長野グランドシネマズで「アース」(日本語吹き替え版)

mike-cat2008-01-28



“地球、公開”
英国BBCが、海洋ドキュメンタリーの傑作「ディープ・ブルー」に続いて送り出す、
圧倒的スケールのネイチャー・ドキュメンタリー。
NHKで放送された「プラネットアース」を再構成し、
環境保護を訴えつつ、まとめ上げた“かつてない命の旅”。


北極海をさまようシロクマの親子を皮切りに、
ロシアの極寒地帯を生きるアムール豹、
滑稽なまでに艶やかなゴクラクチョウのダンスに、
水を追い求め、アフリカ大陸を旅するアフリカ象
赤道付近から南氷洋まで旅するザトウクジラ、
ヒマラヤを飛び越える渡り鳥の果敢な挑戦…
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏に乗せ、
目の前に繰り広げられる光景は、圧巻としかいいようがない。
のべ4500日、5年にも及ぶ歳月と、巨額の費用をつぎ込んだ、
まさしく地球規模の財産ともいえるような、貴重な作品といえるだろう。


ただ、環境保護のメッセージについては、微妙に蛇足の感はある。
氷の融けた北極海をあてどもなく漂流し、やがて飢え死にするシロクマ。
これを見せれば、温暖化どうこうの説明など要らないはずだ。
わざわざ「このまま地表温どうこう…」を言葉足らずに説明すると、
本来の環境保護のメッセージそのものよりも、
温暖化でカネ儲けする環境ビジネス屋の腐臭が漂ってきそう。
日本語版翻訳の作業の中で、適当に書き換えられたのかも知れないが、
何となく、過剰な説教臭さと、作為的な説明不足を感じてしまうのも確か。


ライオンによるアフリカ象狩りや、アザラシを襲うホオジロザメなどの場面で、
必要以上に血なまぐさい場面を避けたりするなど、
自然の残酷さ、冷酷さの描写が、美しさとの対比でやけに少ない。
こんなに見事な映像が、きれいごとに片付けられそうで、何となく残念だ。


とはいえ、やはりこの映像の素晴らしさは、けた外れだ。
もちろん大スクリーンでの上映を見逃す手はないが、
DVDでBGMのみバージョンなんかを楽しむのもなかなオツといえそうだ。