伊藤理佐「おんなの窓」

mike-cat2007-01-12



手塚治虫文化賞作家、伊藤理佐の最新刊。
週刊文春巻末の好評連載がついに単行本化!
〝ぜんぶ実話です。〟
〝妙齢おねいさん〟漫画家の赤裸々な毎日を、
シュールに、アバンギャルドに、
そして何より自虐的に描いた爆笑一コママンガだ。
→文藝春秋の「立ち読み」ページ


伊藤理佐といえば、以前「女いっぴき猫ふたり (ACTION COMICS)」に大笑いさせられたが、
文春の連載でも、思わず読みながら「ブッ!」と吹き出すことしばしば…
どこか投げやりな絵柄と、ちぐはぐな生活を自ら揶揄する毎日。
次々と繰り出される〝妙齢〟ネタは、笑ってはいけないけど笑ってしまう。
(別に妙齢の独身女性をバカにしているわけではないので、お間違いなく)


〝おんなと一人ぐらし〟(といってもネコ2匹もいるが)では、
いろいろ人に使用法を教えた後、「おしまい」とのたまうエアコンのリモコンや、
気づくとネットオークションでとんでもないことしてしまう最近の酔っぱらい方、
三谷幸喜似の解体屋さんに覚えた、不吉な予感の顛末などなど、
ひとりぐらしの微妙な悲喜こもごもを、乾いた笑いで包み込む。


〝おんなと仕事〟で紹介されるのは、
片岡鶴太郎・画の絵皿をクーポン集めてまでゲットした母との大げんかや、
恩師からの温かくも、手厳しい(というか痛烈?)な年賀状の流した、涙(と笑い)の物語。
〝おんなと娘さん〟では、
生足、腹まる見せの女子高生の耐寒強度に脅えつつ、
自転車に乗って、ケイタイでしゃべって、なおかつパンツも巧妙に隠す女子高生に愕然。


〝おんなと大人ちゃん〟では、
突然〝アレ〟を外してしまった歯科医の先生の私生活に想いを馳せ、
こんな人も同い年ネタで、あまり洒落にならない同い年有名人を披露。
〝おんなと美〟では、
美肌・色白・・毛穴なし・血色良好のオヤジに究極のムダを見いだし、
念願の二重まぶたをゲットした(一時的に、だが)、自慢にならない行動を嘆く。
そして〝おんなと食〟では、
体重計に乗る時、なぜかネコを抱いてしまうエピソードや、
台風の時についつい大量に買い込んでしまう〝アレ〟の話が展開される。


加えて、30代なかばを迎えた「妙齢おねいさん道」や、
文春での突撃ルポ体験を綴った「るぽまん 文春で一週間」。
山本直樹吉田戦車安野モヨコによる「伊藤理佐の窓」など、盛りだくさんの内容だ。
手にした途端、たまらず読み出し、たまらず吹き出す、必読の傑作なのである。


しかし、思うのはこの伊藤理佐って、僕と同い年なのである。
結婚こそしているが、何とも締まらない生活をしているのは同じ。
高齢ネコを複数匹飼っていたり、
男女の違いはあれど、妙齢ならではの悩みを抱えていたり…
読みながら笑っている、その笑いの矢は、実は自分にも向けられているのがなかなか複雑。


ちなみに、〝わたしたち〟(勝手に仲間)は、
あの元〝サーヤ〟こと黒田清子さんと同い年。(これってカミングアウト?)
そういえば、中学、高校と学習院とのスポーツ対抗戦があって、
何度か接近遭遇したことがあったことを思い出した。
(近辺でちょっと乱闘をやらかし、「SPがいるぞ!」の声で鎮まったという間抜けな顛末も)
ついでに、この調子で翌年3月生まれまでの〝同級生〟を
ウィキペディアで調べると、なかなか感慨深い。→1969年→1970年


芸能人だと、森高千里槙原敬之、KABA.ちゃん、橋下徹(弁護士)、
キャイーンウド鈴木相田翔子マーク・パンサー(globe)、中山美穂
海外だと、レニー・ゼルウィガーエドワード・ノートンマライア・キャリー
スポーツ選手では、伊良部秀輝立浪和義マリアーノ・リベラヤンキース)、
曙太郎オリバー・カーン伊藤みどり
ちなみに元・男闘呼組岡本健一とは誕生日も一緒の上、
実は幼稚園で同じクラスだったという、何の自慢にもならないおまけもつく(ほんと、くだらん)


まあ、ザッと見回してみても、伊藤理佐ならずともつくづく微妙な年代。
いい歳こいて、といわれたり、意外とまだまだ青かったり…
そんなヘンな感慨にまで浸ってしまう(それは個人的な問題だが)1冊だ。
あとがきによると、二巻も出る予定とのことなので、それも楽しみにしたいな、と。


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おんなの窓
おんなの窓
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.12
伊藤 理佐著
文芸春秋 (2007.1)
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