北浜のイタリアン「ポンテベッキオ」でランチをいただく。

お店は大阪証券取引所の1階



なんばパークスの「スッド・ポンテベッキオ」には以前、
行ったことがあるのだが、フラッグシップのこのお店は初めて。
職場が近いので、土佐堀通りから店内をうかがうことは多々あるのだが、
入ってみると、内装の質感はなかなか悪くない感じ。
メインダイニングからガラス越しに見える放置自転車や、
工事中のビルなどなど、土佐堀通りのせわしない光景が、
だいぶ雰囲気をぶち壊しにしている感は否めないが、まあそれはしかたないのかも。


きょうはプリフィクスのコースをチョイス。
パスタを含めたお勧めメニューから3品選び、プラスお店にひと皿お任せとなる。
30種前後のメニューはどれも目移りしそうなものばかりだが、
奥さまとともに悩みに悩んで、ようやく3品ずつを選び終える。
まずは魚。
「淡路産アナゴの炭火焼き フレッシュトマト添え ワサビ風味」
「鱧の炭火焼き 夏野菜の揚げ浸し」
そしてパスタ。
「4種類のチーズのリゾット」
「うさぎとアーティチョークのパスタ」
で、おにく。
「岩手産赤牛のロース 巻焼き」
「ウズラとサマートリュフのパイ包み」
ちなみにこれは2人分。
別に魚、肉、パスタとやらなくてもいいかも知れないけど、一応律義に。
で、2人で取り分けできる、とのお申し出をいただき、お言葉に甘える。


この季節定番のベリーニを食前酒に、ランチがスタートする。
ここはかなりしっかりと桃のピューレを使っていて、果実感かなり高。
普通にジュースで割ってるだけのお店も多いだけに、好感度はグッと上がる。
接客は、堅すぎず、柔らかすぎず、のラインの間を微妙に揺れる印象だが、
スタッフの方々の目は行き届いている感じで、全体的に好感の持てるサービスだと思う。


いよいよ料理がスタート。
お店のチョイスは「味来コーンのピューレ ローストフォアグラの浮き実」

パッと見は、そのまんまトリュフの浮いたコーンスープなのだが、
糖度がとても高い、という味来コーンのピューレのお味は、いわゆるスープと一線を画する。
果実を思わせるフレッシュな甘みをまずは楽しみ、お次はフォアグラと一緒に。
フォアグラの脂肪分とコーンの甘みが絶妙にマッチして、たまらないお味になっている。
もし、問題があるとすれば、量的にもうちょっとだけ欲しかったかも…


お次はお魚。
「淡路産アナゴの炭火焼き フレッシュトマト添え ワサビ風味」

思わず、箸でいただきたくなるような、和のテイストたっぷりのひと皿
香り高いアナゴのパリパリした食感と、トマト、ワサビがとにかく鮮烈だ。
トマトの甘みとワサビの刺激、アナゴの脂肪分が一体となって、お口でとろける。


そして「鱧の炭火焼き 夏野菜の揚げ浸し」

どこ産だったかは忘れてしまったが、鱧もたまらなく香り高い。
ラタトゥイユを思わせるズッキーニ、ナスなどの焼き浸しの甘さがいい感じに絡み合う。


そして、パスタ類が登場する。
まずは「4種類のチーズのリゾット」

4種類のお味を舌で見分けるのはちょっと困難だが、
ゴルゴンゾーラの風味がかなり強烈に存在を主張する感じ。
アルデンテの火の通り具合もナイスで、思わずスプーンが止まらなくなる。


パスタは「うさぎとアーティチョークのパスタ」

軽くミンチにしたうさぎを、トマトで仕上げたソースが、非常に印象的な味わいだ。
クセがあるわけではないけど、独特の風味がたまらない。
シャクシャクしたアーティチョークの食感と、
手打ちパスタのもちもちした食感も楽しめる、間違いなくお勧めのひと皿だ。


さあ、メイン。
「岩手産赤牛のロースト 季節のキノコ添え」

これが本日のベストプレートだろう。
薄切りのロース肉をロールして、レアに焼き上げた一品。
口の中に広がるジューシーな肉汁、独特の柔らかい食感、
キノコの風味の効いたソース、これは本当にたまらない美味しさだ。
思わず恍惚の表情を浮かべそうになってしまう、というか浮かべていたかも。


「ウズラとサマートリュフのパイ包み」

こちらは真ん中にレバーを仕込んだ技ありのひと品だ。
見た目以上のボリュームにちょっと驚くが、決して重くはない。
サマートリュフがアクセントになって、ウズラの脂肪分の味をうまく引き立てる。
難をいえば、もう少し外のパイがサクッとしていたらよかったかも…
パイ皮がちょっとだけ、ウズラのたっぷりの脂に負けてしまった印象は否めない。



デザートももちろん2品を取り分けた。
ソルダムのグラニテ添え白桃とレモンソルベ」

フレッシュな白桃に絡み合うソルダムとレモンの風味がとことん爽やかだ。
特に白桃の優しい甘みと、レモンの酸味は絶妙のコンビネーション。
やや脂肪分に飽きつつあった舌を、優しく包み込んでくれる。


「ティラミス キャラメルアイス添え」は、パッと見よりもビターな味わい。

しかし、こういうイタリアンのお店で食べるティラミスは、本当に美味しい。
ティラミスはコーヒーとリキュールの風味がたまらないし、
キャラメルアイスも満足できる甘みを携えつつも、さっぱりとした苦味が心地いい。


最後はカモミールハーブティーに、生チョコ、クッキー、マカロンが添えられる。
もうお腹いっぱいのはずだが、やはり甘いものはつくづく別腹。
気付くと、するするっと口の中におさまってしまっているのだから、不思議なものだ。


そんなこんなで楽しいランチを過ごしてきたのだが、ひとつだけ問題が生じる。
どうにもちょっと冷房が強いのだ。
料理を食べてるうちはいいけれど、デザートに移ると、やや寒さが際立ってくる。
もちろん、ちゃんとしたリストランテなので、
ジャケットを羽織っていたのだけれど、ふとした隙に会話が止まると、寒さに体が震える。
もうちょっとゆっくりしてもよかったのだが、くしゃみも出てきたので、お暇することにする。
もちろん、せき立てる意図で寒くしているわけではないとは承知しているが、
何だかちょっと残念な感じも残してしまったような気はする。
お店を出ると、ほんのわずかに秋めいた夕方の空気に包まれる。
不思議な安堵感を感じつつも、料理の余韻に浸りつつ、北浜を後にしたのだった。