有川浩「図書館革命」

mike-cat2007-11-13



〝TVアニメ化決定!!〟
有川浩の人気シリーズがついに大団円を迎える。
〝極上のエンターテインメント
 「図書館戦争」シリーズ、堂々の完結編!!〟
大規模テロが巻き起こした、検閲騒動の顛末は―


正化三十四年、一月。
敦賀原発を狙った大規模テロが発生、
テロの手口がある小説を模したものだとして、メディア良化委員会は指摘。
その小説「原発危機」を著した作家、当麻蔵人を拉致するため、
暗躍する良化特務機関に対し、われらが図書隊が立ちはだかった。
検閲を許すな―。
「図書館の自由法」を盾に、当麻の保護を買って出た図書隊だったが―


前作「図書館危機」を読み終え、こころして味わうぞと誓った待望の完結編。
いまだ全開の乙女エンジンが織りなす、甘い甘いラブコメ風味と、
表現の自由」をまじめに考える、こころの叫びが、
絶妙のハーモニーを奏でる、文字通りのエンタテインメント大作だ。


今回はテロを契機に揺れる、表現の自由、が大きなテーマ。
アメリカが9・11以後に陥った、ヒステリー状態を思わせるような、
そんな設定のもと、安易に感情的に流れがちないまの風潮を斬ってみせる。
差別意識の過剰な振りかざしに、面倒を恐れてはびこる自主規制、
感情的に一方的な正義を押しつける、善意のファシズム
ふと考えてみると、いまの日本でも見られがちな、危ない風潮である。
若年層読者も多いこのシリーズが、こうした形で「表現の自由」について、
いろいろ考える機会を与えてくれるのは、素晴らしいことだとも思う。


もちろん、著者自ら「月9」風と評する、ラブコメ要素もいい。
甘くって、甘くって、頬がほころんでしまうのだけれど、やっぱり楽しい。
完結、というのはまことに残念ではあるが、
やっぱりシリーズものは、惜しまれつつ終わるのが一番。
いつかスピンオフで楽しませて下さい!、と祈りつつ読み終える。
また近々、一気読みもしてみたいな、なんて思いつつ…