西原理恵子「できるかなクアトロ (SPA COMICS)」

mike-cat2007-04-30



サイバラさんもう何がなんだか…〟
「SPA!」の連載などをまとめたシリーズ第4弾。
〝インドの奇祭から恐竜化石発掘まで、サイバラ猛進の足跡。〟
突撃女性漫画家のパイオニアにして、
いまもその世界でぶっちぎりの独走を続けるサイバラが、
こんどはインドで、モンゴルで、そして文壇で大騒ぎ!
〝おおむねオールカラー “ちゃぶ台返しサイバラ”付き!〟
うれしいんだか何だかわからないおまけもついてしまった。


今回のネタは、インドの〝超越的存在〟ヒジュラがメイン。
〝インド文化圏のあらゆるカーストに属せず、男でなく、女でなく、
 第三の性ともいわれ、人々からうとまれ、神につかえ、時にあがめられ 以下略〟な存在だ。
サイバラ流の説明で言うと〝インドのおかまにヒンドゥー教とカレーをかけたもの〟
ああ、こっちの方がわかりやすかったりして…
そんなわけで、ヒジュラの方々との、まったりと濃くて、奇妙な交流が描かれる。


そんな、サイバラ一流のえげつなさと優しさが混ざり合う、汚くて感動的な旅を終えると、
こんどはあの「YES!」の高須センセイとの、何だか間違った旅のシリーズ。
フィリピンのスモーキー・マウンテン、極寒の中国・北京、そして無意味なポルトガル
タニマチの使い方を間違え続けるりえぞうセンセイに、思わず笑ってしまう。


そして続くは中国の内蒙古地区・ゴビ砂漠での恐竜発掘。
貴重な文化財を××するりえぞうセンセイに、思わず脱帽、というか何というか…
編集の新保くんの新妻メーテルのネタは、本当に大丈夫なのか、
心配しつつ読み進めると、こんどは間違った草の根国際交流に唖然とさせられる。
ほかにもあのサイバラ日能研の模試で全国のガキに挑む「人生一年生」、
あの〝虫〟の西田先生と歩くアウトドア編に、文壇ぶった切りのアホ漫画…
先日逝去された元夫の鴨ちゃんのネタは、涙なしには読めないが、
そのえげつなさがかえって、鴨ちゃんへの哀悼のような気もして、感慨深い。
盛りだくさんの内容に、今回もノックアウトされてしまう、サイバラが詰まっている。
ファンはもちろん、そうでない方にも一読してもらいたい、相変わらずの1冊なのだ。


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できるかなクアトロ
西原 理恵子著
扶桑社 (2007.4)
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