新宿武蔵野館で「ジェシー・ジェームズの暗殺」

mike-cat2008-02-07



“あこがれて こがれて、心がつぶれた。”
南北戦争後のアメリカ中西部で義賊として大衆の人気を集めた、
伝説のガンマン、そして無法者のジェシー・ジェームズと、
そのジェシー・ジェームズを裏切り、射殺した卑怯者ロバート・フォードの物語。


主演は、原作に惚れ込み、製作にも関わったブラッド・ピット
屈折したロバート・フォードを演じ、オスカーのノミネートも受けたのは、
「200本のたばこ」「オーシャンズ11」ケイシー・アフレック
ほかに「ライトスタッフ」の名優サム・シェパードに、「コンフェッション」サム・ロックウェルら。
監督は「チョッパー・リード 史上最凶の殺人鬼」アンドリュー・ドミニク
製作にはリドリーとトニーのスコット兄弟も名を連ねている。


逃亡生活の中で消耗し、崩壊していくジェームズと、
そのジェームズを幼い頃から偶像視し、そして幻滅していくフォード。
2人の人生が交わる様を、重厚に描き出していく。
アフレック=フォードのかんに障ることといったら、
もう娯楽映画としての領域を軽くオーバーしている感じ。
「いるよな、こういうトロいくせにプライドだけ高いやつ…」的な、
なるほど憶病者、卑怯者と罵られるだけの人物を見事に演じ上げる。


見応えは十分、といっていいだろう。
カナダ・アルバータ州を中心としたロケで、リアルさを追求した、
開拓史時代のミズーリの陰惨な風景も、素晴らしいと思う。
コーエン兄弟御用達としても知られる撮影監督、
ロジャー・ディーキンスが描き出す風景は、こころにしみ渡る。


だが、やはり160分は長い。
もちろん、それぞれの場面に必然性はあると思うし、
この重厚感あってこその、ラストの余韻とは承知しているが、
もう少しどこか削っても、何とかなったような気がしてならない。