新宿バルト9で「魔法にかけられて」

mike-cat2008-03-27



“王子様は、そこにいます。
 おとぎの国のプリンセスが現代ニューヨークで愛を見つける物語”
おとぎ話のプリンセスが喧噪のニューヨークに迷い込む、
という設定もさることながら、おとぎ話の定石をうまく生かした、
セルフパロディをあのウォルト・ディズニーが手がけたことも話題に。
主演は「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のエイミー・アダムズ、
共演に「メラニーは行く!」パトリック・デンプシー
「X−メン」サイクロプス、ジェームズ・マーズデンに、
スーザン・サランドンティモシー・スポールら。


魔法の王国「アンダレーシア」で動物たちと幸せに暮らすジゼルはある日、
夢に見たプリンス、エドワード王子と運命的な出会いを果たす。
しかし、エドワード王子の結婚で王位から追われることになるナリッサ女王は、
魔女に化け、ジゼルを魔法の王国から追放してしまうのだった。
魔法の井戸に落ちたジゼルがたどり着いた先は、現実世界のNY。
あまりにかけ離れた世界に呆然となるジゼルは、弁護士ロバートと出逢うのだが…


ディズニーが手がけるセルフパロディ、とやや心配な面もあったが、
非常に、といっていいほど、おとぎ話の味を生かした作品に仕上がっている。
現代のニューヨークという舞台は、
厳しい現実がのしかかる場所であると同時に、夢にも満ちている。
その両サイドのバランスをうまくストーリーに盛り込むことで、
ともすればバカバカしくもなる非現実感を気持ちよく受け止められる。
なかでも、セントラルパークで繰り広げられるミュージカルは絶品。
何だか、本当にこんなことがありそうな気分(本当はないが…)にさせてくれる。
NYの街が好きな人間なら、思わず感涙ものといっていいだろう。


おとぎの国からきた、エイミー・アダムズとジェームズ・マーズデンの、
微妙なトボケっぷりも、かなりいい感じの味わいを醸し出している。
サランドン、スポールの名優を向こうに回し、遜色のないクオリティといっていい。
バツイチの離婚訴訟専門弁護士を演じるデンプシーも含め、
キャストの絶妙さも、この映画のよさをさらに増幅させている。


バカバカしいといってしまえば、それまでだが、
素直に乗れば、十分すぎるほど楽しめる佳作といっていいだろう。
惜しむらくはクライマックスのチャカチャカした編集だろうか。
ここでもう少しカタルシスを感じさせてくれれば、
もっと印象に残る作品になったのに、という感は残るのだった。