TOHOシネマズ六本木ヒルズで「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
“魔法vs人間──引き裂かれる心。”
C・S・ルイス原作の名作ファンタジーの映画化第2弾。
前作から1300年後のナルニア国へ、4兄妹が再び舞い戻る。
監督は前作に続きアンドリュー・アダムソン。
4兄妹をはじめ、声の出演のリーアム・ニーソンら、
前回キャストがしっかりとお目見えし、物語世界を紡ぐ。
あれから1300年―
ナルニア国はアスランと「伝説の4人の王」なき後、
テルマール人の侵略で滅亡への途をたどっていた。
そのテルマール帝国の王子カスピアンは、
王位を狙うおじミラースの奸計によって国を追われ、ナルニアへ迷い込んだ。
ナルニアの歴史を知る学者から手渡された、
象牙の角笛をカスピアンが吹き鳴らした時、
ナルニアの危機を救うため、ペベンシーの4兄妹が世界に舞い戻った…
前作同様、基本子供向けではあるものの、
しっかりと、大事に大事に作った正統派ファンタジーである。
滅亡寸前まで追いやられたナルニアが、4兄妹によって復興する。
魔法の国の住人対人間(テルマール人)の大戦争で、
結局どちらも指揮を執っているのが人間、という部分は引っかかるが、
圧倒的なスケールで描かれるアクションシーンや、
迫力と美しさに満ちたファンタジックな世界はやはり圧巻のひとこと。
今回もっとも輝きを放つネズミの騎士リーピチープらの活躍とともに、
150分をたっぷりと楽しむことができる。
もちろん、戦争のもたらす結果は哀しさと虚しさに満ちている。
そうした出来事を経て成長するピーターやスーザンら兄妹のドラマは、
見応えもある一方で、何となく釈然としない部分も残す。
それをどう読みとるかは、人それぞれにもなるだろうが、
「勝った! バンザイ!」的なお気楽な作りでないのは確かだ。
1作品1作品区切りはいいので、前作を観ていなくても十分楽しめる。
ただ一方で、「ロード・オブ・ザ・リングス」シリーズのような、
盛り上がりはちょいとばかり足りない部分も否めない。
現在のファンタジー・ブームの中でも、
埋没こそしないが、抜きんでるほどの存在感に欠けるのも確か。
作品そのものには満足がいく一方で、
今後のシリーズをどうまとめていくのか、
プロデューサーのかじ取りが難しそうにも感じる、そんな第2弾なのだ。