なんばパークスシネマで「パンズラビリンス」
〝だから少女は幻想の国で、
永遠の幸せを探した。〟
「ヘルボーイ」、「ミミック」の
ギレルモ・デル・トロ監督最新作。
アカデミー賞では外国語映画賞、脚本賞など6部門でノミネート、
内戦下のスペインを舞台に、ダークな世界観を作りあげ、
撮影賞、美術賞など3部門でオスカーを手にした話題作。
製作には「トゥモロー・ワールド」、「天国の口、終わりの楽園」のアルフォンソ・キュアロン、
撮影には「ジャッキー・ブラウン」、「ナイト・ミュージアム」のギレルモ・ナヴァロが名を連ねた。
想像力豊かな空想で悲惨な世界を生きる、
少女オフェリアには、才能豊かな新鋭イバナ・バケロ。
残酷な世界の象徴ともなる義父の軍人に「堕天使のパスポート」のセルジ・ロペス。
「天国の口、終わりの楽園」のマリベル・ベルドゥが、オフェリアを見守る村の女を演じる。
内戦終結を目前にした、1944年のスペイン。
内戦で父をなくした少女オフェリアは、母親の再婚相手のもとへ。
フランコ圧政に蜂起したレジスタンス掃討を指揮する義父。
冷酷で、残酷な世界を目の前に、夢見がちなオフェリアは、
いつしか、空想と現実の境目を行き来するようになる。
森の中で不思議な迷宮に迷い込んだオフェリアは、
そこで出会った牧神のパンから、
オフェリアが魔法の国の姫君の生まれ変わりであると告げられるが…
ずっとずっと楽しみにしていた作品なのだが、
予想通りというか、予想を超えた大傑作、である。
残酷な世界に蹂躙される少女と、
その少女が迷い込む、空想とも現実ともつかない迷宮。
内戦下のスペインで繰り広げられる、不可思議な世界は、
その世界観だけでも、観るものを惹きつけて止まない。
デル・トロ監督に当初の年齢設定まで変えさせたという、
主演のイバナ・バケロの、あの年代にしか出せないような、
神々しいまでの輝きも、この映画の魅力のひとつといっていいだろう。
好奇心と夢にこころを踊らせながらも、どこか哀しい眼差し、
移ろいやすい少女の無垢な美しさの、最高の瞬間を切り取ったような表情。
別にロリコンでもなんでもないが、この女優を見つけてきた時点で、
この映画は成功を約束されていたといっても、言い過ぎではないはずだ。
打ちのめされるような残酷さと、こころ熱くなる魂の救済、
すべてがないまぜになった、複雑な余韻も含め、文句なしの逸品だ。
ことし屈指の傑作といってもいいだろう。
ひたすら涙を流しながら、見守るエンドクレジット。
いてもたってもいられないような、感動にひたすら包まれるのだ。