東野圭吾「探偵倶楽部 (角川文庫)」

mike-cat2006-01-27



直木賞受賞記念! というのはもちろん嘘だ。
ちょっと疲れ気味だったので、アタマの小休止を兼ね、
さらりと読める本を、と思ったら、積ん読本の一角にこれを発見。
東野圭吾なら、間違いがないだろう、ということで読み始める。


探偵倶楽部は、金持ち専用の探偵。
会員制でそこのメンバーの依頼しか請け負わない。
遺産に借金、情痴、怨恨…。様々な殺人事件を、探偵倶楽部が解決する。
というわけで、そんな探偵倶楽部の活躍を描いた短編集。
もっともポピュラーな探偵小説のスタイルかもしれない。
ちょっと変わってるといえば、
物語が探偵の視点ではなく、犯人もしくはその関係者の視点で描かれる点。
倶楽部の探偵は、感情を見せることもなく、淡々と仕事をこなすだけだ。


探偵は男女の二人組。その描写も淡泊そのものだ。
最初の短編「偽装の夜」の登場人物、成田が感じた印象だ。
〝黒っぽいスーツをきた長身の男と、同じような色のジャケットを羽織った女だった。
 男は三十代半ばといったところ、顔の彫りの深さは日本人離れしている。
 女は二十代後半とかと成田は踏んだ。
 真っ黒な神は方まで達していて、目は切れ長、口元も引き締まっていて、
 間違いなく美人の部類に入る−。〟以上、だ。
だいたい、どの短編でもこれぐらい。
あとはほとんど無個性といっていいほど、探偵については描写されない。
つまり、探偵のキャラクターを排し、トリックにより特化した探偵小説ともいえる。


で、そのトリックだ。
このテの短編ミステリーというと、どうも無理のあるトリックが多いのだが、
さすが東野圭吾という感じで、まあ読んでいてそう違和感は感じない。
もちろん、ほお!と感心するような驚きもないのだが、
そこはそれ、軽く読み流すスタンスの読者には、ちょうどいい感じだったりする。
物語性の欠如、に関しても同じかもしれない。
読み流すには、このくらいの薄いストーリーの方が、サクサクしていていい。
読み終わって、何の感慨も残らない、というのもある意味褒め言葉かも知れない。


というわけで、読み終わって感慨も残らないので、書くこともたいしてない。
そんなわけで、きょうはこれにておしまい。
とりあえず、次の本に向けた、いいインターバルになったな、と。
つまらなかったわけじゃないけど、何だかそのくらいしか思えないのだった。


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