神楽坂のクレープリー「ル・ブルターニュ」

このタマゴがたまらないのよ♪



表参道にもある、ガレット=そば粉のクレープがいただけるお店だ。
http://www.le-bretagne.com/index.html
これまではランチタイムとかしか行ったことないから、ディナーはお初。
お店到着が21時前だったのだが満席。
店先で待ってる人が、お店の主人(だと思う)のフランス人の方と会話してる。
ひぃ〜、フランス語だ。なじみの客なんだろか。
ただでさえ、お客さんのフランス人含有率かなり高いのに、と気後れしてみる。


少し待って、屋外のテラス席に通された。
寒いかな、と思ったけど、ストーブが予想以上に暖かい。
この季節の夜のテラスも、なかなかけっこういい感じの雰囲気だ。


食前酒はカルヴァドスとシードルを使ったオリジナルのカクテル。
比較的アルコール感は強いけど、甘い香りとフルーティーな味わいが、
まだ空腹〝気味〟だった胃を、一気に飢餓状態にまで導いていく。
連れは洋なしの紅茶。こちらも香り高くて、ほのかな甘みがたまらない。


続いて前菜、「セルヴェラ」とかいう名前のソーセージとポテトのサラダ。
名前失念。きょうはそういうの多いけど、ごかんべんを。
軽くソテーした感じのソーセージとポテトが、ハーブとからんで香ばしい。
おいしい、おいしい、と食べ進むうちに、はて、と気付く。「何か、食べたことのある味だ」。
連れがきっちり言い当てる。「魚肉ソーセージ」。確かに。
おいしさのグレードは全然違うんだが、系統は間違いなく魚肉っぽい。
しかし、お店の人にそれとなく尋ねると「違います」ときっぱり。
ハーブとか、肉の部位でこうなるらしい。ふむふむ。
ま、魚肉ソーセージがそれだけ偉大な食べ物だ、ということで。


いよいよ本題に移り、ガレットが出てくる。
まずは、いわしとポテト、グリーンサラダのガレット。
無類のイワシ好きとしては、もちろん外せない一品だ。
イワシと、アンディーヴやレタスをたっぷりと巻いて、ガレットをほお張る。
ああ、たまらない。イワシの至福。口の中で、ほろりほろりと崩れる食感もナイスだ。
暴走する食欲が、さらに加速していく感触が、手に取るようにわかる。


続いては季節のお勧め。〝フォレスティエ〟とかいう名前のキノコのガレット。
これまた軽くソテーした感じのキノコをたっぷり包み込んだ、これまた香ばしい一品。
見た目かなり圧巻なんだが、どんどん胃に吸い込まれていく。
キノコの香りと、ガレットの香りがこんなに合うなんて、けっこう意外。
どんなものにも合う、ガレットの万能ぶりがよくわかる。


そして、メインがわりには定番系のガレットをいただく。
〝プロヴァンサル〟はタマゴ+トマト+ハム+タマネギ+アンチョビ+チーズ+プロヴァンスのハーブ。
ちょっとしたオールスターキャストの、ボリューム感たっぷりのガレットだ。
どろっと広がる半熟の黄身が、ほかの具材と混ざり合って、濃厚なうま味を醸し出す。
でも、ハーブがけっこう効いているので、決してしつこくない。
アンチョビがしょっぱかったり、トマトが酸っぱかったり、タマネギがシャキシャキしたり、
さまざまな味と食感が加わるから、不思議なくらい飽きもこない。
これはボリューム感はけっこうあるから、満ち足りた感覚も得られ、もうたまらない。


だからといって、これで食事を終えてしまってはいけないのは、ご承知の通り。
別腹に収納すべきメニューも、このお店にはたっぷりとある。
ミントティーなどをいただきながら、デザートに取り掛かった。


まずは比較的ベーシックな〝カレモンキャラメル〟。
こちらは小麦粉の生地に塩バターカラメルのソース、塩バターカラメルのアイス。
ふわふわっと、ホイップクリームを添えて頂く。
クリーミーで濃厚なカラメルが口の中でとろける感覚は、まさに至福の瞬間だ。
塩バターキャラメルと聞くと一瞬、確かに抵抗はある。
でも、無塩バターとの対比の問題だから、考えてみると別にたいした問題じゃない。
塩バターキャラメルがおいしいお店といえば、
吉祥寺と西荻窪の間にある、パティスリー「アテスウェイ」が印象深いお店。
http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Tokyo/guide/0501/P056074.html
http://allabout.co.jp/gourmet/sweets/closeup/CU20020124A/
アテスウェイのキャラメルもおいしかったな」なんて、思い出しながら、というのはウソで、
あまりのうまさにガレットはあっという間に視界から消えていった。


次も塩バターカラメルのソースを使った、オレンジアイス添えのクレープ。
こちらも、カラメルソースとアイスのハーモニーがたまらなくいい。
どちらも香り高い一品なのに、決してケンカすることはない。
オレンジのさわやかな香りが、いい感じのアクセントになったりして、
これまた、たまらない。
同じ表現ばっかりなんだが、もう夢中で食べてたので、許してください。


最後に、バナナとチョコレートソースをラムでフランベしたやつ。
炎による華やかな演出と、鮮烈な香りがシメの一品として抜群にいい。
定番っぽい響きのチョコバナナも、こうやって演出すると全然違うものになるのだな、と。
ただ、ボリュームけっこうあるので、よほどの甘もの好きでないと、
2人で6品目のクレープにするには、やや危険かもしれない。
いや、僕はもちろんペロッと平らげたんですけどね。


ここで、お店の人がサービスで、塩バターキャラメルのリキュールを持ってきてくれる。
アルコール度数はかなり高めだが、濃厚な味わいに思わず顔がほころぶ。
これ、どんどん出されたらいくらでも飲めそうでこわいかも。
威勢よく食べた二人に、お店の人からも感謝の言葉をいただく。
そうか、みんなふつうそんなにガッついて食べないのね。
またも自分のいやしさを思い知ったりもするが、それはまあ、よしとしよう。
おいしかったし。いつも、そればっかりだ。ホントにもう…