TOHOシネマズ梅田で「ディスタービア」
〝リセット不能の覗き見ゲーム〟
アルフレッド・ヒッチコックのマスターピース、
「裏窓」をティーン・ムービーに仕立て、
全米大ヒットを記録した、サスペンス・スリラー。
同じく「裏窓」にオマージュを捧げた、
ブライアン・デ・パルマの「ボディ・ダブル」同様、エロティックな要素もあり。
主演は「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフ、
共演に「マトリックス」シリーズのキャリー・アン・モス、
「16ブロック」のデヴィッド・モース、
覗かれる隣家の美少女には、「呪怨 パンデミック」の新鋭、サラ・ローマー。
監督は「テキング・ライブス」のD・J・カルーソー。
不幸な事故で父を亡くし、荒んだ気持ちを引きずっていたケールは、
底意地の悪い教師を殴ってしまい、自宅監禁の処分を受けてしまう。
そんな折、ケールの隣家に美少女アシュリーが越してきた。
セクシーで無防備なアシュリーの姿を追いかけるうちに、
いつしか覗きが習慣化したケールはある日、思いがけないものを目撃する。
それは、赤毛の女性ばかりを狙う、連続殺人犯の姿だった―
何でも、監督のイメージ的には、窃視よりもむしろ盗聴のようで、
コッポラの「カンバセーション…盗聴…」が、アイデアの源泉だったとか。
とはいえ、あの名作「裏窓」をティーン・ムービー化するとは、
けっこうありそうで意外にない、絶妙のアイデアである。
そして、覗きに必要不可欠なのは、もちろんセクシーな女性。
映画の成否がかかるその覗きクイーンには、新鋭サラ・ローマーを置いた。
結果は、間違いなく成功である。
顔の感じは若い頃のブリジット・フォンダに近いのだが、
次第にクセになるような、独特の魅力に満ちた表情がいい。
もちろん、ビキニ姿を始めとするサービス・ショットも然りだ。
そのえっちなことといったら、そりゃ10代興奮でしょ、という感じ。
そうそう、サスペンス的な部分もそう悪くない。
クラスメートとのドタバタに、アシュリーとのロマンスの要素も絡めつつ、
それなりにツボを抑え、巻き込まれ的スリラーが展開される。
後半の力技には、ちょっと苦笑も漏れてしまうが、
それなりにテンポはいいので、さほど白けることもない。
「裏窓」の再来? みたいに、過剰な期待は禁物だが、
軽い気持ちで観るのなら、十分お勧めできるレベルの作品。
注目株のシャイア・ラブーフは主演だけに、抑えておいて間違いない1本だ。