TOHOシネマズなんばで「スパイダーマン3」

mike-cat2007-05-01



〝「自分」に挑め。〟
世界最速公開! 待望の「スパイダーマン」第3弾。
サンドマンにニュー・ゴブリン、ヴェノム、そして…
次々と現れる、最強、最悪の敵たち。
〝シリーズ最高のバトル・ロワイヤルが今、幕を開ける。〟
「死霊のはらわた」「ダークマン」サム・ライミ監督が、
1、2作目に続き、メガホンをとった、一大サーガの完結編だ。


数々の活躍で、いまやNYのヒーローとなったスパイダーマン
ピーター=トビー・マグワイアの学生生活も順調なら、
MJ=キルステン・ダンストもブロードウェイ・ミュージカルのヒロインに抜擢され、
2人の関係も、あとはピーターのプロポーズを待つばかり、となっていた。
だが、父の復讐を誓うハリー=ジェームズ・フランコが、
恐るべき敵、ニュー・ゴブリンとして、スパイダーマンに襲いかかる。
一方、かつて叔父のベンを手にかけたマルコ=トーマス・ヘイデン・チャーチが脱獄。
叔父の復讐に炎を燃やすピーターに、不気味な黒い影が忍び寄っていた―


ただただ素晴らしいとしか、言いようがない。
1作目からの数々の因縁にMJとのロマンスを、新たな敵を登場させつつ、まとめ上げる。
サム・ライミの、シリーズに対する畏敬の念が伝わってくるような渾身の力作だ。
根っからの〝Nerd〟で〝Geek〟なピーター・パーカーの持ち味はそのままに、
スパイダーマン=ピーターの内なる葛藤を、シリーズ最大の〝戦い〟に仕立て、
スパイダーマンが弱さを克服し、人間的成長を遂げるドラマを構成するあたりはさすが。
それでいて、アクションや、軽いおふざけとのバランスを絶妙に外さない。
趣味人でありながら、名匠ともいっていい手腕を見せるサム・ライミには感心するしかない。


俳優に目を移せば、マグワイア×ダンスト×フランコの3人だけでなく、
前作でドック・オク役を演じたアルフレッド・モリーナに続き、
今回は「サイドウェイ」トーマス・ヘイデン・チャーチが印象的な演技を見せる。
このシリーズの悪役は(というかスパイダーマン自身もだが)、誰もが悲しい秘密を抱えているが、
このサンドマンもまた、その青い瞳の奥に隠された、哀しみと葛藤で、ドラマに奥行きを持たせる。
「ヴィレッジ」「レディ・イン・ザ・ウォーター」ブライス・ダラス・ハワードは、
エンドクレジットを見るまで気づかなかったが、こちらもそれなりの存在感は醸し出している。


アクションはもちろん文句なし。
ニュー・ゴブリンとのスピード感あふれる激闘に始まり、
サンドマンとの対決では、凄まじい質感にあふれた驚異的なSFXに目を見張る。
そして、ブラック・スパイダーマンやヴェノムのダークな威圧感に、圧倒される。
これだけの見どころを存分に見せつけられてしまったら、もう歓声を挙げたくなるほど。
だが、それだけではないのがこのシリーズの凄いところだ。
おそらく相当な技術を駆使しているはずなのだが、それだけで慢心はしない。
絶妙のテンポを損なうことがないよう、スタイリッシュな編集で効果的に見せる。


もちろんサム・ライミだから、こんな大作でもおふざけは健在だ。
ライミ監督の盟友で、シリーズの名物でもあるブルース・キャンベルは今回も登場。
(1ではヘンなリングアナ、2ではヘンなドアマン)
あやしいヒゲと、おフランス語で、ひとときばかりスクリーンを席巻する。
スパイダーマンを目の敵にするデイリー・ビューグル紙の編集長、J.K.シモンズも、
さらにきわどい暴走で、何ともいえない笑いを提供、抜群の〝舌休め〟となっている。


ともに傑作だった1、2と比べても遜色がない、というか、むしろスケールアップし、
さらに1、2からの流れもきっちりとケリをつけている、というまさに完結編の貫録。
サム・ライミ以外の監督で新シリーズを撮るとしたら、
ハードルはとんでもなく高くなりそうだな、というほどの傑作といっていい。
数あるアメコミ原作映画の中でも、やはり格が違うな、とあらためて納得の面白さ。
何はともあれ、観るしかない。
ちなみに1、2はおぼろげに覚えていれば、さほど問題はないはずだ。