クリス・バラード「バタフライハンター 10のとても奇妙で素敵な仕事の物語」

mike-cat2007-12-10



“なりたかった、なろうと思っていた。
 そして、人生と仕事が重なった。”
「スカイウォーカー」に「目玉職人」、「きこりレディ」、
「キノコ採掘師」、「アメフト伝道師」、そして「バタフライハンター」…
スポーツ・イラストレイテッド」のスタッフ・ライターによる、
天職について考えさせられる、ちょっと軽めのノンフィクション。


幼少時から高いところが大好きだった男、
男顔負けの怪力が自慢の女性、とにかく虫が好きで好きでたまらない男…
「好き」を仕事にするということが、
決して幸せに直結するかはともかくとして、
こういう天職もあるのか、と感心させられることしきりの一冊だ。


鉄道模型製作者」なんてのはそれこそ、
趣味でやるのがいいのか、それとも…、なんて思ってしまうし、
振り返って自分の仕事を考えてみれば、
始める前に持っていた、その対象への憧れみたいなのはほとんど消滅した。
生活のためのおカネだけでは寂しいが、
かといって一番好きなものは仕事にしたくない部分もある。
ただ、この本にあるような“特殊”な仕事を見ると、
またいろいろと考えさせられてしまうような気がする。


本としてのクオリティは、ユーモアあふれる筆致も含めかなり上々。
日経BPという版元でいわゆる「ビジネス本」に分類されそうだが、
純粋にノンフィクションとして楽しめる1冊であることは間違いない。