大沢在昌「無間人形―新宿鮫〈4〉 (光文社文庫)」

mike-cat2005-02-07



空路にて大阪へ。
羽田の新ターミナル、時間がなくてあんまり見て回れなかったが、
京急降りてすぐのチェックインカウンターはナイス♪
まさかのピエール・マルコリーニにも驚いたが、なかなかいい感じかもしれない。
すでにジャン=ポール・エヴァンで今夜のおやつを買っていたけど、
せっかく空いているし、と思ってちょいと買ってしまった…
お店もそこそこのが入っているみたいだし、けっこういいかも。



直木賞獲った例のやつだ。
これまでのシリーズ、1作目の「新宿鮫 (光文社文庫)」は確かに面白いと思ったが、
2作目の「毒猿―新宿鮫〈2〉 (光文社文庫)」、3作目の「屍蘭―新宿鮫〈3〉 (光文社文庫)」は何となく微妙。
面白いけど、余韻がないというか、記憶に残らないというか…
プラス、書かれた時代もあるのだろうけど、
細かい描写のイケてなさ、もあってかどうしてもノッのいけない感じがあった。


例えば、服装の描写で、〝ジーンズの上下〟という言い方が出てくる。
ジーンズの上下って、別に間違ってないけど、ちょっと言い方オッさんくさくない?
〝デニム〟って言葉もあるんだし、
少なくともハードボイルドっぽさ目指してるなら、もすこし表現は…
まあ、この作品で10年以上前だから、
リアルタイムで読んでいれば、そんな感触は覚えなかったのかもしれないが。
全体的には、漫画アクション、とか漫画ゴラク、みたいな世界なんだろうな、
と勝手に思ってみたりもする。4作目まで読んでおいて、何なんだが…


ちなみに今回のストーリーは、
若年層を中心に広がる新しいドラッグ、アイスキャンディを追う鮫島の前に、
鮫島と因縁のあるヤクザ屋さんとか、が登場する。
そのアイスキャンディの卸元は、地方の財閥の分家の兄弟。
流通ルートを探る中、鮫島の恋人である、ロックシンガー晶もわなにかけられ…
という感じで、刑事アクションの王道をひた走る。
スピード感は相変わらず、悪くないかな。
ヤクザ屋さんのこわさと、アイスキャンディという名前の覚醒剤の怖さが印象的だ。


ここらへんの社会性とか、が評価されての直木賞なんだろうか。
まあ、こういう賞って、功労賞的な要素も否定できないから。
必ずしも最高傑作が直木賞獲るとは限らないんだけど、
これが一応代表作になってしまうんだと、ちょいと〝ふうん…〟なんだな。
娯楽小説として、スカッとするアクションを否定するつもりはないんだけど、
あんまりにも単調な気がしてならないのだ。
ノンストップアクション、にしては気取りが多いし、
〝読ませる〟小説を狙うには、抑揚がいまいち足りない。
何だか、人生を感じないのだ。
一作目で出てきた、防犯課長の〝マンジュウ〟桃井のような、
味のあるキャラクターが活きる小説にはなってない気がする。


地方財閥の兄弟たちの悲哀、みたいなのもやや描かれてはいるけど、
そんなに感情がシンクロできない。
犯罪に走った理由も〝そのくらいで…〟としか思えないし。
だから、結論としては〝可もなく、不可もなく〟の出来かな、と。
そう考えると、やっぱり過去3作を含めたシリーズ全体での受賞なのかも、
と勝手に納得。


5作目、読むかなぁ、という気はかなりする。
というか、たぶん読まない。もう潮時かな、という感じ。
これでページをめくる手が止まらない、ってくらいテンポがよければ別だけど。
とつらつら書いていて思い出したのは、映画の「新宿鮫」。
真田広之主演で、晶は田中美奈子だったな、などと感慨を覚える。
田中美奈子、覚えてるなぁ。1億円の保険のかかった瞳、だったっけ?
ああ、こう言うことを思い出したりすると、自分が歳取ったのを実感する。
と、書いてると段々収拾がつかなくなってきたので、このへんで。