森井ユカ「スーパーマーケットマニア アジア編」

mike-cat2005-08-07

昨年8月に出た「スーパーマーケットマニア ヨーロッパ編」に続く第2弾。
http://d.hatena.ne.jp/mike-cat/20040820


前回も書いたことの繰り返しになるんだが、
僕にとって、旅の最大の醍醐味は街歩き。
そしてその大きな柱となるのが、現地のスーパーめぐりだったりする。
だから、前回ヨーロッパ編では、
行ったことのないヨーロッパの雑貨を満喫したりしたのだが、
今回は僕自身も何度も足を運んだアジア編となる。
「スーパーが違えば、商品も違う」みたいなトコもあるので、
「ああ、あれは見たことがある」「買ったことがある」というのはないけど、
商品の雰囲気などなど、とても伝わってくる、これまた楽しい一冊だ。


今回のお出かけ先は、
バンコク、ソウル、台北、北京、上海、クアラルンプールの6都市。
いずれの都市のスーパーにも、
独断と偏見による、地元度&値段チャート表がついていて、興味深い。
各スーパーの地元資本度とか、由来とか、店内の雰囲気とかも、
きっちりと書き込んであって、また行きたくなってしまうのが、玉にキズ。
あんまり旅心をかき立たせられても、先立つものがなければ、ね…。


やっぱり、センスのよさが目立つのはバンコクだ。
独特の磨かれたアジアン・テイストに、微妙なヨーロッパ的洗練が加わり、
思わず買って帰りたくなるようなものが、盛りだくさんに並んでいる。
そういえば、僕もバンコクに行った時は、やたらといろいろなものを買って帰ったっけ…
今回のヒット作は、蛇印のタルカムパウダー。
何で、肌にたたくものに蛇印なのか、が面白いんだが、
お花と葉っぱの絶妙のデザインが、ブリキに印刷されていて、まっことにかわいい。
日本で売ってたら、絶対に買ってしまいそうな逸品だ。


あんまり好きな国じゃないし、いい思い出もあんまりない中国も、
こうして見てみると、武骨だけどなかなか悪くないグッズが勢ぞろいしてる。
チープかわいい、というのともまたちょっと違う、用途と微妙にミスマッチな外見。
変わりゆく中国、ってな感じもどことなく感じられて、味わい深い。


コラムで取り上げられている「文房具の買い方」というのも面白い。
中国で文房具は買ったことがなかったのだが、
最初に伝票をもらうだの何だの、まことに複雑な手続きを踏むことになるらしい。
万引防止策もあるらしいのだが、ここらへんはやっぱり社会主義国
効率とか、そこらへんを無視した、ヘンなこだわりが感じられる。


クアラルンプールは、多民族国家っぽい、
バリエーションに富んだラインナップがとっても楽しい。
シンガポールなんかにも同じ雰囲気が感じられるけど、
華僑支配のシンガポールより、こちらの方がより地に足ついた感じかも。
色の使い方がうまくって、惚れ惚れしてしまうようなグッズがたくさんある。


巻末には旅歩きのTIPSみたいなのもまとめられていて、
これもまた旅ゴコロをかき立てまくるんだ。困るよ、ホント。
つくづく、この作者の旅のスタンスが、非常に近しいものに感じられてしかたない。
バンコクの道ばたで転がってる犬の話とか、裏道の話、屋台メシの話…
「旅行人」系ほど、バックパッカーっぽくないけど、
より街に入り込む、というスタンス、非常に親近感を覚えてしまう。


今回の第2弾も、堪能させていただいた以上、
次の第3弾にも、大いなる希望を抱かせていただきたい。
もちろん、スーパーマーケット天国アメリカ、だ。
ウォルマートとか、Kマート系のチェーンもいいし、
各都市の地元系スーパーマーケットも取り上げて欲しい。
もちろん、全米にまたがるマスプロダクツが多いのは承知の上なんだが、
その中にも微妙な地域性というのは、何となくあったはずだ。
代表的な7、8都市をめぐるだけでもいいから、ぜひぜひ♪