ジュリー・ケナー「ママは悪魔ハンター」

mike-cat2006-06-29



〝痛快! コージーハードボイルドファンタジイ〟
ストリート・キッズ (創元推理文庫)」と同じ、朝倉めぐみの装画に誘われ、読んでみる。


あらすじはオビにみっちりと書いてある。
〝ケイト・コナー。三十八歳。
 二児の母。専業主婦。夫を地方公選弁護人にすべくただいま奮戦中。
 娘時代にバチカン法王庁所属悪魔ハンターの経験あり。
 現在。多忙なる妻業とママ業のあいまをぬって
 次々と襲いかかる悪魔たちを熱血! 撃退中!!〟


元悪魔ハンターの主婦が、ふたたび悪魔との戦いに駆り出される。
舞台はカリフォルニア州のサンディアブロ
あちらでは当たり前の、連夜のようなホームパーティー
それに加えて14歳の娘に、2歳の息子という手のかかる子どもたちを抱える主婦が、
バチカン所属の悪魔ハンターとして活躍する、というのだから、
この設定、なかなか悪くないな、というのが第一印象だ。


バチカン所属のハンターは、フォルツァ・スクーラ<陰の力>に属し、
いわばマネジャー役を司るアリメンタトーレとともに悪魔を駆る。
エクソシスト」を思わせる、そんな設定もなかなか興味深くはある。


だが、あくまでケイティは主婦。
〝きょうびの身近な問題は、悪魔より家庭方面にある。
 食料品の買い出し、振り込み、車での登下校の送り迎え、もろもろの修理、
 クリーニング、料理、親業と雑用が千ほどもある。〟
最近はめっきり悪魔の出没しないサンディアブロにあって、
ケイティをわずらわせるのは、主婦としての日常の雑事もろもろ。
だが、ある日、突如襲ってくるのだ。そう、悪魔が…


ここから一気にストーリーは急展開、
悪魔の王が復活し、サンディアブロにある何かをつけ狙う。
その巨大な陰謀に巻き込まれたケイティだが、
娘も息子も相変わらず手がかかり… というのがこの小説のミソ。
あくまでママの日常(悪魔退治込み)が綴られていくわけだ。


ここまで書くとこの小説、かなり面白そうに思えるのだが、
実際に読み進めていくと、
その悪魔ハンターとママ業の描写のバランスが微妙な感じなのだ。
それが面白さのはずなのだが、どうにもじれったい。
読んでいて苦痛、とまではいかないのだが、
なかなかストーリーの中に入っていけない、というのが率直な感想だ。


まずまずひねりのあるプロットも含め、小説としてのクオリティは悪くないと思う。
実際、全米ベストセラーになっているというから、
読者層によっては、グッと伝わってくる何かがあるのだろう。
別に僕が主婦業に疎いから、ということでもない。
掃除、洗濯、料理は好きだし、それなりにはやっている。
そう考えると、乗れない部分というのは、
もしかすると、ロマンス小説っぽい部分なのかもしれないし、
ややもすると、ファンタジーっぽい部分なのかもしれない。
実際、どちらも読まないから正確なところはわからないが…


文庫とかでサラッと読んでいたら、悪くなかったかもしれないが、
何となく期待して、ソフトカバーで買った本としては、ややハズレ気味。
その理由が漠然としていることもあって、消化不良感は増していくのだった。


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