株式会社レッカ社 編著「永遠のガンダム語録 (PHP文庫)」

永遠のガンダム語録 (PHP文庫)

永遠のガンダム語録 (PHP文庫)

〝「悲しいけど、これ戦争なのよね!」
 ――スレッガー・ロウなど 感動の名セリフ150を収録〟
「機動戦士ガンダム」から「Zガンダム」ガンダムZZ」
そして映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」までの4作品から、
いまもこころに残る150の名セリフを厳選収録した1冊。
2002年カンゼン刊の「永遠のガンダム語録」を加筆・修正して文庫化。
いわゆる「ガンダム世代」には、たまらん本だったりする。


ガンダムといえば、善悪に二極化された世界観を脱し、
単なる勧善懲悪に終わらない、戦争の複雑な構図を描いてみたり、
明るく真っすぐな少年ではなく、鬱屈し、屈折したアムロを主人公にすえたり、
もちろん、個性的なモビルスーツ(〝ロボット〟ではないのが斬新だった)が登場したり、
と、当時のアニメの常識を次々と覆す、新しいアニメの潮流を作った作品だが、
その見逃せない魅力のひとつに、独特の美学に貫かれたセリフやダイアログがあった。
思わずシビれてしまうセリフだったり、当時は納得のいかないセリフだったり…
何はともあれ、強烈な印象を残す言葉を数多く残した作品だった。


で、この本は、その印象的なセリフを集め、簡単な状況説明とコラムを加えた構成。
ライターたちの個人的な体験や感想をだらだらと綴ったコラムは、
率直にいってしまうとあまり感心できるクオリティには達していないが、
「ファースト・ガンダム」から「逆襲のシャア」までを150の名セリフで振り返る、
そのアイデアだけでも、この本を買うだけの価値はあるといっていい。(ま、文庫だし)


感心できない、とはいってみたものの、コラムのすべてがそうというわけではない。
少年だった当時、よくわからなかったセリフを、いま聞くとその価値が分かる、
といった部分の記述なんかは、思わずうんうん、と頷いてしまうし、
Zガンダム」のカミーユの青臭さに最初違和感を感じたとか、
鬱屈を抱えたまま大人になってしまったシャアの悲哀を振り返る部分は面白く読める。


だが、もちろんこの本の最大の魅力は、多くの決めぜりふである。
ランバ・ラルの「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」や、
シャア・アズナブルの「坊やだからさ…」といった有名なヤツはもちろん、
ガンダムの特徴でもある、しぶい脇役たちのしぶいセリフが熱い。
ジオン軍技術士官の「あんなの飾りです! 偉い人にはそれがわからんのですよ!!」に、
(「宇宙要塞ア・バオア・クー」で、ジオングの脚がないとのシャアの指摘に)
「恐怖! 機動ビグ・ザム」で、味方の救出をしぶるマ・クベにバロムが言い放つ
「このようなとき、仲間が救出してくれると信じているから、
 兵士たちは死と隣り合わせの宇宙でも戦えるのです」などなど、
名前すら覚えていないようなキャラクターが、何十年経ってもこころに残るセリフを吐く。


もちろん、時にはいま聞くと赤面してしまうような、
自意識過剰なセリフや、気取りすぎた表現、不自然な物言いもなくはない。
だが、それはあくまでそれだけを取り出したから、というだけで、
ガンダム」の世界観においては、それらはいまも輝きを失っていない。
1冊読み終わると、何だかファースト・ガンダムからZ、そして逆襲のシャアを、
もう一度観直したくなってしまうのは、この世代の定め、といっていいかもしれない。
(「ZZ」はさすがに、ちょっときつかったので観なかったが…)
「永遠のガンダム語録」のタイトルも、つくづくなるほど、と感心してしまう1冊だった。


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永遠のガンダム語録
レッカ社編著
PHP研究所 (2007.1)
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