新宿武蔵野劇場で「ダージリン急行」

mike-cat2008-03-13



“あした、僕たちはどこにいるんだろう...
心が離れた3兄弟の
じんわりしみるスピリチュアル・ジャーニー!”
「ライフ・アクアティック」
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のヴェス・アンダーソン最新作。
インドを駆ける「ダージリン急行」を舞台に、
ヘンな3兄弟がたどる奇妙な旅を描いたロード・ムービー。


主演は、自殺騒動のニュースも記憶に新しい、
「ズーランダー」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」オーウェン・ウィルソンに、
「戦場のピアニスト」「キング・コング」エイドリアン・ブロディ
「マリー・アントワネット」「天才マックスの世界」
「ハッカビーズ」ジェイソン・シュワルツマン
「CQ」ロマン・コッポラも脚本に参加したことでも話題となった。


父の不慮の死をきっかけに、疎遠となっていたホイットマン家の3兄弟。
長男フランシスの呼び掛けでインドへ出向いた兄弟は、
その絆を取り戻すため、ダージリン急行に乗り“心の旅”に出る。
しかし、神経症めいた強引さでことを進めるフランシスと、
妻の妊娠で夫婦仲が微妙な状態となってしまった二男ピーター、
失恋の痛手を引きずり、パリで無為な日々を過ごしていたジャック…
問題まみれの3人は、ところどころで衝突を繰り返し―


テーマは、これまでもアンダーソンが描き続けてきた「家族」。
一見バラバラな家族の妙なドラマ、
不思議な絆はやけにじんわりと沁み渡る。
今回の主役も、それぞれが問題を抱え、思い悩む3兄弟。
旅の途中の数々の事件を通じ、絆を取り戻す、というあたりは、
いわゆるロード・ムービーの定番そのものの流れなのだが、
味つけはやはりアンダーソン印のペーソスに満ちたオリジナル。
プロローグともなる「ホテル・シュバリエ」から、
脈々と流れるアンダーソンの物語世界が、心地よく響いてくる。


ナタリー・ポートマン(お色気あり)やバーベット・シュローダー、
ビル・マーレイアンジェリカ・ヒューストンといった脇役陣もいい味出している。
ひとことでいえば、まさしくヘンな映画ではあるのだが、
そのヘンさが何ともたまらない、愛着を感じさせる。
観終わると、ダージリン急行に乗ってみたくなる、そんな1本だ。