TOHOシネマズで「ボーン・アルティメイタム」
〝最後通告(アルティメイタム)〟
「ボーン・アイデンティティ」、「ボーン・スプレマシー」と、
マット・デイモン史上最大の当たり役となった、
ジェイソン・ボーン・シリーズの第3弾にして完結編。
監督は前作に続き、「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス。
ジュリア・スタイルズ(「セイブ・ザ・ラスト・ダンス」)演じる、
前2作でも登場のCIA局員ニッキーが、今回のヒロイン。
「ザ・コンテンダー」のジョーン・アレンも再登場する。
最強の暗殺者ジェイソン・ボーンに対する、CIAの狩りは熾烈を極めつつあった。
モスクワに姿を現したボーンの所在を追って、捜査班が躍起になる一方、
極秘計画「トレッドストーン」にまつわる情報漏れが、CIAを揺るがしていた。
パリ、ロンドン、タンジール、そしてニューヨーク…
失われた記憶、失われたアイデンティティを探し求める、
ボーンの旅は、ついに最後の時を迎えようとしていた―
思えば、シリーズ第1作はさほど期待の大きい作品でもなかった。
マット・デイモンがスパイ・アクション…
正直、違和感はかなりあったし、とりあえず観ておくか、程度の作品だった。
しかし、ちょうど旅先のマニラで観た「ボーン・アイデンティティ」は、
予想をはるかに上回る迫力とテンポ、そしてサスペンスに満ちた傑作。
グリーングラスを起用した2作目も、チャカチャカしたカット割りは気になったが、
いま考えてみると、その半面でスピード感や臨場感はさらに磨かれていた。
そしていよいよ第3弾。
スピード感や臨場感はそのままに、これまで最大の謎だった、
ジェイソン・ボーン誕生の秘密に迫る、というサスペンス要素が強まった。
誕生の秘密そのものは、別段すごくはないのだが、
そこに至るまでの過程の描写については、緊迫感あふれる展開になっている。
これまで思わせぶりな登場だったジュリア・スタイルズは、
大きく出番は増えつつも、依然謎めいたまんまで、これもなかなかナイス。
いかにも小悪党なデヴィッド・ストラザーンが散々な目に遭うのも楽しい限り。
傑作、といってしまうとちょっと語弊があるような気はするが、
大ヒット・シリーズの完結編としては、十分に及第点を越えたといっていいだろう。