スティーヴン・キング「ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉 (新潮文庫)」「ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈下〉 (新潮文庫)」
〝仲間が、集う。
キングの圧倒的ライフワーク、待望の第2弾!〟
ということで、「ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)」に続く、
ダーク・タワー・シリーズ、待望の第2部となる。
オビにある、恩田陸の惹句が振るってる。
〝この巨大なジグソー・パズルが完成する時、私たちは何を見るのか?
私もあなたと同じく、次に拾わされるピースを口を開けて待っているのみである。〟
そう、まさしく、口を開けて待つしかないのだ。
何しろ、いまだ何で「暗黒の塔」に向かうのかも、いまいちわからない。
キング自身による(のはずだが…)これまでのあらすじでも、
〝十九世紀英国の詩人ロバート・ブラウニングの
物語詩「童子ローランド、暗黒の塔に至る」に着想を得て、
ある程度それを下敷きにしている。〟と書いた上で、
〝正確にはローランドとは何者だろう?
“変転”する以前のかれの世界とはどのようなところか?
<暗黒の塔>とは? そしてなぜローランドはそこを目指すのか?
われわれには断片的な答えしか与えられていない。〟 としている。
いや、与えてくれないのは一体誰? みたいな感じもするのだが、
まあ、壮大な物語のほんの一部しか、まだ見えていない段階だ。
前巻では、変転した世界で黒衣の男を追うガンスリンガーが、
ついに黒衣の男と対決し、ある秘密を聞き出したところで話は終わった。
今回の物語は黒衣の男との対決を終えた、その同じ浜辺で始まる。
それも、とんでもない風雲急を告げる展開から、だ。
「ディド・ア・チック? ダム・ア・チャム? ダッド・ア・チャム? デッド・ア・チェック?」
キング一流のどこかおかしく、狂った世界がいきなり襲いかかる。
そして、告げられるのだ。
〝三、それがあんたの運命の数字。
三?
そう、三は神秘的な数。あんたの探索の中心には三の数がある〟
ガンスリンガーの次なる探求は、
<囚われ人><影の女>、そして<押し屋>もしくは<死>を求めての旅となる。
そんなローランドのこころを、前巻で少年ジェイクを見殺しにした葛藤が蝕む。
後悔の念に忍び寄る恐怖。
〝<暗黒の塔>への想いをふりきれば、ローランド、すでにしておまえは負け犬だ。
心のない生き物は愛のない生き物であり、愛を持たぬ生き物は獣<けだもの>だ。
獣であること自体は、おそらく苦痛ではない。
だがしかし、獣に堕ちた人間は、最終的に地獄の代価を支払うことになるだろう。
もし、目的のものを得たらどうする?
人の心を持たずに<暗黒の塔>に突入して事を成就させたら?〜〟
「運命の三人」の物語も強烈そのものだ。
一人一人がローランドにも負けない業を背負い、苦闘を続ける。
(もちろん、続けていないヤツだって実はいるのだが…)
そんな運命に導かれし者たちが出会った時、再び旅が始まる。
目指す先は〝劫罰か? 救済か? <暗黒の塔>〟
そう、この巻を終えても、ダーク・タワーを目指す、本当の目的は見えてこない。
しかし、読む側だって、もう塔を目指さずにはいられなくなる。
旅の準備が本当に整うのは、次巻か、それとも…
ちょっと気は遠くなるが、読み続けずにはいられないのだ。
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