広島松竹東洋座で「ナンバー23」

mike-cat2007-11-23



〝それは一冊の本からはじまった〟
広島原爆投下、TWA機墜落、
そして、チャールズ・マンソン事件…
歴史上の悪夢には、ことごとく「23」が隠されていた―
「23」の数字に隠された秘密と、
それに取り憑かれた男の運命を描くサスペンス。
主演は、「エース・ベンチュラ」「エターナル・サンシャイン」ジム・キャリー
共演はヴァージニア・マドセン「サイドウェイ」
監督は、「ヴェロニカ・ゲリン」「フォーン・ブース」ジョエル・シュマッカー


動物管理局に務めるウォルターは、2月3日の誕生日に、
妻アガサが古本屋で見つけたミステリー「ナンバー23」を手にする。
自分の半生をなぞったかのような物語に、のめり込んでいくウォルター。
だが、その本には「23」という数字にまつわる、
奇妙な因縁について、信じられないような事実が書き記されていた。
数々の符合に遭遇するうち、「23」に取り憑かれていくウォルターだったが…


多少強引ではあるが、プロットはなかなか魅力的である。
陰謀か、それとも… みたいな感じで広げれば、
ストーリーの可能性は無限に広がる、といって過言ではないだろう。
しかし、この作品には、重大な問題がある。
監督である。
このジョエル・シュマッカーという監督、まずまずの売れっ子である。
ちなみに、偶然にも「23」本目の監督作品らしい。


印象としては手堅い職人。
だが、手堅いを通り越して無難の領域に達してしまっているのが最大の弱点だ。
それなりの製作費、それなりの宣伝費をかけ、
客がそれなりに満足すればいい、そんな映画会社の都合が常にちらつく。
それなりに映像作りは凝っているから、それなりに観た気持ちにはなる。
しかし、決して満足できる作品は作ってくれない。
最初に「職人」と書いたが、よくも悪くも職人なのである。


で、この作品。
強引さはあるが、ひねりもまずまず悪くはない。
だが、どこかのっぺりしている。
脚本にも問題があるのだろうが、やはりシュマッカー作品のそれである。
あまり色目で観ないよう、気をつけてはいたのだが、
やはり退屈する時間がちょこちょこと訪れてしまった。


シリアス映画では常にオーバーアクトが問題になるジム・キャリーも、
やはりサスペンスでもどこか違和感というか、破綻した印象を免れない。
悪くない、というか、それなりにいいと思うのだが、
たまに見せるコメディっぽい表情が、サスペンスの緊張感をそぐ。


とはいえ、そこはそれ、もともとの題材の魅力もあって、「悪くはない」1本。
キャリーの妻役を演じるヴァージニア・マドセンも、
オトナの女の魅力で観る者を惹きつけてくれるから、観て損はないはず。
もちろん、もう少しいい映画にできるはずなのにな、
との思いは、やはり捨てきれないのも確かではあるのだが…