マイクル・コナリー「トランク・ミュージック〈上〉 (扶桑社ミステリー)」「トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)」

mike-cat2007-03-14



〝現代ハードボイルドの到達点を示す、
 コナリーの<ボッシュ>シリーズ〟第5弾。
ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュの活躍はまだまだ続く。
ボッシュといえば、のトラブルは続出、「ナイト・ホークス」の〝あの人〟も再登場し、
捜査の行方は今回も混迷を極めていく―


ハリウッド・ボウルを眼下に臨む、マルホランド・ドライヴ。
車のトランクに詰め込まれた、射殺体が見つかった。
〝トランク・ミュージック〟といわれるマフィアの手口で殺された男は、映画プロデューサー。
「ラスト・コヨーテ」の事件後、ようやく殺人課に復帰したボッシュが捜査に乗り出す。
しかし、ラス・ヴェガスまで波及した捜査は思わぬ方向へ。
事件の陰に浮上する、かつての恋人エレノア・ウィッシュ。
そしてボッシュは、再びキャリアの危機を迎える―


「ラスト・コヨーテ」でついに、最大の因縁にカタをつけ、
同時に刑事生命の危機を乗り越えたボッシュにとって、新たなスタートとなる物語。
新たなパートナー、新たな上司、そして新たな事件…
やや不謹慎にも、ボッシュのこころは思わず浮き立つ。
ボッシュはひとりで犯行現場の活動の中心に立っていた。
 自分の役割を心底楽しんでいるのを悟る。
 事件のはじまりは、こんなふうにおれをわくわくさせるのだ。
 ボッシュは、自分がどれほどそれを恋しく思っており、
 この一年半のあいだ、切望していたかがわかっていた。〟


かつてのクソ上司パウンズに代わって、
ボッシュの上に立つ、ビレッツ警部補との間には信頼関係を築いていく一方で、
刑事社会の横取り野郎、OCID<組織犯罪捜査課>や、
お馴染みの内務監察課にFBIと、ボッシュをこころよく思わない連中も健在だ。
スタイルを貫くボッシュは、今回もキャリアの危機に陥っていく。


まだ、次作のあらすじすら知らないので、想像に過ぎないが、
「ナイト・ホークス」でボッシュを陥れたエレノアとの再会も含め、
シリーズ初期の大きな流れにいったん終止符を打ち、
次なる展開へのつなぎともなる作品であるように思える。
その分、事件そのものへのインパクトはやや薄めの感もあり、だろうか。


とはいえ、これだけ短期間に集中して読んでも、
まだまだ次を読みたくなる引力のようなものは相変わらず。
次の「エンジェルズ・フライト〈上〉 (扶桑社ミステリー)」「エンジェルズ・フライト〈下〉 (扶桑社ミステリー)」で扶桑社ミステリーでの刊行分は終わり、
講談社文庫、ハヤカワ文庫に移っていくと思うと、そんな部分でもある種の感慨がある。
月並みだが、何はともあれ、楽しみである。


Amazon.co.jpトランク・ミュージック〈上〉トランク・ミュージック〈下〉


bk1オンライン書店ビーケーワン)↓

トランク・ミュージック 上
マイクル・コナリー著 / 古沢 嘉通訳
扶桑社 (1998.6)
通常2-3日以内に発送します。
トランク・ミュージック 下
マイクル・コナリー著 / 古沢 嘉通訳
扶桑社 (1998.6)
通常2-3日以内に発送します。