機内映画で「THE SAVAGES」

mike-cat2008-04-29



「サイドウェイ」アレクサンダー・ペイン製作総指揮、
アカデミー賞で主演女優賞、脚本賞の2部門ノミネートの話題作。
監督・脚本はタマラ・ジェンキンス
主演は「ミスティック・リバー」「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」ローラ・リニー
「カポーティ」「M:i:III」フィリップ・シーモア・ホフマン


ジョーとウェンディのサベッジ兄妹はある日、
アリゾナで隠居生活を営む父レニーの状態が急に悪化したとの報せを受けた。
長い間のパートナーだった女性の死で、すっかりボケが進行した父を、
引き取る必要が生じた兄妹だったが、自身の生活もままならない毎日を送る2人は、
すっかり困り果てる事態になってしまった―


親の介護という、社会問題を取り上げつつも、どこか滑稽さを醸し出す、
いかにもアレクザンダー・ペインが好みそうな題材の作品である。
ナターシャ・リオン主演の「Slums of Beverly Hills」など、さほど目立つ作品のないタマラ・ジェンキンスだが、
リニーとホフマン、2人の名優を生かした演出で、
絶妙のペーソスにあふれた作品に仕上げている。
静かな雰囲気の中に突如出現する、奇妙な光景と独特の不安感。
笑うに笑えない、切ない状況だからこそにじみ出る滑稽さが実にいい。


父レニーの介護という問題に直面し、変わっていく兄妹の様子もいい。
単に、成長という言葉でひとくくりにするには惜しいぐらい、
複雑な要素が絡まり合った、人間らしさがそこにはあふれている。
正直、現実に立ち返って考えると、笑ってばかりいられない題材ではあるが、
そんな中にも何だか、悪い面ばかりじゃないことが伝わってくる。