大田垣晴子「ぱんだだ!―中国・日本パンダ紀行」
〝パンダをさわったことありますか?〟
「オトコとオンナの深い穴 (ダ・ヴィンチブックス)」「焼酎ぐるぐる」の、
マンガルポライターによる、まるごと1冊パンダ本。
「パンダ、さわりたいな〜」のひとことで始まった、日中パンダめぐり。
〝中国では子パンダをさわり放題!
日本中のパンダ全11頭も制覇!
かわいいけれど、それだけじゃない。
知れば知るほど不思議なパンダワールド。写真も満載!〟
読んでいるだけで、身悶えするほどうらやましい、パンダ紀行だ。
作者の大田垣晴子は、1969年生まれ、横浜出身。
つまり72年のカンカン&ランラン初来日にほぼ直撃世代である。
わけもわからずに「パンダ、パンダ」と大騒ぎしているはずなだけに、
ふだんは「別にパンダには…」なんてやっていても、
やはり三つ子の魂何とやら、で、パンダ好きが仕込まれているのである。
そんな作者がもらしたほんの軽い気持ちのひとことが、
パンダ好きの編集のこころをくすぐり、まずはパンダの生息地、四川省の成都へ。
到着したのは、パンダの保護、研究で知られる「臥龍中国パンダ保護研究センター」。
最近、テレビなどでもよく見かけるパンダ、パンダ、パンダ…のまさしくパンダづくしに悲鳴が上がる。
そして、1000元(約1万5000円)で実現する、パンダ触り放題のマジカル・ドリーム!
「この高級お触り嬢め!」とはよくいったもので、
5分で1万5000円という、絶妙な価格設定に、
作者&編集さんのオンナごころがくすぐられる様がやたらと笑える。
帰国後は、ふたごの赤ちゃんが超キュートな和歌山は白浜・アドベンチャー・ワールド、
日本でパンダといえば、の元祖・上野動物園に、神戸市立王子動物園をめぐり、
それぞれのパンダ模様を持ち味でもある独特のユルさでスケッチする。
その他パンダの生態などは、お馴染みのイラストで紹介する、というまさにパンダづくし。
かわいい写真も満載で、満足感いっぱい、といいたいところなんだが、
やたらと薄いボリュームで半分は写真、ごく軽めのイラストエッセイということで、
約1000円という価格は、正直ややコストパフォーマンスに欠ける気も少々…
さらにいえば、読んでる僕自身の人間が小さいためか、
うらやましさが妬ましさになってしまったりして、だんだん悔しい思いも沸いてくる。
(考えてみたら、テレビでタレントがパンダ抱いてるのも妬ましかったりする)
いつか「臥龍パンダ保護研究センター」に行ってみたい! と思ってはみても、
過去の滞在経験で、すっかり中国嫌いになってしまったため、こころは引き裂かれ…
(第一、そんなおカネがあったら、どこかほかの場所に旅行したい…)
そんなわけで、目尻は垂れっぱなしにも関わらず、何だか微妙な思いが残る1冊。
この思いを鎮めるためにも、また白浜でも行って、
赤ちゃんパンダに会わなければな、と思いをめぐらせてみたりしたのだった。