渋谷シアター・イメージフォーラムで「はじらい」

mike-cat2008-01-15



“オーディション...それは、
芸術の追求か、それとも個人の欲望か”
「ひめごと」「白い婚礼」
ジャン=クロード・ブリソーが、
性的嫌がらせで有罪判決を受けた、
「ひめごと」でのオーディションをめぐる事件を、
虚々実々を入り交えながら描く、
実験的エロティック・サスペンス。


「タブーと歓び」をテーマに、女性の官能を描こうとする、
映画監督のフランソワは、オーディションに訪れた女性たちに、
監督の目前でのマスターベーションを要求するが…
という、まことにオトコの妄想にストライクとなりそうな設定。
まあ、イマジネーションの世界ではともかくとして、
現実にやるとどうなるか、というのは、
実際にこの監督巻き込まれた事件の経過が雄弁に物語る。
4人の女優に訴えられ、有罪判決と賠償金を支払わされたとか。
監督はこの訴訟の前に、「はじらい」の脚本を書き上げていた、
と主張しているらしいが、まあそこらへんは微妙な印象である。


で、この「はじらい」を観る限りでは、
あまりこの監督が反省していない様子はうかがえない。
いけなかったのは、女優たちの恋心に気づかなかったことで、
現場でさせた、あんなことやこんなことは問題ないらしい。
もちろん、反省してないからこんな映画を撮るのだろうけど…


さて、映画のテーマである官能だが、こちらはまずまず。
実際の行為ではなく、監督の視線がもたらす官能は、
タブーを破り、抑圧された感情を解放するという意味で納得。
出てくる女優たちが微妙にそそらないので、
(むしろ、オーディションで裸を拒否しつつも、
赤裸々に自らの体験を語る女優たちの方が魅力的)
多少は興奮しつつも、比較的冷静な視点でテーマに臨める。
スケベごころ満載で観に行っても、微妙に期待を裏切られるが、
それはそれで、なかなか悪くない作品には仕上がっていると思う。