TOHOシネマズなんばで「ソウ4」

mike-cat2007-11-27



〝ジグソウ死す。〟
昨今のソリッド・シチュエーション・スリラーの先駆けとなった、
あの傑作「ソウ」も、いよいよパート4。
「ソウ2」もなかなかよかったとは思うが、
さすがに「ソウ3」は、あまりに早いサイクルでの続編登場と、
単なる悪趣味な監禁ものとソリッド・シチュエーションを取り違えた、
粗製濫造作品の横行にげんなりし、パスしてしまった。
1作飛ばしての第4弾だが、TOHOシネマズのシネマイレージが、
この年末で一部失効するのも見越し、無理矢理観てしまう。
監督は2作目から続けてのダーレン・リン・バウズマン
過剰な残虐描写と、スリラーの要素をどう扱うかが、ポイントとなる。


数々の犠牲者を生み出した凄惨なゲームの仕掛け人、ジグソウは死んだ。
だが、その検死解剖で見つかった1本のマイクロテープ、
それは新たなゲームの始まりを予告する、恐怖の遺言だった―
そして、新たなプレーヤーは、ジグソウの追跡に当たっていたSWATのリッグ。
目覚めると、自宅のバスルーム。
TVモニターには、捕らわれの身となった同僚の姿が映し出されていた―


思えば、ジェームズ・ワンリー・ワネルのコンビが生み出した、
第1作「ソウ」は、さまざまな意味で斬新さにあふれていた。
突如陥れられた、極限状況、その不条理と緊迫感…
最後の最後まで驚かされっぱなしの103分。
確かに凄惨なシーンもあるが、ある意味必然性もあったと思う。
しかし、第2作になると、確かに面白いのだが、
ショッキングさを求めるあまり、必要のない凄惨シーンも目立った。


そして、第4作。案の定である。
何もどこぞの皮を切り裂いたり、めくったりしなくても、
観客をゾクゾクさせられるようなスリラーは撮れるはずである。
冒頭でいきなりイヤなものを見せられた後は、
いわゆる監禁系&拷問系の映像が続々と現れる。
他人を支配するという快楽をここまで堂々と描かれると、
その禁忌感は薄れ、単なる幼稚なレベルのものに見えてくる。


ストーリーそのものは、何となく過去の作品をなぞらえるような作りで、
それはそれで悪くない、といった感じなのだが、
スリラー的要素が台無しになるほどの嫌悪感が観る者を襲う。
正直、深みがない、という表現が適当だろうか。
ショッキングなシーンの積み重ねだけでは、いい映画は作れない。
常識レベルのこともわからないまま、
儲かるうちに続編を作っておこうか、という印象がやけに強い。
それでも何とか観られるレベルになっているのは、
やはりシリーズそのものが持つパワーのおかげだろうか。
もう少し時間を置いて、企画を練ってから作ってくれれば、
と思わずにいられないのだった…