TOHOシネマズなんばで「ヘアスプレー」
〝ハマる!ハジケる!ハチキレる!?〟
「I love ペッカー 」、「セシルB/ザ・シネマ・ウォーズ」のカルト監督、
ジョン・ウォーターズの名作「ヘアスプレー」がブロードウェイを経由して、ミュージカルとしてリメイクされた。
まさかの女装で度肝を抜くのは、あのジョン・トラヴォルタ。
「マウスハント」
「もしも昨日が選べたら」に続く怪演を見せるクリストファー・ウォーケンに、
「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」、「恋のためらい/フランキーとジョニー」のミシェル・ファイファー、
「シカゴ」のクイーン・ラティファも脇を固める。
監督は「ウォーク・トゥ・リメンバー」、「キャプテン・ウルフ」のアダム・シャンクマン。
保守的な人種差別意識が根強く残る1962年のボルチモア。
ヘアスプレー会社がスポンサーの人気番組、
「コーニー・コリンズ・ショー」に夢中の、太めの女子高生トレーシーは、
母エドナの反対を押し切り、オーディションに出場するがあえなく落選。
しかし、黒人ばかりの居残りクラスで、新たなステップを身につけた彼女は、
ふとしたきっかけから番組に抜擢され、一躍スターダムへと上りつめる。
だが、番組のプロデューサー、ベルマとその娘アンバーは、
トレーシー追い落としに向け、とんでもない策を準備していた―
もちろん、音楽と踊りは最高といっていいクオリティ。
得意のステップで、巨大なお尻を振り回すトラヴォルタに、
揺れる二の腕が妙に愛嬌のある新鋭ニッキー・ブロンスキーの
ダンスは、もうそれだけで過去のミュージカルの傑作に匹敵する。
かのウォーターズもフラッシャーとして登場。
さまざまな仕掛けに満ちた、笑いの要素も毒があって楽しい。
独特のバッドテイストに、マイノリティ差別に対する批判精神。
一見軽妙でハッピー、そして笑いに満ちたミュージカルには、
意外なぐらい骨太なメッセージが、それでいてさらりと盛り込まれている。
トニー賞受賞も、なるほど、と言いたくなる、ミュージカルの傑作だ。