伊藤理佐「女いっぴき猫ふたり 2 (アクションコミックス)」
〝ゆる〜〜〜い、のんびり、独身女と猫まんが〟
2006年手塚治虫文化賞短編賞受賞、
「女いっぴき猫ふたり (ACTION COMICS)」の待望の続編第2巻。
週刊文春連載「おんなの窓」(→レビュー)でもおなじみ、
伊藤理佐による、ねことねこと女のゆるい日常、完結編。
独特のヘタウマな絵の、自虐的でシュールで、
捨て鉢な4コママンガの、おもな登場人物はもちろん、女いっぴき猫ふたり。
まずは伊藤理佐、こと〝わたし〟の紹介からして、何だかおかしい。
〝わたし(飼い主) (メス) 36才。マンガ家。
口ぐせ「すみません」「もう少しでできます」
いつもズルするためにいっしょうけんめい……〟
↓ 格下
〝ニャコ(オス) 12才。アメショウくずれ。
かつお節、のり、チーズが好き。
お客さんもブラッシングも好き。好きなもの多い。〟
↓ 格下
〝クロ(メス) 12歳。ざっしゅ。
かつお節が好き。
客、ツメ切り、はみがき粉、大キライ。
口笛もキライ。キライなものがいっぱい。〟
境遇こそいろいろ違えど、飼い主と猫の年齢構成がほぼ同じ。
(猫が1ぴき多いのと、猫の年齢がさらに上ではあるが…)
「そう、そう、そうなんだよね」的な共感(&笑い)あり、
「ここの家の猫はこんななんだ…」的な驚き(&笑い)あり、
もちろん、あの手塚賞の先輩、西原理恵子が「大丈夫。」と保証したという、
伊藤理佐ならでは、の笑える不幸話には、もう含み笑いではすまなくなる。
オーストラリアから帰国した甥っ子と猫の勝負がおかしい「子供対ねこ」、
猫飼い初心者に贈る、猫との暮らしのあれこれ「猫っ飼い」、
飼い主のたった一度のがさつな行動が招いた、猫同士の「壊れた関係…」&「エサ事変」、
日常のちょっとした不運な出来事をゆるゆると綴った「すこしずつ不運。」、
近所の猫に心惹かれ、浮気オトコの真実を知る「うわき。」、
カムちゃんの名前の秘密に迫る「ひとんちの動物」などなど、
前巻からの続きエピソードも満載で、どれも笑える最高の1冊。
完結するのは、あまりにもったいないが、その潔さも、魅力なのかも知れない。
惜しい、惜しいと思いつつも、その破壊的な笑いの余韻に浸るのだった。