「自由軒」名物カレーを初体験


仕事帰りに心斎橋でお買い物、そのままブラブラ歩いて帰るついでに、
まだ行ったことがなかった名物カレーライスの「自由軒」に足を踏み入れる。
あのカレールウを最初から混ぜて、生卵を載せたヤツ。
何度もテレビ、雑誌で見かけ、
大阪に越してきてから何度も前を通り掛かったが、
そういえば「食べてみよう」と思ったのは、ホントに初めてだ。


「名物にうまいものなし」という格言は、たいがい当たってるし、
いわゆる老舗っぽいお店に行って、その思い上がった対応に憤慨したことも多い。
だから、縁のないトコ、といままでは思ってた。
じゃ、何で食べに行ったか、というと、何か俗なモノが食べたくなってしまったから。
それに、観光名所に一度行っておくのも、いいかな、と。
すごくいいかげんな理由で、たいした期待もせず、千日前「自由軒」に向かった。

ビックカメラ裏のきちゃないお店。
あらためて店の前に立つと、その使い込まれた店構えに、思わず一歩引いてしまう。
何ともいえない食品サンプルも、ペーソスというか、何というか…
しかし、別に極上のディナーを食べに来たワケじゃない。
店の中に見えるヤケに派手なお店のオバチャンは気になるが、エイッと入店する。


しかし、オバチャンすごいな。
真っピンクの装いに、どのくらい使えばそれだけの…と思うほどの白粉…
どこでこういうオバチャンを確保するのだろう、と一瞬考えるが、はたと気づく。
ああ、ここは大阪・ミナミだった。
そんなオバチャン、そこらへん歩いたら100人は見つかる。
だが、なのだ。
接客は悪くない。いや、むしろ大阪のメシ屋、と考えたら上出来かも。
もちろん、相席などは求められるが、日曜の夕飯どき。
混んでいるし、まあ許容範囲じゃないか、と。
注文の際のやりとりとかでも、ざっけないけど、ヤな感じはまったくない。


ずっと前の話になるが、
大阪のうどん屋で「たぬきうどん」頼んだら、「はァ?」と言われたことがある。
あの、女子プロレスラーみたいなお笑いのオネエちゃんさながら、のヤな声でだ。
理屈としては、「たぬきゆうたら、そばですわ」とのこと。吐き捨てるようにのたまう。
うどんはきつねしか出さない、と言いたいらしい。
それはそれで食文化として認めるけど、
たぬきはそばしか出してない旨を普通に説明すればいい。
明らかに、〝東京者〟に対する嫌がらせをするこの根性。
ほかの店でもこれに類する事例があったもので、
今回も接客に関しては、あまり期待していなかったわけだが、
まあ何はともあれ、感じがよくってよかったな、と胸をなで下ろす。
食べるときに感じ悪いと、ホント席を立ちたくなる(実際、立つことも多いが)からね。


注文したのは「名物カレーライス」と「名物ハイシライス」。
ちなみに、〝ふつうの〟カレーとハヤシ食べたかったら、
「別カレー」か「別ハイシ」らしい。
で、さすがファストフード。すぐ出てくる。
このごちゃ混ぜカレーって、子供の頃よくやってたけど、
「どうせ混ぜて食べるんだから、先によっとけ」的な感じで、なかなか楽しい。
で、実際の由来もそんな風に聞いた記憶があったけど、
今回サイトを見たらどうも違うらしい。
明治43年の創業当時、ご飯の保温ができなかったので、
温かいカレーとごちゃ混ぜて出していたらしい。
何だ、大阪チックな合理主義じゃなかったんだ、とちょいと残念。


お味、ね。
これは洋食屋さんのカレー全般にいえることなんだけど、
ここを凝った、あそこに凝った、といっても、
やっぱり日本風洋食カレーはあまり大差ない。
美味しいといえば美味しいし、
インドとかスリランカのカレーとかと比べるちゃうと、マイルドすぎる感は否めない。
あまり鮮烈にスパイスを使う、ということもないので、
自然、フォンとか野菜の旨味は活かされるけど、
どの店も大きな差異は出しにくい、とい印象だ。
だから、というわけじゃないが、ここのも美味しいけど、
どこか特別なとこがあるか、というと、ごちゃ混ぜ以外はあんまりない。
でも、「夫婦善哉」の織田作之助ゆかりのお店で食べる名物、
というベタな料理にしては、かなり高得点なんじゃないだろうか。
この味だったら、また機会があったら牛丼とかと同じスタンスで食べてもいいかな、と。


ブログを書くにあたって、オフィシャルサイトを見てみると、意外と楽しい。
http://www.jiyuken.co.jp/
カレーへのこだわりや調理レポート、織田作之助関連のエピソードに、
過去にのれん分けし、その後たもとを分かった本町のせんば「自由軒」とのトラブルまで、
余すことなく自由軒の紹介がなされてる。
ちなみに「せんば自由軒」もオリジナリティを主張してるので、面白い。
http://www.senba-jiyuuken.jp/
読んでいると、この前の東京・中野のラーメン店「青葉」店主への暴行事件を思い出す。


で、自由軒のサイトの話に戻るが、
これがまた、本にした方がよくない? というくらい充実している。
デザインも写真もきれいで、見ているだけでウキウキしてくる。
ただ、これだけサイトがきれいだと、
実際お店に行ったときの落差は激しいかもしれないが…


で、気になった写真
     ↓

残さないで最後まで食べなさい! って意味違うか…