TOHOシネマズ錦糸町で「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

mike-cat2008-01-21



?いらっしゃいませ。
 そして、永遠にさようなら。?
ジョニー・デップの主演男優賞など、
アカデミー賞3部門ノミネートでも話題の、
「スリーピー・ホロウ」ティム・バートン最新作。
悪魔の理髪師と、人肉を材料にしたパイという、
ロンドンのフリート街を舞台にした都市伝説の映画化は、
以前ベン・キングズレー主演の「スウィーニー・トッド」が印象深いが、
こちらはトニー賞受賞の同名ミュージカルがオリジナルだ。


好色判事の奸計に陥れられ、愛する家族を奪われた、
理髪師ベンジャミン・バーカーの血にまみれた復讐劇を、
哀愁だけでなく、どこかコミカルさをまじえつつ描く異色作。
バートン作品との相性抜群のジョニー・デップの熱演だけでなく、
名優アラン・リックマンティモシー・スポールらが脇を固める布陣も豪華。
嫁さんを(スクリーン上で)とんでもない目に合わせる、
バートンの悪趣味ぶりは相も変わらず健在で、思わず笑ってしまう。


テーマでもある復讐も、何とも皮肉で哀しい。
復讐の前にすべてを見失ってしまうバーカー、
そしてそのバーカーにこころを寄せるパイ屋の女主人。
誰もが救いのない地獄にはまっていくさまが、こころに響く。


残虐描写は、なかなか際どい感じではあるが、
あえてイラストコミック風の色調を強くしているせいか、
スプラッタ映画的な印象はさほど感じられない。
のどをかっ切るシーンが続出するのに、
こうした表現もヘンかも知れないが、まあ全体的にはおとなしめである。
ただ、物語の世界観はさほど完成度が高いとは思えない。
バートン作品の中では、まずまず及第点といったところだろうか。