくる、不思議なリアリティが何とも味わい深い。
黒川博行「悪果」
黒川博行が描く、コテコテにヤクザな大阪は、この作品でもひたすらすごい。
テッサ・モーリス=スズキ「北朝鮮へのエクソダス」
日本政府の恥知らずぶりが、よ〜くわかる1冊。
いかに「お上」とか「マスコミ」を信用してはならないか、いい教訓になる。
柳澤健「1976年のアントニオ猪木
いまだから書ける、あの頃の「猪木」の姿。
かつてのプロレス・ファンなら読み逃せない1冊ではなかろうか。


で、ここからがマイベスト10。
10.伊坂幸太郎ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

読んだのだが、まだレビューを書いていなかった。
JFK暗殺をネタに、ビートルズの曲に乗せて描く、伊坂幸太郎ならではの作品。
苦みと爽快感が微妙に混じり合う、絶妙の作品だった。


10.デイヴィッド・ブリン「キルン・ピープル」

何人もの“おれ”が入れ替わる、衝撃のSFハードボイルド。
まさしくエンタテインメントな大作といっていいだろう。


9.ジェフリー・ディーヴァー「ウォッチメイカー」

ウォッチメイカー

ウォッチメイカー

作品を重ねても、このシリーズは不思議なくらい魅力が色褪せない。
今回も魅力的なサブキャラが登場し、スピンオフが楽しみ。


8..最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」

星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一 一〇〇一話をつくった人

思わず星新一を再読してしまいたくなる、入魂のノンフィクション。
あのSF界の巨人が抱えていた苦悩が、何とも複雑な思いを抱かせる。


7.マイクル・コナリー「終決者たち」

終決者たち(上) (講談社文庫)

終決者たち(上) (講談社文庫)

終決者たち(下) (講談社文庫)

終決者たち(下) (講談社文庫)

こちらも作品を重ねるごとに盛り上がっていくシリーズ。
LAPDに出戻ったボッシュの活躍に、今回も目を奪われっぱなしである。


6.クリストファー・プリースト「双生児」

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

ひたすら壮大な騙し絵に心地よく騙され、その世界に酔う。
読み応えは十分すぎるほどだが、それだけの甲斐はある作品だ。


5.桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

クロニクル好き、ということもあるのだろうが、これも一気読み必至。
一応2006年12月28日刊だが、2007年に入れてしまう。


4.堀江敏幸「めぐらし屋」

めぐらし屋

めぐらし屋

懐かしさと愛おしさに満ちた、堀江敏幸の物語世界。
その独特の味わい深さに、ひたすら酔うことができる傑作である。


3.ダフネ・デュ・モーリア「レベッカ」新訳版

レベッカ

レベッカ

息が詰まるような閉塞感から、凍りつくような結末へ。
さすが名作、としかいいようがない重厚感と、圧倒的な面白さ。
旧作の新訳とはいえ、ことしのベストに並べたい作品である。


2.桜庭一樹「私の男」

私の男

私の男

腐りかけの果実のような極上の味わいを醸し出す、桜庭一樹の問題作。
心臓をわしづかみにされたような、そんな感覚に襲われる。
時間軸を逆戻りしながら語られる、私と「私の男」との歴史。
桜庭一樹がことし送り出したもうひとつの代表作である。


1.近藤史恵「サクリファイス」

サクリファイス

サクリファイス

面白い作品は数多くあれど、感嘆のため息がもれる作品はそうはない。
だが、この作品はまさしくそんな作品である。
間違いのない興奮と感動を約束できる、そんな大傑作。
ミステリとしても、スポーツものとしても、そしてドラマとしても最高級の逸品だ。


ということで、2007年のマイベスト。
早くあの作品やこの作品も読みたいし、
もっともっと面白い本に出会いたい、と祈りつつ、年初めということで。